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幕間① 堕落都市ネルドにて ~吸血鬼殺し娘と壮年暗殺者の冒険~

更新日:2025年12月2日


「俺はもう、雇用主がいるのでな」

 

 この冒険記録は、吸血鬼の呪いを受け半ばアンデッドと化した吸血鬼殺しの娘と、その娘に命を救われた壮年の男暗殺者の、吸血鬼退治にまつわる冒険譚……の幕間のお話である。



▼はじめに

 ここから始まる物語は、1人用TRPGローグライクハーフのd33シナリオ『賞金首を狙え―隠密任務編―』の元となったシナリオ(プレシナリオ)のリプレイ小説となります。

 現在TALTO様にて無料公開している同名のシナリオとは、多少異なる場合がございます。相変わらずリプレイを書くのに慣れていないので、読みにくさ等はご容赦頂ければ幸いです。ルールの独自解釈(誤解釈)がある場合がございます。

 更に、『呪われた血族の牙城』後のお話ですので、そちらのネタバレも多く含まれます。


 加えて、おじさまと年若い娘のほんのりロマンス(いまのところ恋愛未満な両片思い)仕立てです。よっしゃー!! という方であれば特にお楽しみ頂けるかと思います。



 元となった作品…賞金首を狙え―隠密任務編―

 シナリオ作者……天狗ろむ


 無料の基本ルール+1stシナリオ『黄昏の騎士』のURLはこちら!→ https://ftbooks.booth.pm/items/4671946 



 それでは早速、始めていきましょう。

 お話は、『呪われた血族の牙城』後、セレーナちゃんとミダスおじさんが、吸血鬼ヴェルゴウルと血のあるじアルザハイオンを倒した辺りの、堕落都市ネルドにて……。


†・†・†・†・†


「これからどうする」
〈吸血鬼〉ヴェルゴウルと血のあるじ・アルザハイオンの起こした一連の事件が、『吸血鬼殺し』セレーナと『暗殺者』ミダスにより落ち着いた、その翌日。ミダスは雇用主となったセレーナへと問う。
「そうですね……〈吸血鬼〉を片っ端から倒していけばいいのか、名のある〈吸血鬼〉を倒した方がいいのか、それすら分かりませんので、今度こそ改めてカットナーお爺様にお話を伺おうかと」
「パンはパン屋。賢明だな」
「ググは留守番をしています!」
「よろしくね、ググさん」
 成り行きで従者として連れて行くことになった〈ゴブリン〉のググを宿屋に置いて、漸く当初の目的を果たす為、セレーナは改めて【アンデッド】の専門家であるカットナー老人の元を訪れていた。昨日の今日なので少し驚かれたが、すぐに部屋に通される。カットナーがアルザハイオンに攫われた所為もあってか、【アンデッド】除けのおまじないの数が更に増えていたので、セレーナは前来た時よりそわそわしてしまった。
「何じゃ、改まっての話とは」
「私が【血の呪い】を受けたという話をしたと思うのですが、これを解く為には〈吸血鬼〉を七体倒さねばならないようなのです。でも、どのような〈吸血鬼〉を倒せば解けるのか、までは分からなくて」
「ふむ……【血の呪い】か。体のどこかに刻まれているだろう。見せられる場所か?」
「えぇと、多分これです」
 セレーナは首まであるインナーをそっとずらす。そこには、まるで茨か、鎖の首輪のような赤黒い紋様が刻まれていた。ミダスも見た事が無かったので少し目を瞠る。セレーナの細く白い首筋に、それはあまりに痛々しく映った。
「目立つので、首が出る服が着られなくなっちゃったんですよねぇ……」
「印はひい、ふう、みい……そうだな、解くにはやはり七体の〈吸血鬼〉を倒さねばなるまいな。既に二つは消えておるが」
「どの〈吸血鬼〉でもいいのか」
「いや、この紋様と『七体』という事からして……恐らく、闇貴族の一派『七つの大罪』の〈吸血鬼〉でないと無理であろう」
「『七つの大罪』?」
 カットナー老人曰く。
 『強欲』『傲慢』『怠惰』『暴食』『憤怒』『嫉妬』……そして彼らを生んだとされる『色欲』。
 この名を冠した、強大な〈吸血鬼〉たちがいるのだという。
「ヴェルゴウルとアルザハイオンを倒して呪いが解けたのであれば……まず間違いない。ヴェルゴウルが新参の『強欲』、アルザハイオンが『傲慢』であろう」
「なら他の五体はどこにいる?」
