納涼! ナリク夏祭り:半人前錬金術師ディジベラの冒険/閑話
- 管理人 天狗ろむ
- 8月17日
- 読了時間: 43分
――「私も行くわ! こんな楽しいお祭りに無粋な真似は良くないもの!」
この冒険記録は、〈天駆ける狗〉亭の看板娘であり、冒険者としては半人前の錬金術師ディジベラと仲間たちが行く、好奇心と波乱に満ちた冒険譚である。

▼はじめに
ここから始まる物語は、1人用TRPGローグライクハーフのd33シナリオ『納涼! ナリク夏祭り』のリプレイ小説となります。天狗ろむは相変わらずリプレイを書くのがいまいちつかめていないので、読みにくさ等はご容赦頂ければ幸いです。ルールの独自解釈(誤解釈)がある場合がございます。
元となった作品…納涼! ナリク夏祭り
シナリオ作者……東洋 夏 氏
無料の基本ルール+1stシナリオ『黄昏の騎士』のURLはこちら!→ https://ftbooks.booth.pm/items/4671946
夏だ!!!!!
祭りだ!!!!!!
納涼! ナリクの夏祭りをしよう!!!!!!!!!!!!!
ということで(?)今回のリプレイは、キャラクター作成は割愛します。
しかし新キャラ登場です!

ディジベラちゃんは、『リエンス家と大晦日の厄』『豆の木が守る宝』(リプレイ掲載済み)の他、『悪夢の影に追われて』『昆虫都市』(リプレイいずれ書きます!)もクリア済みのステータスです。実はちょっと時系列怪しいんですが……『豆の木が守る宝』が春先の話なので、『悪夢の影に追われて』の前後辺りかなと思っております。
ディジベラ
錬金術師 レベル14 余り経験点:1
技量点:1 生命点:9(装備含む)
幸運点:6 従者点:9
特技:怪物作成、魔力石作成、装備品作成、掘削
金貨:31枚
手1:魔法の片手武器(打撃/母の形見を直してもらった)
手2:丸盾
鎧:魔法の布鎧(母の形見のコート手直し)
持ち物:ランタン、ラッパ銃、治療のポーション、魔力石2個、ハチミツの塊1個、戦いのポーション、弓矢
従者:牙うさぎギーちゃん、牙うさぎキーちゃん
だいぶ冒険者としてもしっかりしてきました!
そして、今回の同行者は……ロング・ナリクの聖騎士であり、コーデリア王女殿下率いる女性で構成された部隊(があるといいなという願望の下)に所属する、男装の麗人・スノウスノウ・ヴァイスエイバーさん!
『ドラゴンレディハーフ』の回想リプレイにちょこっと登場した、レイゲン・ヴァイスエイバー卿とラヴィネさんの一人娘です。娘であり息子、みたいな事になってます。
スノウスノウ・ヴァイスエイバー
聖騎士 レベル16 余り経験点:1
技量点:2 生命点:9(セルウェーの聖鎧、丸盾の修正含む)
筋力点:6 従者点:8
特技:高潔な魂、全力防御、癒しの光、神の加護
金貨:29枚
手1:魔法の片手武器(白銀のフランベルジュ/斬撃)
手2:家紋の入った白銀の丸盾
鎧:セルウェーの聖鎧
装備品;ランタン、寒冷地の油壺2回分、正義の剣、トレント弓、赤熱のランタン
従者:侍従アードラー(技量点0、生命点1、幸運点1、【そらし】)
『戦場の風』『雪剣の頂 勇者の轍』『怨霊列車は夜笛を鳴らす』『写身の殺人者』『吹雪の慟哭 氷獄の囚人』『怪盗は雪夜に舞う』をクリア済み。これらもリプレイは書けたらいいなと思いつつ……。
親衛隊である七人のドワーフたちと軍馬である愛馬・白映はお留守番です。
スノウスノウさんは「白雪姫」モチーフです……が、「白雪姫」に出てくる要素をほぼ全部詰め込んだ為、美人姫にも美人王子にもなれちゃうスーパー聖騎士様です✌
今回は男装バージョン(どちらかというとこちらが素)でついてきて下さることに。
ディジベラちゃんの父・マスターとスノウスノウさんの父・レイゲンさんは旧友なので、娘同士の交流になりますね。
恐らく、恋多きブラーク様よりはマスターの警戒レベルも低い、筈(笑)
とは言え、実はスノウスノウさん、「花嫁(男女問わず)探し」もしてますので、ディジベラちゃんもターゲットに入ると言えば入ってしまうんですが……知らぬがセルウェー(知らぬが仏みたいな意味)ですね!
◆娘と騎士、邂逅する。
昨年の大晦日の際に迷惑をかけたお詫びも兼ねて、ディジベラはリエンス領に招かれました。リエンス家主催で、東の国ヤーパンの夏祭りを模したイベントを行うのだといいます。
誰かと一緒に行こうと思っていたのですが、レニアスやドミニア、幼馴染みのリュコなどはどうやら忙しい様子。そんな折、ロング・ナリクの貴族・ヴァイスエーバー家の一人娘スノウスノウが案内役を買って出てくれました。スノウスノウの父・レイゲンとディジベラの父・ダヴァランは旧知の仲なのだそうで、彼の娘……聖騎士であるスノウスノウがいるならば、と父も快く送り出してくれたのでした。
ディジベラは普段は休みなく宿での看板娘として働いてもいますから、たまには羽を伸ばしておいで、と。
(パパだってそうなのに。……でも、許可貰ったからには全力で楽しむわ!)
