『可愛いあの子に最高のプレゼントを』序:勇者ベラのぼうけん!①
- 管理人 天狗ろむ
- 4月20日
- 読了時間: 6分
――『わたしはベラ、とってもつよくてやさしい、勇者です!』
――この絵本、小さい頃からよく読んでいたの。懐かしいなぁ。
この冒険記録は、〈天駆ける狗〉亭の看板娘であるディジベラが、まだ幼かった頃のお話。
絵本の中の物語を、幼いディジベラが主人公「勇者ベラ」となって冒険した時の、思い出話の一つである。

▼はじめに
ここから始まる物語は、1人用TRPGローグライクハーフのd22シナリオ『可愛いあの子に最高のプレゼントを』のリプレイ小説となります。天狗ろむはリプレイを書くのがいつまでたっても慣れないので、読みにくさ等はご容赦頂ければ幸いです。ルールの独自解釈(誤解釈)がある場合がございます。
元となった作品…可愛いあの子に最高のプレゼントを
シナリオ作者……寝子 氏
配布先ページ(無料)……https://talto.cc/projects/-W-SVqaGb3l-BOfOB7o4H
ココフォリア用お部屋(有料)……https://lennon257.booth.pm/items/6713417
無料の基本ルール+1stシナリオ『黄昏の騎士』のURLはこちら!→ https://ftbooks.booth.pm/items/4671946
今回のリプレイは、初心者さん向けの解説を含めたキャラクター作成を経て、中間イベントまでの前編、それ以降の後編に分かれます。
▶目次
序:ここ。情報掲載、目次のページ。以下から前日譚。
準備編:
前編:
後編:
▶ディジベラ親子、思い出す。
※このリプレイはちょうどシナリオ内でお誕生日を迎えるめちゃ可愛い子「りにゃちゃん」の誕生日間近に始めましたので、テンションが(※いつも通り)高めでお送りします。
4月22日は寝子さんちの、りにゃちゃんのお誕生日だ! りにゃちゃんをお祝いするシナリオをやろう!!
という訳……なのですが、実は拙亭の設定(ダジャレになっちゃった)的に少しばかり問題がありまして。
寝子さんのシナリオは、オリジナル世界のウサギ溢れるウサギノニワ(これも後述の大陸キャトルドのどこかにあるとか)、あるいはラドリド大陸のずっと西にあるキャトルドという大陸でのお話が多いのです。今回やりたいシナリオも、ウサギノニワが舞台です。
看板娘ディジベラちゃんは、未だ冒険者としては半人前の為、過保護な父マスターより冒険を許可されていないのです、今の所は。なので、いずれは自らの足でキャトルドにも行けるとは思うのですが、今は少し難しい。
でも寝子さんのシナリオやりたーーい! ウサギさんたちに会いたーーい! りにゃちゃんのお祝いしたーーい!