「連中の根城までは分からん。じゃが……『強欲』と『傲慢』の二人がやられたのであれば、何らかの動きはある筈じゃ。儂も探ってみよう」
「ありがとうお爺様。でも無茶はなさらないで下さいね。魔法道具の力も無くなってしまった事だし……」
「もう無茶は懲りたわい。それに、ランプの代わりとなる魔法道具を探すのはお前たちの仕事じゃわ」
「何だと?」
「代々受け継がれてきた家宝なのじゃぞ? ここで無しになったらアンジーに残してやれんではないか。儂の子孫がピンチになったら困るじゃろが」
 カットナー老人は眉を吊り上げた。何だかんだ言いつつも、孫との仲は良好らしい。
「じゃあそれも探しますね。……と、なると、暫くは情報収集ですかね。ネルドはお爺様の方が顔が広そうだし……私たちは別の方向から探した方が良いでしょうか」
「そうだな。……心当たりがない訳じゃない」
 ミダスが呟く。既に雇用主の元へは戻れないから、その伝手は使いようがないのだが……逆に使えるようになった伝手を思い出したのだ。ネルドからもほど近い。
「では、私たちはそちらで情報を集めましょう。ところで、どこでしょうか?」
「……からくり都市チャマイの西、山村にある宿、〈天駆ける狗〉亭だ。マスターの顔が広いし、〈還らずの森〉にも近い。〈吸血鬼〉の話もある程度は集まっているだろう」
「ふむ、宿か。それならそこを拠点にするといい。もし何か分かればそちらに手紙を出そう」
「分かりました。宜しくお願いしますね。……あ、あと、これなのですが」
 セレーナは、古城のとある部屋に隠されていたロケットを取り出した。
「古城で見つけたものなのですが……見覚えとかありませんか?」
「んー? ん……これは、ジャラードのものでは……そうか、奴も駄目だったか」
 カットナーが呻いた。腕の立つ『吸血鬼殺し』の一人だったという。美人の奥さんと妻似の子どもを溺愛しており、意欲的に仕事をこなす男だったらしい。
「……辛い役目になるとは思うのじゃが、どうか家族に届けてやってくれんか。『吸血鬼殺し』の者が集まる拠点めいた村があってな、妻子はそこに暮らしていると聞いた。それに、そこならば〈吸血鬼〉の色んな情報も集まっておろうし、お主にとって役立つ知恵も学べる筈じゃ」
「はい、届けてみせます。彼の『宝』の元に……」
 ロケットを改めて大事に仕舞いこむと、セレーナはカットナー老人に暇を告げる。
「何だか、前来た時より居心地悪く感じるようになってしまって……ごめんなさい、素敵なお家なのに」
「【アンデッド】対策を強化したからな、無理もなかろう。……儂はミダスと少し話がある、お前さんは外の空気を吸っておれ」
「はい、ではお先に失礼します」
 セレーナがぺこりと頭を下げて、足早に出ていくのを認めてから、カットナー老人はミダスに目を向ける。セレーナが聞き耳を立てていない事を気配で察知したミダスは、早々に口を開く。
「話とは」
「全く無駄がない奴じゃのぉ。まぁいい……無論、【血の呪い】の事じゃ。あれは進行する。……時間が経てば経つ程、〈〈吸血鬼〉に近づいていく」
「何だと?」
「まだその気配は薄そうじゃがな。だが、その内に吸血衝動が現れる。本人に自覚なく、じゃ」
「無意識に人を襲う可能性がある、と?」
「そういう事じゃ。……あの娘っこは優しすぎる。自分がそのような蛮行に出ると分かれば、自分を縛れとか何とか、言いそうな気がするでの。万が一、他人を傷つけてしまったとなったら、恐らく誰よりも深く傷つくじゃろう。よく見張っておいてくれんか」
「……分かった」
 カットナー老人の目に、ありありと心配が浮かんでいるのは新鮮だった。彼の偏屈さが少しばかり治ったようなのは、セレーナの温かな優しさのお陰なのかもしれない。彼女の身を真剣に案じているのも、セレーナがこれを知ったら本当に縛れだ何だと言いそうなのも納得出来たので、ミダスは深く頷いた。
「満月の夜が一番危険と聞く。……頼んだぞ」
「対処法はあるのか」
「特に方法があるとは聞いた事はないのぉ。強制的に眠らせるか、部屋から出ないよう閉じ込めておくか、じゃろうかの……?」
 縛るのとあんまり変わらなくないですか? と脳内のセレーナが小首を傾げていたが、要は無力化すれば良いと解釈し、ミダスはもう一度頷いてからカットナー宅を出た。