〈天駆ける狗〉亭に、白馬に乗った麗人がやってきました。お供に七人のドワーフも連れています。白馬からひらりと降りるや、ディジベラにニコリと微笑みました。スラリとした長身に、サラサラと音がしそうな程の艶やかな黒髪、涼やかな眼差しは氷を浮かべた海のよう。絵本に出てくる『王子様』然とした姿に、ディジベラは暫くぽうっと見つめてしまいました。
「こんにちは。ディジベラ嬢でしょうか?」
「は、はい! 初めまして、ディジベラと言います! 父がお世話になっていたそうで……」
「初めまして、ディジベラ嬢。スノウスノウ・ヴァイスエーバーと申します。ダヴァラン殿のお話は、わが父レイゲンからかねがね伺っておりますよ。ここから数日、護衛を務めさせて頂きます」
ディジベラの手を取ると、スノウスノウは自然な動作で軽く口付けをしました。淑女扱いにタジタジになりつつ、ディジベラは気になって仕方ないとばかりにスノウスノウを見上げます。
「あの、聞いてダメだったら申し訳ないんですけど……スノウスノウ様は女性、なんですよね?」
「気軽にスノウ、とお呼び下さい。えぇ、私は身体上は女ではありますが、騎士の務めの際は男装しております。お嫌であれば、『女性らしい』姿に着替えて参りますが」
「いいえ、いいえ。とっても素敵! 絵本に出てくる王子様みたいだなってビックリしちゃったの、勿論とてもいい意味でよ!」
「おや、それなら良かった。お褒め頂き光栄です、レディ。サー・ブラークにディジベラ嬢はお美しい淑女であるとお伺いしておりましたが、想像以上のお美しさで、私に案内役が務まるだろうかと内心、心配しておりましたので」
「あはは、ブラーク様ったら、褒め上手ね。とりあえず、暫く宜しくお願いします、スノウさん!」
「えぇ、こちらこそ宜しくお願いします」
◇◆◇◆◇
プロローグはこんな感じ。
本来だと、冒険者たちは祭りの警護役として雇用されるのですが、マスターとブラーク様が旧知の仲(詳しくは『ドラゴンレディハーフ』リプレイにて少々分かります)であり、ディジベラちゃんも『リエンス家と大晦日の厄』でリエンス家に一度お邪魔しておりますので、ディジベラちゃんは招待客、スノウスノウさんが護衛兼案内役兼警護役、という感じになりました。
スノウスノウさんもロング・ナリクの生粋貴族であり聖騎士様なので、リエンス家の皆様と恐らく多少は面識があるかな、という想定でお送りしています。
ロング・ナリクまでの道中は割愛してしまって、早速夏祭りに参りましょう!
ちなみに、リエンス家からの軍資金(お小遣い)を金貨10枚頂きました。ありがとうございます!
ディジベラ 金貨31枚⇒41枚
スノウスノウ 金貨29枚⇒39枚
◆夏祭り、はじまる。
「ようこそ、遠路はるばるリエンス領へ。お久しぶりだねレディ、また一段と麗しくなったのでは?」
スノウスノウ一行に率いられ、順調にロング・ナリク入りを果たしたディジベラは、まず招待してくれたリエンス家に挨拶に伺いました。開口一番、リエンス家当主・ブラークは微笑みを浮かべてディジベラを褒め称えてくれます。
「ごきげんよう、ブラーク様。いつもと変わらない筈だけれど、ありがとうございます」
「サー・ブラーク、ディジベラ嬢の護衛任務の往路は終了致しました。これから案内と警護の任務に移行させて頂きます」
「嗚呼、よろしく頼むよ、スノウスノウ殿」
ディジベラと君に、と軍資金を受け取り、スノウスノウは一歩下がります。
「ブラーク様、今日のお召し物は普段と違ってまた素敵ですね。キョウの服装かしら?」
「流石はレディ。『ユカタ』だとか『ジンベイ』などと言うらしい。リエンス家製の布地で作ったものを貸衣装屋として出しているから、もし気になるようなら着てみると良い。レディにもスノウスノウ殿にも似合う事だろう」
「私は任務中ですので」
「まぁもし見かけたら、着てみるだけでも。夏祭り、是非楽しんで行ってくれ」
ブラークは笑って、私も出かけてくるよ、と窓から颯爽と出ていきました。
「どうして窓から……?」
「……ツェス殿もご苦労な事ですね……」
首を傾げるディジベラの傍らで、執事頭の鳥人を思い、スノウスノウは苦笑したのでした。
◇◆◇◆◇
ツェスさん大好き過ぎるので名前だけ出してしまいました。
さぁて、ブラーク様から資金も頂きましたし、夏祭り、楽しむぞー!!!!!
◆お祭り巡り1 🎲11 〈弓矢で的当て〉
!!!!!!
多分恐らくめいびーソールくんだ!!!!!!
