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『豆の木が守る宝』序:半人前錬金術師ディジベラの冒険②

更新日:6月25日


  ――ちょっとだけ、なら良いわよね!


 

 この冒険記録は、〈天駆ける狗〉亭の看板娘であり、冒険者としては半人前の錬金術師ディジベラと仲間たちが行く、好奇心と波乱に満ちた冒険譚である。


 


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▼はじめに

 ここから始まる物語は、1人用TRPGローグライクハーフのd33シナリオ『豆の木が守る宝』のリプレイ小説となります。天狗ろむはリプレイを書くのがいつまでたっても慣れない為、読みにくさ等はご容赦頂ければ幸いです。ルールの独自解釈(誤解釈)がある場合がございます。




 元となった作品…豆の木が守る宝

 シナリオ作者……成田砂男 氏 宮田みゃーた


 無料の基本ルール+1stシナリオ『黄昏の騎士』のURLはこちら!→ https://ftbooks.booth.pm/items/4671946 

 


 今回のリプレイは、キャラクター作成は割愛し、キャラクター紹介とプロローグから始めます。

 



▶目次

   序:ここ。情報掲載、目次のページ。以下からキャラ紹介~プロローグ。

 前編:

 後編:

  



▶ディジベラ、再び冒険に出る。


 豆の木生やしちゃおー!!!


 という訳で(?)、当初はNPCだったけどPC化させた〈天駆ける狗〉亭の一人娘ディジベラちゃんと、今回のお供はオークのドミニアちゃんで行かせて頂きます。


 noteにて、「ローグライクハーフをはじめよう」https://note.com/sandman_sunao/n/nbc04d57b7586?sub_rt=share_sb 

 などの記事を書かれている成田砂男さんと、そのお子様であられる宮田みゃーた先生の合作シナリオと聞いて、何て素敵な、しかも大好きな「ジャックと豆の木」モチーフ!

 しかも


 どこでも豆の木を生やせる!!!!!!

 

 =(父親からの規制のある)ディジベラちゃんでも冒険可能!



 となれば、いてもたってもいられず、冒険を始めることになりました。


 ディジベラちゃんは、前回の冒険「リエンス家と大晦日の厄」にてリエンス家へ年末のご挨拶に行き、死にかけましたが生き延び、少し成長させました。経験点で幸運点をアップ。

 現在レベル8。1レベル上げるごとに、技能も覚えさせていくスタイルにしたので、今回は【魔力石作成】をチョイス。幸運点を3点分使いますが、後々有用に使えそうなので……あと何かいいですじゃん? 石作れるの……!


 ドミニアちゃんは20代くらいのオーク娘さん。ディジベラちゃんよりは年上想定。薬物の売人もしつつ、新たな薬となる植物などを探しながら行商している、薬師的な一面も持っている……という感じの子です。標準語(?)は少し拙く、「〇〇だよネ」みたいな話し方です。