「待たせたな」
 カットナー宅内にいる時より、少しばかり顔色の良くなった(とはいえいつも通り青白いのだが)セレーナに声を掛けると、彼女はすっと立ち上がった。
「いいえ。何のお話を……と聞いても?」
「話せるんだったらあの場で話しただろうな」
「ですよねぇ。でも気になるぅ~」
 粘られるかと思ったが、セレーナは話しても良い時に教えて下さいね! とすぐに引いた。そして改めて一呼吸置く。
「さて、と。これからの方針は決まりましたね」
「『吸血鬼殺し』の村へロケットを届けてから、〈天駆ける狗〉亭に向かう。流れとしては此方の方がいいだろう」
「ですね。また暫く宜しくお願いします!」
「うむ」
「そんなに距離はないですけど、準備はしておきましょう。ネルドで買わなきゃいけないもの、ありましたかね」
「ニンニクか?」
「うーん、それ私にも効きそうなんですよねぇ……」
「ならやめておくんだな。……あと、今日一日は別行動だ。俺は少し野暮用がある。俺が戻るまでは宿で待機していろ」
「私がついて行ったらダメな用ですか?」
「嗚呼」
「ですよねぇ。気になるぅ~。……じゃあ、お気をつけて行ってらっしゃい。無事の帰りを待ってます」
 ジト目でミダスを見つつも、最後には笑顔で手を振るとセレーナはおとなしく宿へと戻った。何か思う所はあったのかもしれないが、此方が言い出すまでは踏み込んではこない。人懐こくはあるが、距離感はわきまえている娘で助かった、と内心ミダスは思いつつ、心を鎮めながらとある場所へ向かう。より暗く、より剣呑さを増す裏通りを進み、双頭の馬が看板に描かれた酒場……〈双頭の牡馬〉亭に入る。
「店主。【双頭の馬にニンジン1つ】」
 まばらに入っていた客らの探るような目線をものともせず、ミダスは奥へと進んでカウンターに金貨を1枚置く。合言葉を唱えると、グラスを磨くのに熱心だった老爺が片眉を上げて漸くミダスを見上げた。
「おや。てっきり死んだと思ってたよ」
「死んだようなものだ」
「そうかね。奥にいらっしゃるよ、入んな」
 老爺がニンジン型のベルを一度だけ鳴らす。鈍い音が小さく響くのを聞き届けてから、ミダスは勝手知ったる様子でカウンターの奥の扉を開ける。奥の部屋の豪奢なソファーに座っていたのは、馬の顔を持つ獣人だった。流石に双頭では無かったが、スティック状にしたニンジンを齧りながら、紙の束を眺めている。
「ベル1回は暗殺の仕事。……だが。一度失敗した身だろ。やれんのか、ミダス」
「だからこそ、だ。腕が鈍った。金も欲しい」
「ふうん。ある意味自由になったってのに、結局こっちに戻って来たか。ま、稼ぐにゃ手っ取り早いからな」
 そうだな……、と馬の獣人は紙を何枚か眺めて、その内の一枚をミダスに放った。空中で即座に手に取り、内容を眺める。
「熱血卿ハボリーム一味。そろそろ目障りな規模になってきたんで、宜しく。報酬は金貨四十枚」
「六十は欲しい」
「おっと、値段交渉するようになるなんて、人間らしくなってきたじゃねぇか。……四十五だ」
「五十五」
「……五十。これ以上は無理だ。はー、昔の道具みてぇだった頃のお前だったら即座に受けてくれたのによ」
「前は金があっても使い道がなかったからな」
「ま、そうだわな。ところでお前、悪雄んとこのオーナーにはどう話すんだ」
「どうも何も……追手も無いし、元々が捨て駒のようなものだ。次の駒を使っているだろうよ」
 ミダスは紙を破り捨てるとマッチでさっと燃やした。敵の根城、敵の規模などの情報は頭に叩き込んだので必要ない。あとは依頼完了の話を持ってくるだけだ。じゃあな、と立ち去るミダスを目で追いながら、馬獣人のボスはまた一本ニンジンを齧る。
「追手が無い時点で、帰ってこいと言ってるようなモンだと思うがな」


†・†・†・†・†


 恒例!くそながプロローグ!


 セレーナちゃんの【血の呪い】@拙亭の設定!(ギャグじゃないよ)

 からの、〈天駆ける狗〉亭への流れ+吸血鬼キャンペーンシナリオのサプリメントにする予定の『吸血鬼殺し』の村の匂わせ!

 そしてミダスおじさんの〈悪雄の宴〉亭(とオーナーであるマスター兄ゾラヤさん)への繋がり!


 などなど設定てんこもりでお送りしました。設定厨なのですみません。

 まぁこのリプレイを簡単に言いますと、


 堕落都市ネルドの都市サプリメントでミダスおじさんに『暗殺術』覚えて貰いたいけどお金が足りないのでお金稼ぐシナリオを自作しちゃったのでやりました!!!!!!


 というリプレイです。あまりにも私欲!

 ただ、ぽんとお金渡すのもどうかと思ったので……あとミダスおじさんの『暗殺者』っぽいとこ見てみたい!!!(結局私欲)


 さて、ミダスおじさんの能力値は現在こちら。


ミダス
経験レベル:13
技量点:2
生命点:6(装備含む)
器用点:5⇒4(呪われた血族の牙城3回目で【運命の切り札】使用のため)
従者点:9
装備:銀の片手剣、革鎧
持ち物:ランタン、ロープ×3、弓矢、ひび割れた仮面
金貨:1枚
技能:【全力射撃】、【運命の切り札】、【奇襲】、【速攻】、【縄縛り】
従者:今回はなし

『呪われた血族の牙城』の3回目の冒険終了後、経験点を2点消費して従者点を1点上げました。これでセレーナちゃんとの旅にも〈ゴブリン〉のググを連れて行けます。今回はお留守番してもらってますが。

 今回の暗殺用に、ロープを買えるだけ買っておきました。色々使えるのでね。


『賞金首を狙え―隠密任務編―』は、特殊ルールてんこもりでして、まず賞金首を2体の内どちらかを選び、【配下点】を決めます。今回のターゲットは『熱血卿ハボリーム』。そして【配下点】が最終イベントで出て来る援軍の数です。道中でなるべく減らしておくのがポイント。上手く行くかはダイスの女神のみぞ知る、なのですが……。

 さて、ミダスおじさんが向かうアジトの配下数は……?


★アジトの【配下点】 1d3🎲2⇒1+1=2 ×5⇒10点

 お! 最小値でした。よしよし。ここで命運が決まると言っても過言ではありません。

 それでは行ってみましょう。

 今回は従者なしで挑みます。そうすると、本シナリオの特殊ロール【スニーキングロール】に+1の修正がつきます。ミダスおじさんは『暗殺者』なので更に+1で、合計+2点。革鎧の器用点修正も込みで+3です。


 これ、別に【器用ロール】でも良かったんじゃ? という気もしますが、何となく【スニーキングロール】の方が暗殺者っぽいカッコよさがあるのでそうしました(???)