すみません、リエンス家大好きなのでできごと1つ目からクソデカボイスが飛び出てしまいました。
「リエンス家関連」「優しそう」「金髪の青年」「弓の扱いに長けている」とくればもう脳内アキネイターおじさん(?)もドヤ顔で「ソール・オ・リエンス?」と一択です。
ソール君の登場リプレイはいくつかございますが、最新刊としてはこちら、FT書房さんからも最近発売した『エメラルド海の探索』に一足お先に向かっているリプレイです。
スノウスノウさんとソール君も一応面識はある、くらいの想定で進みます。年齢的にも、聖騎士仲間(?)のノックスお兄様よりかは交流度低めかなとは思うんですが。
ディジベラちゃんは初ソールくんです……が、恐らく気付かない事でしょう。
◇◆◇◆◇
リエンス屋敷から出ると、ディジベラとスノウスノウは、まずは一番近かった屋台を訪れました。
そこは少し遠くに並べられた板を、弓矢で射貫くアトラクションのようでした。
店番をしているのは、優しそうな面持ちの金髪の青年です。
スノウスノウには見覚えがありました。先程窓から去って行ったリエンス家当主・ブラークの六男坊であり、弓の名手の冒険者として名を馳せ始めているソール・オ・リエンスでありましょう。
「ディジベラ嬢、こちらは……」
青年は口元に人差し指を立てて、しーっと合図をしました。身分や名前は明かさない方が良さそうだ、と判断し、言いかけたスノウスノウは口を噤んでこくりと頷きます。
「こんばんは、ここでは的当てが出来るのね。この前、初めて弓矢を使ったんだけど、私結構上手かったのよ」
「やぁ、こんばんは。では、どうやらお手本は要らないようだね。腕に自信がおありのようだから、難易度の高いものに挑戦してみるかい? 一番遠くて小さい的は今のところ、誰も当てられた事がないんだ」
「やってみるわ!」
◇◆◇◆◇
まずはディジベラちゃんが金貨5枚支払って、目指せ弓の名手!
金貨41枚→36枚
リュコくんに借りっぱなしの弓矢でいざ!
【器用ロール】+1修正 🎲2 失敗!
◇◆◇◆◇
「えい! ……あら?」
自信満々にディジベラが放った一射は、かなり手前でポトリと落ちてしまいました。青年が矢を取りに行き、ディジベラに返してくれました。
「構え方はとても良かった。あとは狙いと……力加減が惜しかったね」
「弓矢道、険しいわね……!」
また父に稽古をつけてもらおう、とやる気を見せるディジベラ。最初の屋台で、何も景品がもらえないのも忍びないと、スノウスノウも自前のトレント弓を取り出しました。
「レディにだけやらせるというのも気が引けますので、私も挑戦させて頂きましょう」
◇◆◇◆◇
という訳で、スノウスノウさんもチャレンジ!
金貨39枚→34枚
まぁまぁ使い慣れているトレント弓を使いますか! これはロング・ナリクの都市サプリメントでゲットしました。故郷ですのでね!
【器用ロール】 🎲6 クリティカル!
ヒューッ!!!!!
カッコいい!!!!!
イケメン!!!!!!
(※スノウスノウさんに癖込めすぎてファンと化している者)
◇◆◇◆◇
スノウスノウが使い慣れたトレント弓を綺麗な動作で構えると、余りの清々しい凛々しさに辺りの観客も静かになりました。一呼吸置いてから、ヒュッ! と鋭く放たれた矢は――見事、的のど真ん中を撃ち抜きます。
息をのんで見守っていた周囲がワァっと歓声をあげました。ディジベラも手を叩いて大喜びです。
「すっごーい!! スノウさん、やったわね!」
「……いやはや、流石は聖騎士ですね」
「レディに良い所を見せたいばかりにすみません。ソ……店主殿の商売の邪魔をしてしまいましたね」
「いえいえ、むしろ良い宣伝になりそうです。……さぁ皆様、騎士殿に続いて的当てはいかがでしょう! お子さん用に易しいものもありますよ!」
流石は商人として名を馳せた家の息子だ。穏やかで優しそうな顔をしつつも、商機はしっかり掴んでいる。スノウスノウの一射に負けじと、観客が集まりだしていた。
「魔法の武器を1つ頂けるそうですが、ディジベラ嬢は欲しいものは御座いますか? 此度の記念に、贈らせて頂ければと」
「あらまぁ、良いの? えぇと……じゃあ、このセルウェー様の紋章が書かれたナイフにします!」
◇◆◇◆◇
魔法の軽い武器(ナイフ、軽い武器)を1つゲットしました。
太陽を模した紋章とかでしょうかね。ナリクといえば、みたいなものにしてみました。
ディジベラちゃんがもう一度チャレンジしたい感じがあるので、もう一回だけやってみましょう。
金貨36枚→31枚
飴ください!
【器用ロール】+1修正 🎲5 成功!
この結果だったら最初の的にも届いてましたね。まぁそれも楽しみの一つという事で。
「かずら森の蜂蜜キャンディ」をひとつ獲得しました。副能力値回復アイテムは稀少なので助かりますね。美味しそうすぎる。喉にも良さそう。
◇◆◇◆◇
「私、もう一回やってみてもいいかしら! 今度は身の丈にあった的を選ぶわ」
「謙遜なさらずとも、良い弓筋でしたのに」
「良いお手本を見せて貰ったのだし、今度こそ!」
順番の来たディジベラが、もう一度弓を構える。スノウスノウの動作に限りなく近い。これは当たるだろう、と店主の青年が密かに確信していると、案の定、ディジベラの放った矢は的をしっかり射貫いた。
「わ! 当たったわ!」
「お見事でした。では景品の『かずら森の蜂蜜キャンディ』をどうぞ。疲れた時に舐めると美味しいですよ」
「ありがとう! お土産にも良さそうね」
「では、そろそろ次の場所に行きましょうか」
「えぇ、そうね。お兄さん、楽しかったわ! お店がんばってね」
「ありがとう。ナリクの夏祭り、楽しんでいって欲しい」
青年に飴を手渡され、笑顔のディジベラとスノウスノウは屋台を後にする。二人の背中に手を振って見送った後、青年はぽつりと嬉しそうに呟いた。
「……明るい元気な人だったな。兄さんの言ってた通りだ」
◇◆◇◆◇
ソール君にもちょこっとだけ認知されているといいな、という願望!!!!!