なので色々捻ってみました。こんな感じ。
とある大陸が舞台の、絵本がありました。
それはウサギと呼ばれるいきものがたくさん出て来たり、可愛らしい登場人物が出て来るお話です。
その主人公である勇者は、お友達でもあるウサギたちを従えて、その少し不思議な世界で色んな冒険をするのです。
そんな、ウサギたちがかわいくて、ワクワクする絵本が、幼いディジベラは大好きでした。
・ω・
「あ、これ……こんなところにあったのね」
開店準備中の〈天駆ける狗〉亭にて。
様々な冒険譚を仕舞ってある本棚を掃除していたディジベラは、懐かしさに目を細めながら1冊の絵本を取り出しました。何度も何度も読まれたそれは、大切にはされてきたのですが、ページの端が折れていたり、よれよれになっていたり、幼いディジベラによる落書きがされていたり……今のディジベラにしたらなんてこと! という状態ではありましたが、お話自体はしっかり読むことができました。
「おや。懐かしいものを見ているね」
酒場の机を拭いていた父、ダヴァランが動きを止めたディジベラを訝しんで近づいてきていました。手元の絵本を見て、ダヴァランも微笑みを浮かべます。
「でしょう。これ、パパに何度も読んでってお願いした覚えがあるわ」
「そうだなぁ。それに、その主人公になりきって冒険ごっこもしていたね」
「嗚呼、そんなこともしてたわ! その時からきっと、私は冒険に憧れてたのね……」
ディジベラが絵本の表紙を愛おしそうに撫でるので、ダヴァランは複雑そうに眉根を少し寄せて一瞬口を噤みました。冒険に憧れてやまない彼女に冒険を禁じているのは、他でもない、父だったからです。どう声を掛けたものやら、低く名を呟くことしかできません。
「ディジー……」
「思い出に浸ってる場合じゃないわね、今日は大事なお客様が来るもの! 父さんもご馳走の準備をしなきゃでしょう?」
ディジベラは絵本をそっとしまうと、そんな父に向けてにこやかに笑いました。父の心配の程も、少しだけ分かるようになったのです。自分の冒険者としての実力がまだまだ足りないことは、以前(結果として)冒険した時にボロボロになって思い知ったのでした。そのお陰で、自分の身体の中に巡る魔力を感じるコツを掴み、ようやく【魔力石作成】が出来るようになったので、経験値としては上々なのですが。
「あ、嗚呼、そうだな」
いつもであれば、「だからやっぱり私も冒険に行きたい!」などと言って父を困らせてきていたので、ディジベラの思わぬ素直さにダヴァランも面食らいつつ頷きます。
そうなのです。今日は宿を貸し切りにして、とある冒険者一行のパーティーをすることになっていたのでした。〈天駆ける狗〉亭にはマスターであるダヴァランと、看板娘のディジベラしかおりません。なのでやることは山積みです。
「私も残りのお掃除と飾り付けと……あと、買い出しに行ってくるわ!」
「買い出し? もう食材も贈り物も充分だと思うが……」
「ちょっと追加で渡したいもの、思いついたの。絵本のお陰でね!」
「そうか。ならばシュテルンを連れて行きなさい」
名を呼ばれた〈天駆ける狗〉亭の番犬が、小さくウォン、と返事をします。
「分かったわ。シューちゃん、行きましょ!」
ディジベラはシュテルンを伴って、軽やかに〈天駆ける狗〉亭の扉を開けて出かけていきました。
一気に静かになった宿に残されたダヴァランは、改めて絵本の背表紙を眺めます。
(あんなに小さかったディジーが、今や頼もしくなったものだ)
絵本の内容も、やりとりも、ダヴァランにはつい先日のように思い起こされます。
「パパ! わたし、ぼうけんがしたい!」
(そうだ。いつだってディジベラは、冒険したがっていた)
それが最近なりを潜めているのです。さっきもそうでした。それが少しだけ気にかかります。冒険が怖くなってしまったのか、それとも……諦めてしまったのか。
父としてはそれを願っていた筈なのに、実際そうなってしまうと、何だかそれはそれで娘が心配になってしまうダヴァランは、ご馳走の為の下準備に手を動かしながらも、かつて純粋に冒険へ憧れていたディジベラへ思いを馳せたのでした――。
・ω・
と、言う訳で。
シナリオ本編は絵本の中のできごとで、冒険するのは幼いディジベラちゃんが作った主人公「勇者ベラ」。
要するに、ローグライクハーフのリプレイ内で(マスターがGM、幼ディジベラちゃんがPL、勇者ベラがPCとして)ローグライクハーフをしてもらうという事です! ややこしい!
(そしてさらっと番犬の名前が初登場です。今まで決めてなくてごめんね……)
前日譚は今までのアレコレも絡めつつ、過去を思い出すという雰囲気で……次話はキャラメイク部分!
シナリオ本編とは関係ないのですが、幼いディジベラちゃんとマスター親子のほのぼのやりとりをお楽しみ頂けます。本編はしばしお待ちあれ!
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