 先輩冒険者として、例によって黄昏の騎士をクリアしています。なのでレベル13。懐も温かく、毎回1つは薬物を買っています。今の所、自分では使わずにいるのですが。

 高い所に登りそうなので、ロープを購入しておきました。ドミニアちゃんは資金も潤沢なのでお任せしてます。


 今回は護衛役としてついてきているので、基本的にはディジベラちゃんの判定がメイン、ドミニアちゃんは補助という形で進めたいと思います。

 二人の詳しい技能値などは以下の画像の通り。

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 細かいキャラ設定

ディジベラちゃん:ディジベラ | 天駆ける狗亭

ドミニアちゃん:HoD オーク ドミニア



▽プロローグ


 まだ春がもう少し先の時期の事。
「ただいまヨ~」
 ガランガランとドアベルがややけたたましく鳴りました。ドアベルに頭を引っかけながら入って来たのは、見上げんばかりの大きな体格のオークの女性です。〈天駆ける狗〉亭のマスターは、種族問わず交流がある為、ゴブリンやオークも利用することがあるのです。そして、幼い頃から看板娘をしていたディジベラも、特に臆することなく迎えます。
「おかえりなさい、ドミニアさん! 今回の冒険はどうだった?」
 本日の〈天駆ける狗〉亭のお客様は、何度か利用してくれている、オーク娘のドミニアでした。薬物の商売をして行商する傍ら、新たな(売れそうな)薬物を探して冒険しています。腕っ節も強い彼女は、倒したクリーチャーの骨やら爪やらを、戦果としてアクセサリーにするので(それが彼女の生まれた村の風習なのです)、冒険から帰ってくるたびに、耳や鼻、唇にまでピアスや、ジャラリと揺れるネックレスが増えていました。
「まあまあかナ~。ディジーは……何かあったネ?」
「分かる?  実はね!」
「こらこら、ディジー。まずはお客様を中に案内してからにしなさい」
 話したくてうずうずしているディジベラを、父であるマスターが苦笑しながらたしなめました。言われて気づいたディジベラは慌てて、入って入って!  とドミニアを〈天駆ける狗〉亭へと招き入れたのでした。

 
「へぇ~、あのリエンス家と知り合いだったんダ、マスター。あ、シチューもっとちょうだイ」
「はーい、持ってくるわね」
「冒険者を辞める少し前に、ちょっとね」
 ディジベラが、リエンス家当主と旧知の仲であるマスターの名代として、ロング・ナリクの大富豪であるリエンス家へ年末年始の挨拶をしに行った時の冒険譚を肴にしながら、ドミニアはシチューをどんどんお代わりしていきます。大柄な彼女は、見事な食べっぷりを見せてくれるのです。
「お父さん、もう二杯分くらいしか無いわ!」
「大丈夫だ、ドミニアがそろそろ来る頃だろうと思って、オストリッチを買っておいたから」
「わー、やっタ!  肉食べたイ!  それもちょうだイ!」
「分かった、少し待っててくれ」
 「それが出来る間、今度はドミニアさんのお話を聞かせて!」
「んーと、そうだナ~」
 マスターが近所の牧場から仕入れたオストリッチの肉を焼くいい匂いに包まれながら、このピアスのクリーチャーは……とドミニアが訥々と語るのを、目をキラキラさせてディジベラは聴き入ります。いつの間にか持ってきていた羊皮紙とペンで、「こんなクリーチャー?」とサラサラ描いてみせては「そうそう、まさにそんな感ジ!」と話は盛り上がりました。
「お待たせ。オストリッチの香草チーズ焼きだ」
 そこへマスターが料理を持って現れました。オストリッチの肉を、香草と粉チーズ入りのパン粉で包み、揚げ焼きにしたもの。香ばしい匂いに、思わずドミニアは唾を飲み込みました。一口齧れば、サクサクの衣と、衣に包まれたお陰で柔らかさを保つオストリッチの肉の旨味が、口の中いっぱいに広がります。
「お~~~いし~~~イ! これならいくらでも食べられちゃウ!」
「君がそう言うと本当になってしまうんだよなぁ」
「一回食べ尽くされちゃったこともあったわよね。でもほんと、いい食べっぷり!」
 少し遠い目をしたマスターと、笑顔で称えてくれるディジベラ。いっぱい食べても怒られないのは、大食のドミニアにとっては少々気恥ずかしくもとても居心地の良く感じられるのでした。
「あはハ、お褒めに預かり光栄でス。……あ、そうだ。マスター、豆料理って何かある?」
「豆? お肉好きのドミニアにしては珍しいリクエストだね」
「今日、ここに来る前にチャマイで買い物してたらサ、貰ったんだよネ、豆」
「一粒かぁ~」
 ドミニアがごそごそと取り出した通常サイズの豆粒を見て、マスターは唸ってしまいました。食べる専門のドミニアにも、流石に料理にするのは難しいとは分かっていたのですが。
その豆を見つめてから、ディジベラがドミニアを見上げました。
「この豆、ドミニアさんは何かに使う?」
「うーん、多分使わないかナ。普通の豆っぽいシ、薬にはならなそうだシ」
「私が貰ってもいい? 庭で育ててみようかなって」
「いいヨ~。ディジーが育てた豆なら、食べてみようかナ」
「あはは、それじゃあ樽5つくらい収穫できるようにならなくちゃね!」
「豆農家にでもなるのかい、ディジー?」
 そんな話をしながら、楽しく夜は更けていきました。
 眠る前、ディジベラは早速、庭の一角に豆を植えてみました。ハーブは育てているのですが、豆を育てるのは初めてです。近所の牧場の手伝いをしている幼馴染・リュコか、元農家だというカサブランカさんにでもコツを教えてもらおう、と思いながら、その日は眠りにつきました。