はじめたての頃は少し頼りなさげだったソール君も、今や立派な冒険者。〈天駆ける狗〉亭に来て頂けたらきちんとおもてなししたいですね。まぁ出来れば闇鍋以外で……ディジベラちゃんも、ソール君の冒険譚ならワクワクで聴き入る事でしょう。
◇◆◇◆◇
◆お祭り巡り2 🎲11→12 〈焼き鳥屋〉
さてはディジベラちゃん、端から回る気だな?
極彩色の鳥人……『女王の肉』第4回目のリプレイに出てくるニレ君かな!?!?
(第1~3回目は、我らがノックスお兄様初登場の冒険。そこへ助太刀に行くソール君という胸アツ展開。その時のテホ出身の鳥人従者『楡の七』ことニレくんと思われます!)
◇◆◇◆◇
的当て屋の青年と別れ、次に隣の屋台へと目を向ける……前に、鼻孔を擽る良い香りがして、ディジベラは頬を緩めました。
「ん~! 良い匂いがするわ!」
「少しお腹を満たしましょうか。こちらは……焼き鳥屋さんですね」
ねじり鉢巻きをした極彩色の鳥人が、張り切って焼き鳥を焼いているのが見えて、二人は一瞬顔を見合わせました。鳥人が、焼き鳥を。
とは言え、ここアランツァ、ラドリド大陸ではアリ人が大アリを家畜としていたり、かえる人が大ガエルを使役していたりするのです。別物と考えるのが良いのでしょう。本人(鳥)は嫌がるでもなく、やる気満々のようですから、大丈夫だろう、とディジベラは声を掛けてみることにしました。近づくと少しの煙と共に、ジュージューと鶏肉の焼ける良い匂いが強くなります。鉄板の下に、熱を発する魔石が設置してあるようでした。
「こんばんは! 近くだと一層美味しそうに見えるわね」
「こんバんは! うまク焼けていル、そウ思いまス!」
「えぇ、見るだけでもそれが分かります。一流のシェフにも劣らぬ焼き具合ですね。おや、味が二種類あるようですよ」
「タレと塩がありまス!」
「うぅ、どっちも美味しそうだわ……」
「では、タレ1つと塩1つ。二人で分けてどちらも味わいましょう」
「名案ね!」
「毎度あリがとウ、ごザいまス!」
鳥人にタレと塩の両方の串焼きを貰い、ディジベラはまずタレ、スノウスノウは塩味の焼き立てを、早速頬ばる。
「ん~! おいしい! スノウさんの言った通り、焼き加減が最高だわ! タレの甘じょっぱさも絶妙で、私はこれ好きかも~」
「塩の方はシンプルながら、鶏本来の味わいを楽しめますね。程良く落ちた脂のお陰でしつこくなく、それでいて身は柔らかで……旨味が口の中に広がります」
ディジベラは美味しそうに、スノウスノウは見事なグルメレポートと共に食べては褒めそやすので、それにつられて他の客も集まりだした。鳥人は忙しなく動きながらも、やはり楽しそうだ。
「宣伝、あリがト~!」
「いいえ、こちらこそ美味しいものをありがとう!」
鳥人にお礼を言われながら別れを告げる。ディジベラが手を振っていると、スノウスノウが不意に笑った。
「……ふふ、ディジベラ嬢の行く先で、皆が繁盛していますね。流石は看板娘さんといったところでしょうか。そう言えば、キョウには招き猫というものがあるそうですよ」
「どこも素敵な屋台だもの、いずれは繁盛するとは思うわ。きっかけになれたら嬉しいけどね。うちはそうねぇ……招き犬か招き兎かもしれないわね」
番犬シュテルンを思い出しながら、今回連れてきていた牙うさぎのギーちゃん、キーちゃんを撫でる。
「良いですね。いずれ、〈天駆ける狗〉亭にもしっかりお邪魔させて頂きたいと思っております。素敵な宿でしたから」
「是非ぜひ! スノウさんなら大歓迎よ! 騎士様だと、なかなかナリクを離れられないとは思うのだけど」
「私は王女殿下の近衛でもありますからね。ですが、殿下は寛大であられますので、休暇願でも出せば受理して下さるでしょう。……お土産は必須ではありましょうが」
「王女様の舌に合うかは分からないけど、父さんの作る料理は美味しいわよ!」
「ふふ、それは楽しみだ」
小腹を満たした二人は和やかに話しながら、次の屋台へと向かったのでした。
◇◆◇◆◇
という訳で2つ買ってもぐもぐ。ここはスノウスノウさんの奢りです。
スノウスノウ 金貨34枚→28枚
個人的には塩派! でもタレも美味しい!
◇◆◇◆◇
◆お祭り巡り3 🎲13 〈これはとても興味深い盆踊り〉
!!!!!!!!!