 今回はボスを倒すのがメインなのと、1人だけなので話す相手もおりませんので、中間までサクっと進めます。



■できごと1 出目🎲12〈噂話〉 

【スニーキングロール】技量点2+修正3+🎲2 成功

「手がかり」1個ゲット。


■できごと2 出目🎲11 〈食糧庫〉 

【スニーキングロール】技量点2+修正3+🎲1 ファンブル!

 食料だけ頂戴する。


■できごと3 出目🎲12⇒13 薬品庫 

【スニーキングロール】技量点2+修正3+🎲4 成功

「眠り薬」をゲット。🎲3⇒2回分使える。


 何と、私にしては珍しく、中間までが全て出目10番台でした。いつは初手30番台とかなのに。ミダスおじさんの本気度が窺えるようですね。まぁちょっとファンブルも出してますけどもね。

 さて、この辺りで一旦ミダスおじさんがどんな感じかを見てみましょう。


†・†・†・†・†


 ターゲットのアジトに到着した。貴族の使っていそうな豪奢な屋敷である。部屋が沢山あるのは事前に確認済みだ。上手く隠れながら潜入するのはそう難しくはないだろう。
(アジトにいる配下の数は、十人。……問題ない)
 ターゲットは今、精鋭の部下のみを連れて会合に出ている。今の内にアジト内の戦力を減らし、のこのこ帰ってきたところを仕留める。自分の根城が襲われているとも知らず、油断して帰ってくるであろうから、その時がチャンスだ。
 ふと振り返って声を掛けそうになったが、今のミダスの後ろには誰もいない。いつの間にか、後ろにセレーナがついてくるのが当たり前になっていた事に改めて驚く。
(……待ってます、か)
 セレーナに別れ際言われた言葉を不意に思い出す。今までであれば、一人でこなしてきていた仕事だ。成功が当然で、失敗は死を意味する。淡々とそれらを受け入れるだけだ、と思っていたが、セレーナが待っているとなれば、帰らなければという気持ちが湧いた。
(……悲しませたい訳ではないからだ)
 誰に対する言い訳だったのか。ミダスが帰らない事で、セレーナが悲しむのは確かだろうから。無事に依頼を完遂する、ミダスの今まで通りの行動の中に、意義と意志が生まれた。
――案外、悪くない気分だった。

 気を引き締め直し、アジト内に潜入した。
 広い屋敷内に十人ほどしかいない為か、中はほぼ静かでがらんとしている。
(まずは、ボスの部屋を探すか)
 順当に考えて、屋敷の上階。奥の部屋ではあろうが、確認しておくに越したことはない。階段を登ろうとした時、廊下を通りかかる配下が数人いた。物陰に身を隠し、聞き耳を立ててみる。
「聞いたか、ボスの話」
「嗚呼、アレだろ。隠し通路があるって話」
「……え? 何それ知らんが……」
「やべっ、今の話無しな!?」
 人の口に戸は立てられないというが、まさしくだ。隠し通路があるなら、そこから逃げ出される可能性もある。ボスが帰ってくるまでに、どうにか探れるといいのだが。
 アジト内を歩き回っている配下たちとの接触は避け、やり過ごす為に入った食糧庫で食料だけ拝借し、更に屋敷内を進む。
 厳重な鍵のかかった部屋を見つけ、ボスの部屋かと入ってみたが、どうやら薬品庫のようだった。「ダル」や「クカ」など、ネルドや【悪の種族】には馴染み深い薬物が並ぶ棚の中に、「眠り薬」を見つける。瓶に書かれた走り書きを読むに、『主が興奮して寝付けない時に、ハーブティーにひとたらし』だそうだ。どうやら熱血卿の名に恥じない熱血っぷりのようだ。会う前からやや嫌な予感がする。
 薬品庫を出た先に、更に豪華な、炎を模したらしいデザインの彫刻の施された両開きのドアを見つけた。
(ここだな)
 見張りなどはいない。潜入しやすくて助かるというものだ。


†・†・†・†・†


 さて、こんな感じでしょう。

 それでは中間イベントです!


■できごと4 中間イベント 

 ボスはまだ帰ってきていない。部屋に潜入する。

「手がかり」1個なので、ドアに細工出来るかチャレンジです。


【スニーキングロール】 技量点2+修正3+🎲6 クリティカル!

 成功! これで、最終ボス戦の援軍が来るまで時間が稼げます。

 🎲6⇒結果は3! 後で使うのでメモしておきましょう。


 それでは、後半戦行ってみましょう!

【配下点】を減らしておきたいところですね。



■できごと5 出目🎲11⇒21 厨房 


 鍋がぐつぐつ煮えている厨房にやってきました。まずは誰かいるかどうか、の【幸運ロール】です。

【幸運ロール】 技量点2+🎲3 成功!

 誰もいませんでした!

 運良く「眠り薬」を持ってますので、2回分使い切っちゃいましょう!

 これでこの後、この鍋を食べた配下がスヤスヤし始めるので、【配下点】が「眠り薬」を入れた分だけ減ります。

 眠り薬 2回分混入 【配下点】10⇒8



できごと6 出目🎲13⇒22 休憩所 


 ここでも、まずは誰かいるかどうかの【幸運ロール】です。

【幸運ロール】 技量点2+🎲4 成功!