 翌日の朝。
「ん~! まだ寒いわねぇ……」
 寒さに弱い父に代わって、暖炉に火を熾したり、前夜に父が用意した朝食を温めたりするのは、ディジベラの仕事です。
 その匂いにつられてか、ドミニアが目をこすりながら起きてきました。
「おはヨ~、ディジー。今何時~?」
「えっと、時計では六の時刻と半分ね」
 チャマイのからくり術師の知り合いが作ってくれた柱時計を見ると、長針も短針も概ね六の辺りを指しています。
「ほんとニ~? 何か暗くなイ?」
「言われてみれば確かに……って、えぇ!?」
 冬の終わり頃とはいえ、そろそろ日が昇っていてもおかしくはないのに、確かに窓の外は妙に暗くなっています。いえ、遠くの景色は朝の光に満ちていました。ただ、「〈天駆ける狗〉亭だけ」が暗がりになっていたのです。よく見慣れた筈の窓の先に何か見慣れぬものが見えて、ディジベラは思わず玄関を飛び出しました。
「何々、どしたノ!?」
「豆! 大きくなってる!!」
「エ~~!?」
 ディジベラが昨夜植えた豆が、大樹のように空高くそびえているではありませんか。その為、<天駆ける狗>亭が影の中に入ってしまっていたのです。見上げても、先は見えません。一体何が起こってしまったのでしょう。驚きの声を上げたドミニアでしたが、既に落ち着きを取り戻し、何やら思案気です。
「面白い豆だったって訳ネ~」
「何だか上が騒がしいような……」
「クリーチャーでもいるのかナ。……ネ、ディジー、登ってみようヨ。アタシ、この成長っぷりを見せたこの木、気になるシ」
 もしかしたら珍しい薬になるものも見つかるかもしれない。それに、冒険好きなのになかなか冒険に行かせてもらえないディジベラを、ドミニアは勿体ないと思っていました。ディジベラの知識欲があれば、新たな薬を見つけることだって容易いかもしれないのです。
「ツタが巻いてるから登りやすいシ、落ちそうになったらアタシがキャッチするからサ。葉っぱで休憩しながら行くのもいいシ」
「うーん……パパもまだ起きてこないし、ドミニアさんもついてきてくれるし、ちょっとだけ、なら良いわよね!」
「よし決まリ! 準備して早速行ってみヨ~!」
「お~!」

 こうして、少し不思議で内緒の冒険が始まったのでした。



 いっぱい食べる子っていいですよね!

 みたいな感じで思ったより描写が長引きました。新キャラの登場ですし良しとします。(その割にレニアスさんは薄味だったかもしれませんが(笑))


 さらっとお名前を出してしまったんですが「元農家だというカサブランカさん」は、お世話になっている月さんちの素敵なお子さんでして、拙作「天駆ける狗のディナーは■ミの鍋」のリプレイも書いて下さっておりました。なので勝手にディジベラちゃんたちには面識があることにしております(管理人の管理ミスで、現在HPなどのリンクを把握出来ておらず、ご紹介出来ずに大変恐縮なのですが……!)。



★今回の冒険の目的★

 パパが起きる前に豆の木を登ってみよう!



 という訳で、次回から前編後編に分けて、ディジベラちゃんの冒険譚をお届けします。果たして無事に豆の木を登り切る事が出来るでしょうか!

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