この方、カメル教授だったりしませんかね!?!?!??!??!????!??!?
「ラクダ人」の「博士」ですよ。盆踊りを記録してますよ。限りなく敬愛せしカメル・グラント教授に近そうなので、それっぽい感じで進めます。
◇◆◇◆◇
太鼓の音と笛の音が聞こえる広場めいた場所に、人が集まっていた。
「何か真ん中に櫓があるわね。そこで太鼓を叩いてるわ……キョウのものかしら? 見た事ないけど低いいい音ね」
「盆踊り、というものでしょうか」
「そのようだよ。私も初めて見たのだが……君たちは何か知っているかね?」
二人が話しながら眺めていると、眼鏡をかけた知的さと好奇心をない交ぜにした眼差しを持つ、ラクダ人に声を掛けられました。ズサササササァ! とディジベラが距離を置きます。スノウスノウもラクダ人も流石にビックリと目を瞬かせました。
「カメル・グラント教授……!? いやまさかそんな訳だって嘘でしょアアアアアアア今日は流石に事典持ってきてないよぉ!」
「ディジベラ嬢、落ち着いて……」
◇◆◇◆◇
推しかもしれない人物に出会って混乱中のディジベラちゃんに代わり、スノウスノウさんが説明しましょうか。
筋力点での説明か……もしかして抱き上げてよく見えるようにして差し上げるとか???
スノウスノウ 【筋力ロール】 🎲3 成功
文武両道にそつなくこなすスノウスノウさん!
◇◆◇◆◇
ディジベラが戦闘不能のような様子なので、スノウスノウはブラークに聞いていた夏祭りの概要を思い出します。
「聞きかじりの知識で恐縮ですが……東の島国ヤーパンでは、夏のこの時期に先祖の魂が帰ってくるのだとか。『盆踊り』の発祥は諸説あるようですが、霊鎮めの儀の側面もあるみたいですね。確かアリクララ湖周辺のコボルトの村でもヤーパン仕込みの踊りを夏場にやると聞いた事があります」
「おぉそうなのか! ではそこも是非見に行きたい所だ……おっと、人が増えてきて見えづらく……」
「博士、少々失礼致します」
こういうものは、実際に見てもらうのが一番の生きた資料となるだろう。スノウスノウはラクダ人男性をひょい、と肩車してみせました。スラリと細身に見えても、聖騎士ですから、難なくこなしてしまいます。彼女の身長は女性にしては高いので、ラクダ人の視線は人々の多さをものともしなくなりました。
「おぉお……!? まさかこの年で肩車をされるとは……!?」
「少しは見えやすくなりましたでしょうか」
「嗚呼、ありがとう。成程、櫓を囲んで丸くなって踊るのか。ふむふむ……ありがとう、とても参考になったよ」
お礼に、とエールはどうかと聞かれたが、任務中であるのだし、困っている方を助けるのが騎士の務めだ、と断ろうとすると、逆に感激されてしまったのでした。代わりにと、近くの屋台で売っていたジュースを奢ってくれたラクダ人の博士は、周囲を物珍しそうに眺めながら去っていきました。彼を見送った後、スノウスノウは放心状態のディジベラの傍に戻ります。
「ディジベラ嬢、こちらどうぞ。南方のフルーツを絞ったジュースとの事です。甘酸っぱくてサッパリと飲めますよ」
「あ、ありがとう……ごめんなさい、取り乱しちゃって」
「いいえ。憧れの方に思わぬ形で出会うとなれば、慌ててしまうのも頷けます」
「うぅ、色々お話聞いたりサイン頂いたり質問したりしたかった……あ、美味しいコレ」
「話したい事は普段なら出てくるのに、急には出てこないものですよね。嗚呼、そちら、博士からの奢りです」
「ワアアアアアアアアア!?」
(ふふ……表情豊かで面白いレディだなぁ)
ジュースの入ったグラスを両手で捧げ持ったディジベラが、恐れ多いやら有難いやらなどと呪文のように呟きながら崇めたて始めました。ジュースにそんなにお礼を言う程美味しいのか!? それとも有難い加護が!? と誤解した周囲の人々がジュース屋に殺到し、思わぬ繁盛を呼んだのを、未だ混乱中のディジベラが知る由もなかったのでした。
◇◆◇◆◇
カメル・グラント教でも始めそう(笑)
でも、ディジベラちゃんがクリーチャー好きになったのは、カメル・グラント教授の書いたアランツァクリーチャー事典とか(多分子ども向けに絵本とかも出してそうだし著作もいっぱいありそう)なので、そりゃまぁ慌てふためきますよね。
本来だとエールを奢ってもらえるんですが、スノウスノウさんは職務中なのでノンアルコールのものを奢っていただきました!
良かったねディジベラちゃん。
いやしかし、スノウスノウさんが有能過ぎる。
お次は中間イベントの代わりに、ハプニングが起きるようですよ!