 ここでの成功の場合は、配下が3人程ぐーすかと寝ています。失敗だと誰もいないので、ちょっとだけご注意。

 一人は〈ゴブリン〉、 一人は〈オークの戦士〉、 一人は〈トカゲ人の戦士〉です。相手が無防備なので、無力化を試みる事が出来ます。さくっと息の根を止めちゃうのか、ロープで縛りつけちゃうのか…はGMとPL判断というやつです。

 ミダスさんは、というと……「暗殺者」モードなのでさくっとやっちゃうかも。ただ、ゴブリンに手をかけるのは躊躇ってくれそうなので、オークにサヨナラ! チャレンジしてみましょう。


【スニーキングロール】 技量点2+修正3+🎲5 成功
オーク無力化 【配下点】8⇒7

※現在無料公開中の『賞金首を狙え―隠密任務編―』ですと、連続で他のクリーチャーにも無力化チャレンジOK(もし失敗しても、d33でもう一度この出目だったら、再度チャレンジ出来る)なのですが、最初の想定だと1回につき1回チャレンジだったので、ミダスおじはオーク無力化しただけで次に向かっています。出目表を振る6回の間にここに3回来て判定成功しないと「手がかり」手に入れられないのも鬼畜だなと思って変更しております。


※※でもゴブリン愛が強いPLなのでゴブリンを無力化はしないかもです(笑)



■できごと7 出目🎲11⇒23 武器庫 


 最後のできごとも何と20番台! き、奇跡か……?

 ここでも誰かいるかな【幸運ロール】ですよ。

【幸運ロール】 技量点2+🎲4 成功

 最初の方のファンブル以降、出目が安定してますね。いい事だ!

 誰もいなかったので、武器の破壊工作です。ソイヤ!


【スニーキングロール】 技量点2+修正3+🎲5 成功
🎲3⇒2本の武器を破壊。 【配下点】7⇒5

 順調に【配下点】を減らせましたね。これくらいなら囲まれても何とか……!

 それでは、最終イベント前のミダスさんの様子です。


†・†・†・†・†


 ミダスは苦もなくボスの部屋に滑り込む。赤地の絨毯、赤地のカーテン、赤い生地の多く使われたタペストリーのかけられた暖炉……全体的に赤色を基調とした、やや目に痛い豪華な部屋だ。ざっと怪しい箇所を探してみたが、隠し通路の入り口は見つけられなかった。時間もないので、ドアに仕掛けを施す。片方のみ開くようにして、敵が雪崩れ込んで入ってくるのを防ぐ。これで多少の時間稼ぎは出来るだろう。
(……後は、手下を減らすとするか)
 暗殺者の本領発揮といったところか。ミダスはまた音もなく、静かにボスの部屋を出たのだった。

 微かに料理の匂いを感じて、そちらに向かう。厨房のようだ。鍋が火にかけられていたが、料理番はどうやら席を外している。食糧庫にでも向かったか。好機とばかりに、先程薬品庫で見つけた眠り薬をひとたらし、ふたたらし。
 物陰に潜んで様子を窺っていると、料理番らしきゴブリンと共に、腹を空かせた配下のゴブリンやオークがぞろぞろとやってきた。
「ほら、よーく煮込んだだぞ! ありがたく食べろ!」
「パンも寄こせ!」
「おい、ちょっとしょっぱいぞこれ! でもおかわり!」
「これくらいがいいんだよ! な!」
 文句を言いつつも鍋のスープをお代わりまで食べたゴブリン二人は、その内にその場で気持ちよさそうに寝始めた。
「わはは、おれの料理がそんなに美味しかったか」
 料理番は特に怪しまず、気を良くしたのかご機嫌で鼻歌を歌いながら皿洗いを始める。腹いっぱいになりガヤガヤと出ていく配下たちがいなくなった後、そっと厨房を出た。これで、二人は無力化出来た訳だ。

 空腹を満たした配下たちの三人程も、眠そうに眼をこすったり欠伸をしながら、休憩室らしき部屋に入っていく。程なくして、大きな鼾が聞こえてきた。ミダスがすっと部屋に入り込むと、所せましと並べられた二段ベッドの幾つかから寝息が聞こえる。部屋の扉に一番近い所ではゴブリンが腹を出して寝ており、中ほどのベッドにはオークが寝言を言いながら足をはみ出させ、奥のベッドではトカゲ人が静かに目を閉じている。一切警戒心の無いゴブリンを仕留めようとして、セレーナにだけ懐いているあの無礼なゴブリンを一瞬思い出し、ミダスの腕がとまった。
(……ちっ、これは要らん情だな)
 勿論、敵対してきたならこのような甘い考えなど捨てねばならないが。元々ゴブリンがか弱い存在だ。援軍として来てもそこまで脅威にはならない……と自分に言い聞かせるようにして、オークの方へと向かう。戦力としては、オークとトカゲ人の方が余程強い。どちらかを無力化出来れば、ミダスの勝率はより高まるのだ。
(痛みなく、眠る様に去れ)
 急所を一撃で突く。オークは微かに呻いたが、すぐに動かなくなった。奥のトカゲ人とゴブリンも起きる気配はない。静かに眠っているかのように見えるこのオークが事切れているのに気づくまで、暫くはかかるだろう。
 これで戦力をまた削った。ミダスは次の部屋へと向かう。

 次に忍び込んだ部屋は、武器庫として使われているらしき部屋だった。棚や壁の至るところに剣や斧、槍や棍棒……あまり手入れはされていない粗悪なものが多いが、なかなか集めているようだった。これらを幾つか壊しておけば、素手で戦うしかなくなる者が増える。大きな音を立てぬよう、雑多に置かれた武器の中から剣と槍の二つほどを真っ二つに折って使い物にならなくする。物音を聞きつけられた様子もない。
(……これで、半数くらいは無力化出来たか)
 全員無力化は出来なかったが、だいぶ良いだろう。俄かに玄関辺りが騒がしくなってきた。恐らく、ボスが帰還したのだろう。
(……生きて、戻る。こんな事を思うようになるとはな)
 武器を握りしめる。出来る事はやった。後は始末をつけるだけだ。ミダスはボスの部屋へと足早に向かった。


†・†・†・†・†


 それでは最終イベント!