◇◆◇◆◇
◆お祭り巡り4 お祭りハプニング🎲3 〈酔っ払いの喧嘩〉
出現数:🎲2体
暫く捧げ持ったりしていたジュースを、漸く飲み干して、ディジベラは深い深い溜息を吐きました。
「うぅ、持ち帰りたかったけど飲んでしまった……あら、何だか騒がしいわね」
落ち着きを取り戻すと、喧騒が耳に入ってきます。賑やかというよりは、怒号も聞こえて、剣呑な雰囲気です。スノウスノウが目ざとく、言い争っている男たちを見つけました。
「どうやらお酒が入って高ぶった者たちがいる様子。諫めて参りますので、ディジベラ嬢は……」
「私も行くわ! こんな楽しいお祭りに無粋な真似は良くないもの!」
「ありがとうございます。私の傍から離れぬよう。ディジベラ嬢に何かあれば、ダヴァラン殿にも、父にも顔向けできませんから……私が絶対に守ります」
「ふふ、よろしくね、騎士様!」
◇◆◇◆◇
という訳で、戦闘だーッ!!
流石に人込みの中で弓やらラッパ銃やら放つのは危なかろうよ、という事で、1ラウンド目から開始します!
レベル5なので地味に強い酔っ払い冒険者たちです。
1ラウンド
スノウスノウ 峰打ちフランベルジュ 🎲4 成功
ディジベラ 杖でポカリ! 🎲2 失敗
侍従アードラー 🎲3 失敗
ギーちゃん、キーちゃんズ 🎲5,5 失敗2
スノウスノウさんで防御! 🎲1 ファンブル! 生命点9→8
2ラウンド
スノウスノウ フランベルジュ 🎲2 失敗
ディジベラ 杖で応戦 🎲4 成功!
両成敗!
☆宝物
🎲4 🎲4×3=金貨12枚の価値
和風のお祭りっぽく、朝顔の簪とかにしましょうか。
スノウスノウさんが軽傷を負ったものの、ほぼ無事に解決しました!
◇◆◇◆◇
「おとなしくしなさい!」
スノウスノウとディジベラに懲らしめられ、冒険者たちはおとなしくなりました。ディジベラを庇って一撃を受けてしまったスノウスノウに、ディジベラは慌てて駆け寄ります。スノウスノウは慣れたものとばかりに微笑むと、冒険者二人に向き直りました。
「スノウさん、大丈夫!?」
「かすり傷ですのでご心配なく。さて、酔いは醒めましたか、お二方」
「そもそも何で喧嘩になってしまったの?」
「コイツが焼き鳥ならタレが一番だって……俺は塩が絶対美味いと思って」
酔っていれば、そんな些細な話題で喧嘩に発展するのです。ディジベラは宿の客対応で慣れたものだったので、呆れつつ小首を傾げました。
「両方食べれば良いじゃない。どちらかしか食べちゃいけない決まりも無いのだし。どっちも美味しかったわよ」
「「天才か!?!?」」
項垂れていた冒険者二人は異口同音に叫ぶと顔を上げました。
「あ、これは元々スノウさんの案ね。でも名案でしょ?」
「よし両方買ってこよう! ご迷惑おかけしました!」
「お詫びにあっちの店で買ったこれ差し上げます!」
冒険者二人は、ディジベラに簪を渡すと、先ほどの鳥人の焼き鳥屋へと駆けていきました。
「お見事な解決ぶりでしたね」
「いいえ、私は何にも。それに元はスノウさんの案だもの。そうだ、傷は痛まない?」
「ご心配おかけして、面目次第もありません」
「いいのよ。守ってくれてありがとう。でも、護衛だからってあんまり無理はなさらないでね?」
「えぇ、ありがとうございます。……彼らからのお詫びの品は簪ですか?」
「そうみたい。可愛くて綺麗だわ。朝顔かしら。薄く伸ばした硝子で出来てる……職人技ね!」
「もし宜しければ、結い上げましょうか?」
「えっ、スノウさんそんな事も出来るの?」
「サー・ブラークが仰っていた貸衣装屋も見つけました。キョウの装いなら、こちらの簪も合いますでしょうから」
◇◆◇◆◇
という訳で、(きっとリエンス家ならば衣装も用意出来るであろうと踏んで勝手に作った貸衣装屋さんで)浴衣をお借りしてヤーパン衣装で後半のお祭りを楽しんじゃいましょう!
ディジベラちゃんの物語では出会いませんでしたが、採寸してくれるゴーレムさんとかが大活躍していそうですね。
◇◆◇◆◇
◆お祭り巡り5 🎲21 〈ベーブル売り〉
何やっておられるんですかブラークお父様!(笑)
めちゃくちゃ楽しんでやってそうなのが目に浮かぶんですよね……w
そこがブラーク様の良い所なんですが!
マスターが来ていたら、焼き方がまだ甘い! とか言い始めそうなので、マスターは来なくて正解だったかもしれません。
チャマイの方でお祭りやるなら、マスターは何のお店出すかな~とか考えるのも楽しい!
◇◆◇◆◇
少し「運動」をしたので、また小腹が空いた二人は、今度は甘いものを探す事にしました。きょろきょろと周りを気にしながら歩いている内に、ふんわりと甘い、蜂蜜の匂いが漂ってきて、ディジベラはふと大晦日の日にロング・ナリクを初めて訪れた時の事を思い出しました。
「そう言えば、冬にナリクに来た時もベーブルを買ったのよ。レニアスさんがオススメしてくれて」
「嗚呼、ケンタウロスのレニアス殿ですね。我が家も、彼には優秀な運び屋としてお世話になっています。ベーブル屋も恐らく……おや、もしやこのお店は」
「へぇ、リエンス領のくまさんベーブルですって! わぁ、可愛い……」
屋台の前には、焼き上がったクマの形をしたベーブル……所謂人形焼きが並んでいます。屋台の主に声を掛けようとディジベラが顔を上げると、そこにはどう見ても。
「って、えっ、あっ、ブラーもごもごもご」
「先程ぶり……ではなく、『はじめまして』、レディ。どうかお静かに」
(前もこんな感じだったような!?)