 現在【配下点】と、中間イベントでメモした『3』も使います。


■できごと8 最終イベント〈熱血卿ハボリーム〉


 ボスが1d3体の精鋭の部下と共にアジトに帰還します。

(出目メモが無かったのですが、今回は1体のみでした)


 今回はボスだけ倒せれば、他のクリーチャーが生きていても【逃走】可能。

――さぁ、暗殺の時間だ。


 中間イベントの時点で手がかりが1個あり、ドアの細工に成功していれば、1ラウンドから戦闘を開始できます。増援は1d3+1ラウンド後にやってくる(結果が2だった場合、3ラウンド目の始まりにやってくる)。

 なので、今回の増援は4ラウンド目の始まりからやってきます。【配下点】5なので5体の増援です。

 ボスはレベル6、精鋭はボスに【かばう】をしてくるので厄介です。

 援軍が来る前に片づけてしまいたい所ですが、まぁ行ってみましょう!



 1ラウンド 

 ボスを狙うも、精鋭に阻まれる。 技量点2+🎲6 クリティカル!
                  更に追撃! 🎲2 失敗

熱血卿 【爪紅】使用 魔術点6⇒5 防御 技量点2+🎲3 失敗 
ミダス 生命点6⇒5
精鋭の攻撃への防御 技量点2+🎲6 クリティカル!

※メモの通りに記述してますが、まずボスへの【攻撃ロール】判定⇒クリティカルで成功の場合、精鋭が【かばう】発動⇒もう一度【攻撃ロール】(-1修正)で成功すれば、ボスにダメージですね。そしてクリティカルなのでもう一度【攻撃ロール】が出来て、それには【かばう】発動しないので、ダメージチャンスだったんですが、普通に間違えています。

 そして、公開シナリオでは【かばう】を行なった精鋭は攻撃してこないにしました。ここがプレシナリオの段階ではかなりふわふわしてましたね……。



 2ラウンド 

 邪魔されるならば、と精鋭へ攻撃 技量点2+🎲3 成功 精鋭1⇒0
 熱血卿の素手【炎】攻撃を防御 技量点2点+🎲4、1 成功、ファンブル
 ミダス 生命点5⇒4

 毎回精鋭に【かばう】されるのも面倒なので、さくっとやっつけました。じわじわダメージ受けてますが、大丈夫か!?



 3ラウンド 

 今度こそ熱血卿へ攻撃 技量点2点+🎲3 失敗
 防御 技量点2点+🎲5,3 成功1,失敗1
 ミダス 生命点4⇒3

 レベル6なだけあって手強いですね! 自分で決めたボスながら、なかなか攻撃が通りません。次のラウンドで増援のゴブリンも駆けつけてしまいます。大丈夫か!?



 4ラウンド 増援5体 

 構わず熱血卿へ攻撃 技量点2点+🎲6⇒1 クリティカル!ファンブル!
 【運命の切り札】使用!クリティカル扱い⇒🎲3 失敗
 熱血卿 生命点5⇒3
 熱血卿 魔術点5⇒3 増援2体を【爆弾化】
 増援5体の通常攻撃への防御 技量点2+🎲5,3、4、6 成功3、クリティカル1
【爆弾化】した配下の【炎】攻撃2回への防御 🎲6 クリティカル!(2回成功扱い)
 増援数5⇒3

 独自ルール適用で、【防御ロール】にクリティカルした場合、2回成功とみなす、を適用した模様です。死んでほしくないからね!!!!!!



 5ラウンド 

 熱血卿へ攻撃 技量点2点+🎲6⇒6⇒1 クリティカル2ファンブル
 熱血卿 生命点3⇒1
 熱血卿 魔術点3⇒1 増援2体を【爆弾化】
 増援3体の通常攻撃への防御 技量点2点+🎲6、2 クリティカル、成功
【爆弾化】配下の【炎】攻撃2回への防御 技量点2点+🎲1,3 ファンブル1、成功1 
 ミダス 生命点3⇒2
 増援3⇒1

 あと一息! ミダスおじもだいぶピンチですが、やれるか!?!?!?




 6ラウンド 

 熱血卿へ、トドメを! 技量点2点+🎲6!!!!!⇒5 クリティカル!からの成功! オーバーキル!
 増援1体【死ぬまで戦う】⇒【劣勢なら逃走】へ。

 戦闘終了!


 ☆宝物 

🎲6+2=8 魔法の宝物

🎲1⇒『コビット製爆弾』


 今見てみると、めっちゃクリティカル出してますね。PL私にしては珍しい。ミダスおじが本領発揮したのかもしれません。

 公開シナリオだと「手がかり」使用でボスの特技を阻む事が出来るんですが、熱血卿ハボリームさんの場合だと、ボンボン爆発して援軍数が減ってはいくので、そのまま特技を使わせてしまうのもアリかもしれません。

 そんな爆発魔を倒して爆弾をゲットしました。ミダスおじなら有効に使ってくれるでしょう。さて、描写をしておきましょう。


†・†・†・†・†


 両開きのドアを両方開けようとして、ガタガタと鳴らしながらボスらしい赤い衣装を身にまとった貴族然とした男が入って来た。
「おい、ドアの建付けが悪い。油を持ってこい。お前はトウガライシ入り紅茶の用意だ!」
「はっ」
「ただちに」
 ついてきていた精鋭三人の内の二人に指示を出し、ハボリームはコートを脱ぐ。それを受け取った精鋭が、コート掛けにそれを掛けている間に、ミダスは衝立の陰から飛び出すと、ハボリームに銀の剣を向けた。
「何奴!!」
 丸腰に見えたハボリームが思いのほか素早く応戦する。ハボリームの爪が燃え上がり、ミダスの腕を焦がした。成程、武器を携帯せずとも良い訳だ。ミダスの精鋭もすぐさま武器を取り出し、ミダスに牽制した。
(チッ、初撃は外したか)
 火傷は痛むが、構っていられない。睨みつけると、ハボリームは大仰なまでにビシィ、と燃える指をさしてきた。
「ええい、小癪なッ! ハボリーム様の自室に侵入するなど許しがたいッ!」
 熱血卿の名に恥じない熱さで、ハボリームは熱弁を振るいつつ、高笑いしてみせる。
「まぁ命を狙いたくなる程、このハボリーム様の素晴らしさに嫉妬している輩がいるという事だなッ!」
 とても前向きだ……。そしてうるさい。さっさと倒さないと、この大音声を聞きつけて援軍がやってきそうだ。
 ミダスは応じずに無言のまま、まずは邪魔な精鋭のオークを斬り伏せた。ドウ、と巨体が倒れる。
 その倒れかけた巨体の影から、ニヤリと笑ったハボリームが燃える爪先を伸ばしてきた。死角を使った攻撃を躱しきれず、ミダスの腕に火傷が増える。
「ハッハァ、単身で忍び込んだその意気やヨシ! ただ、ハボリーム様を舐めるのはよした方がいいぞ!」
 滑らかに話を続けながら、怒涛の攻撃を繰り出してくる。射程ではミダスが有利な筈だが、避けたと思えば爪が体を斬り裂く。
(……腕、いや爪が一瞬伸びている。だからか!)
 そのからくりに気づいた時、半分しか開かないドアを蹴破って、援軍のゴブリンたちが部屋になだれ込んできた。
「ハボリームさまぁ!」
「助けに来ましたぁ!」
 ハボリームの意識がそちらに向いた一瞬を突いて、ミダスは駆け抜けざまにハボリームの腕を切り裂いた。しかし、ハボリームはよろめきもしない。ハボリームの瞳が怪しく光る。咄嗟に蹴りを入れて距離を取る。
「遅いッ!! だがよく来た諸君! 共に戦い、そして散ってくれたまえッ!」
「アア、アハハア、アハハハハハア!!」
 ハボリームは斬りつけられて溢れた自分の血を、あろうことか援軍の先頭にいたゴブリン二体にまき散らす。主からの血のシャワーを浴びて、狂ったように嗤いながらゴブリン二体がこちらに攻撃を仕掛けて来る。後ろの三体も続いて斬りつけてくるが、それらは机をひっくり返し、上手く避けきってみせた。それでも、不気味に嗤い続けるゴブリンはこちらにふらふらとやってくる。
(……様子がおかしい……まさか)
「ハボリームさま、ばんざーい」
 倒した机に隠れきる。と、同時に、恍惚とした顔のゴブリン二体『自体』が木っ端みじんに吹き飛んだ。衝撃に、机が揺れる。机も絨毯も、骨と血に塗れた。部屋の中が一気に血の臭いが充満する。
「……〈バルサムデビル〉か」
【善の種族】の魂を集める、人の姿をした、文字通りの【悪魔】。正体を見破ると、香しいワインでも嗅ぐかのように、目を閉じて血の臭いをうっとり堪能していたハボリームは更に愉しそうに笑った。
「ククク、ご名答ッ! いやはや良き『花火』であろう? 貴様もその命、共に散らすが良いッ!」
「お断りだ」
 悪魔であるなら、猶の事倒しやすい。机の陰から飛び出すと、ミダスは流れるような剣さばきで肩を切り裂き、更に剣の柄を打ち込んだ。苦悶の呻きと共に再び上がる血飛沫を浴びた残りのゴブリンがまた、「ハボリームさま、さいこーう」と爆死する。流石に避けきれずに吹っ飛ばされ、窓に叩きつけられた。窓ガラスが派手な音を立てて背中で割れる音を聞きながら、ミダスは思案する。
(……あと、一撃)
 愉快そうに嗤っているが、ふらふらしながらこちらに向かってくるハボリームも、そしてミダスも火傷が酷い。次でどちらかが倒れるだろう。
(生きて、戻る。……少々、無事では無かったが、な)
 まだまだ、セレーナには返しきれていないのだ、恩が。それに〈吸血鬼〉退治の依頼もされている。それを放り出す訳にはいかない。
「貴様はなかなか強いな。爆発させるにしろ、魂を貰うにしろ、少し惜しい。降参すればハボリーム様の配下に加えてやってもいい……どうだ?」
 ガラス片に埋もれて動かないミダスに近づき、顔を覗き込もうとしたハボリームは、カッと目を見開いた。
「俺はもう、雇用主がいるのでな」
 銀の剣が、悪魔の心臓を貫いていた。血飛沫を浴びてしまったが構わず引き抜き、更に首を落とす。頭を失ったハボリームの胴体が、赤い血の海のような絨毯に沈む。
「あ、あ、ハボリームさまが、しんだぁ!」
 運良く爆弾にされずに残ったゴブリンは、何かをコロンと落としてすぐに部屋から飛び出して行った。ハボリームの首を、飾られていたタペストリーで手早く包み、ついでに落とし物も拾いあげる。
「主も爆発魔なら、配下もか」
 思わず苦笑する。コビット製の爆弾だった。奪ってきたものなのだろう。ゴブリン製のものであれば少しの揺れで爆発、なんてこともありそうだが、コビット製のものであれば、点火しない限りは安全だ。懐にしまいつつ、ふとタペストリーが飾ってあった場所を見やる。
(壁の色が違うな。もしや)
 触れてみると、横にスライドした。壁の中がくり抜かれ、レバーが隠されている。恐らくは、という確信と共にレバーを引くと、暖炉から音がする。中を覗くと、梯子が現れていた。
(ここだったか、隠し通路は)
 ハボリームの首を持って、隠し通路に入る。梯子を下り続け、暗く細い道を進み、また梯子を上ると、地上に出た。どうやら屋敷の隣にある、薬草園のようだ。
 いくつかミダスも知っている薬草があったので、それで火傷痕や止血を施す。屋敷は騒がしくなっていたが、ミダスの痕跡は殆ど残されていない。ゴブリンの一人に顔は見られてしまったが、主の復讐などは考えない烏合の衆だ。いずれ解散するだろう。