冬の時は焼き立てパンを口に放り込まれたのを思い出しつつ、今回の口止めは甘いベーブルでした。まずはもぐもぐする他ありません。
「どこに行ったかと思えば……護衛は必要ないとは思いますが、どうぞツェス殿をあまり困らせませんようになさって下さいね」
「祭りを企画した者が、祭りを知らぬのは良くないだろう。市井の人々の直の言葉を聞くのも時には大事だよ」
ブラ……ベーブル屋の壮年男性が真剣にそう言うので、それも一理あるなとスノウスノウは頷いてしまいました。
「私も同意見ではあるのですが。恐らく父と母もそう申すでしょうし……」
「君の一家は自由な家風だし、ご両親は仲睦まじいからね。お祭りでデートか……我が身は幾つあれば良いのやら、だ。それにしても、レディは楽しんでおられるかな?」
ディジベラが口に放り込まれたベーブルを食べ終わったのを見て、店主が声を掛けました。最初は早く食べきって反論の一つも言おうかと思っていたディジベラでしたが、ベーブルの生地のふかふか具合と、惜しげもなくかけられた上質な蜂蜜の甘さが口の中に広がってしまうと、思わず笑顔になってしまうのでした。
「これ、あまくって美味しい~! じゃなくて、えぇ、とっても楽しいわ。祭りもそうだし、スノウさんのエスコートも完璧だし」
「それなら良かった。その貸衣装のユカタ、とてもよくお似合いだ。簪ともよく合っている。騎士殿の見立てか、流石だな。それらはリエンス家で作らせ……じゃあなかった、リエンス家の布を使っているそうだよ。着心地はいかがかな?」
「布がたっぷり使ってあるのに、思ったより涼しいわ。キョウもいずれ行ってみたいわね!」
「その時はぜひ私がエスコートを……」
「店主殿。お客様がお待ちですよ」
店主がディジベラにアプローチしそうになったのを見計らい、スノウスノウは笑顔で他のお客を指し示しました。待っているお客も、可愛らしい見た目のベーブル目当てが半分、店主に熱い視線を注ぐ老若問わずのレディ半分ほどです。これは流石の百戦錬磨の店主も気を引き締めないと乗り越えられない試練に違いありません。
「目玉イベントの花火までもう少し時間がある。まだまだ楽しんで行ってくれ」
スノウスノウの分のベーブルと、口止め料とばかりに金貨を数枚握らせて、店主は爽やかに笑って見送ってくれました。
◇◆◇◆◇
スノウスノウさん分も貰って、改めてくまさんベーブルをもぐもぐ。
口止め料兼お小遣いとして金貨5枚を頂きました。わーい、ブラークお父様ありがとう!
ディジベラ 金貨31枚→36枚
スノウスノウ 金貨28→33枚
◇◆◇◆◇
◆お祭り巡り6 🎲23 〈夏祭りには浴衣が似合う〉
やっべーーーーーーーー!!!!!!!!!
うっかり浴衣着せちゃった!!!!!!!!!!
(※天狗ろむはリアクションリプレイヤー(?)なので、なるべく出目表や中間最終イベントの内容なども見ないでプレイを楽しんでいます。たまにこういう事故起きるんだよね!)
いやでも今着てるのはフレーバーな貸衣装ユカタだから?
気に入ったので改めて買うとかね???
そして多分めいびーこの方は、ソール君の『エメラルド海の探索』の相棒ポジション、渋おじコビット剣士おじさまと見ました!
◇◆◇◆◇
「よぉ、見目麗しいお嬢ちゃんたち。それ、あっちの貸衣装屋の浴衣だろう? 気に入ったんなら是非こっちで買っちまうってのはどうだい?」
白髪と髭を蓄えたコビットが、キセルをふかしながら寄ってらっしゃい、と手招きしてきました。こちらは貸衣装ではなく、実際にユカタを買えるお店のようです。貸衣装屋に負けず劣らずの華やかな柄の浴衣や帯が並んでおりました。
「あら、こっちの浴衣の柄も素敵ね! 前にもロング・ナリクに来た時はドレスを頂いたし、今回の記念に買っちゃおうかしら!」
「良いと思います。こちらは如何ですか? 朝顔柄のものですね」
「素敵! じゃあ私もスノウさんの浴衣選んでみるわ……んーっと、そうね、この紺地に銀色の刺繍のものとかどうかしら……?」
「これまた素敵なものを。ではこちらを頂きましょう」
色とりどりの浴衣の中から、相手に似合いそうなものを見つけ出し、二人で贈り合う事にしました。コビットはニッコリ笑うと、奥の小屋を指し示します。
「毎度! 着替えるなら、きちんとした場所を用意してあるぜ。おじさんが見張っててやるから安心しな」
「あ、男物のユカタもあるのね。父さんにもお土産にしたいわ。結構体格良い方なんだけどあるかしら?」
「あいよ。んじゃあここら辺のはどうだい?」
「良さそうだわ! これもお願いします」
「荷物は私がお持ちしましょう」
ディジベラの父親へのお土産用の浴衣は包んでもらう事にします。着替えに時間がかかりそうなディジベラは、先に着替え用の小屋へ向かいました。包んでもらうのを待ちながら、スノウスノウは飄々とした様子のコビットに向けて、少しだけ声を低めて話しかけます。
「……それにしても、私がよく『お嬢ちゃん』だと分かりましたね。見破られない自信があったのですが」
「んなの、おじさんにかかればチョロいもんよ。帯はオマケしとくぜ。その代わり、リエンスの浴衣より安いのは、ちっと内緒にしといてくれ!」
「ふふ、食えないお方だ。まぁ、リエンス家が許可したからお店も出せているのでしょうから、私からはとやかく申さないでおきましょう」
二人はそっと笑みを深めました。清濁併せ吞む事も時には必要なのです。小屋からディジベラの悲鳴に似た声が聞こえたので、コビットは肩を竦めました。浴衣の着方はドレスなどとは違って、少しばかり大変なのです。
「話の分かる騎士様で助かったぜ。ほら、お嬢ちゃんが困ってそうだ、早く行ってやんな」
「そうします。では、ご機嫌よう」
◇◆◇◆◇
という訳で、ディジベラちゃんもスノウスノウさんも改めて浴衣姿に変身!