〈双頭の牡馬〉亭に戻り、亭主である馬頭の獣人に首を差し出すと、亭主はちらりと見やっただけで鼻を鳴らした。
「ご苦労ご苦労。腕は取り戻せたようで、何よりだ」
「まぁな」
「ほらよ、報酬だ」
 金貨の詰まった袋が机に放り投げられる。重さを確かめたミダスが、片眉を上げた。
「10枚多いぞ、ロブ」
「あん? 数え直すの面倒だ、そのまま持ってけ。あと、血塗れのまま帰るなよ」
 ミダスは馬頭の亭主……ロブには、セレーナについて一切話していない。だが、赤目の少女と壮年の男がネルドを救った話が出回っているから、男がミダスと気づくのは容易いだろう。それに、この男の情報網もなかなか侮れないのだ。恐らくは事情を既に知っていて、彼なりの餞別なのだろう、と察する。
「……感謝する」
 ミダスは一言告げると、その場を去った。
「礼まで言えるようになるとはなぁ、驚いた。……生まれ変わりでもしたかね? それとも……」
 また一つ、ニンジンスティックを齧りながら、ロブはヒヒンと笑った。

†・†・†・†・†


 馬獣人ロブさん、いいひと。

 と言う訳で、報酬50枚+新たな門出祝いとしてロブさんからのポケットマネーで金貨10枚を貰ったことにしました。

 早速、サプリメント「堕落都市ネルド」で金貨50枚と経験点1点で【暗殺術】も習得……ミダスおじさんの場合は、この潜入任務の内に思い出した、みたいな雰囲気にしました。元々凄腕の暗殺者設定なので!


 自分で作ったシナリオを自分でやってリプレイ書く、というのは初めてだったのですが、今回だとミダスおじさんがだいぶ調子良かったですね。セレーナちゃんの元に戻るという愛の力という事で……☺️


 さて、既にここまでで1万5千字超えてるので、この辺りで……。

 何故今頃になって、セレーナちゃんとミダスおじさんの幕間を書いたかと言いますと、現在二人の最初の冒険である『呪われた血族の牙城』リプレイの製本化作業をしておりまして。その本に、このリプレイ部分とシナリオも入れちゃいたかったのでした。

 A6サイズ、本編だけで既に136ページにもなっていて、この話も収録するので更に分厚い薄い本(同人誌の意)になる予定です。ほぼ自分向け!

 

 2025年12月26日から31日にかけて開催されるWEBイベント『WEBコミ同人祭』にサークル参加を決めましたので、そこでお披露目出来ればな~と日々作業中です。

 本編に加筆修正、挿絵なども入ってますが、収録される本編も幕間もこのサイトで無料で読めますので、ご購入はご無理なく~! まとめて本媒体で読みたいぜ! みたいな方向け。

 

 ちょっとお試しで印刷所さんに頼んでみてまして。何と巻きカバーがつけられちゃうんですって! 本物っぽい!

 まぁお試しなので今回はつけてないんですけど…そして多分原稿おかしいと思われるので手直し作業必須なんですけど…

 そんなこんなで作業に追われた11月も終わ……終わり!?!?!?

 

 今年もあと一か月! また振り返り記事書く予定なのでそこでまた気を新たに致しますが、モリモリ頑張ります~!


 ではでは、今回はこんなところで。皆様も賞金首、狙ってみてください。難しいと思うんですが、良き冒険のあらんことを。


 恒例の最後に一言。


 ローグライクハーフは、いいぞ!!!!!!!

 あとヒーローズオブダークネス書籍がめっちゃいいぞ!!!!!!!!!(中山先生のイラストいっぱいで眺めてて楽しいです)

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