フレーバーお土産ですが、マスター用の浴衣も買いました。金貨は支払っておいたぜ!
ディジベラ 金貨36枚→26枚
スノウスノウ 金貨33枚→28枚
あとは、生命点などがちょこっと変わりますね。
ディジベラ 生命点9/9→7/7
スノウスノウ 生命点8/9→6/7 筋力点6(ここまで最大値5点でやってきてたんですが、本当は「セルウェーの聖鎧」の効果で6でした!)→5
描きた過ぎるので描きます(使命感)→描きました(サムネ画像など参照)。登場NPCも皆浴衣姿にしちゃいました、浴衣好きなのでヘヘ……。
ありがとう白奴おじさん!
実はまだ『エメラルド海の探索』をしっかりは読めてないので(天狗ろむが未プレイの為……)、ちょっと似非感漂ってるかもしれません。
よそのこ全体的に言える事なんですけどね……!(なるべくキャラ崩壊の無いよう頑張ってはおりますが、こんな事言わない! やらない! とかあったらこっそりお知らせください……)
それでは浴衣に着替えて、ハプニングを除いては最後のできごとです!
◇◆◇◆◇
◆お祭り巡り7 🎲22 〈屋台メシは奥深い、そうまだ見ぬ迷宮のように〉
できごと名だけで分かりました。
ノックスお兄様ですね(確信)。
しかも、密命メシモードだ!
※密命メシモードとは、密命後にお腹が減ったノックスお兄様の状態のこと。天狗ろむだけがそう言ってるので全然公式呼称とかじゃないです。
ちなみに最新話の密命メシも大変美味しそうでした。グルメもの好きなら是非!
お腹が空くこと請け合いです。
さて、ディジベラちゃんとノックスお兄様は『リエンス家と大晦日の厄』にて、スノウスノウさんとは同じロング・ナリクの聖騎士同士、どちらも軽く面識はあるので、見間違えることはほぼ無いでしょう。とは言え、今回のノックスお兄様も恐らく「お忍びで遊びに来ている王女殿下の護衛」をしてらっしゃるようなので、大変お疲れ様でございますであります。
◇◆◇◆◇
買った浴衣に着替えて、また暫く辺りを歩いている内に、空腹を覚えたディジベラが周りを見回しました。この通りは食べ物の屋台が多く、色んな食欲そそる美味しそうな匂いが漂ってきては、空腹をチリチリと刺激してきます。
「また少し小腹が空いてきちゃったわね……どこも美味しそうな匂いがするし、ここは魔境だわ……!」
「決して甘く見ていた訳ではないのですが、まさかここまで屋台があるとは。ラドリド由来のものはまだしも、キョウ由来のものは店名を見てもどんな料理か分からないものも多いですね……調査不足で申し訳ありません」
「全然いいのよ! こうやって色々探すのも楽しみになるのだし。……あら?」
さて、一つずつ見てみようか、と歩き出そうとした所、屋台の影に佇む黒髪の青年に目が留まりました。片目を前髪で隠している彼には、二人とも見覚えがありました。十中八九、リエンス家の長男であり、聖騎士として女王殿下の近衛も務めるサー・ノックスです。
「おや。来ていらっしゃるとは聞いておりませんでした。……お忍びでしょうか」
「雇用主さん一家は、お忍び好きなのかしら。そう言えば、前に来た時も、彼にナリクの美味しいものを教えてもらったのよね。きっと彼なら色々知ってる筈だわ。……こんにちは、お兄さん?」
ディジベラが何気なく話しかけると、屋台の先を睨んでいた青年は顔を向けました。一瞬の間の後、少しばかり表情を和らげて(常人では殆ど気付かない変化ではありましたが)、ディジベラとスノウスノウに気付いたようでした。
「ん? ……ん? お前は確か……そしてお前も」
「ここは『初めまして』にしておきましょう?」
「えぇ、『初めまして』ですね」
青年の立場を理解して、二人でそのように返すと、それを受け取った彼は小さく頷きました。
「そうか。……何用だ?」
「少し何か食べたくて。でも色々あるから迷ってるの。お兄さんのオススメを聞いて決めようかなって」
「賢明な判断だな。ここは確かに迷宮の如き様相だ。案内人がいたとて、どれもが抗いがたい魅力がある。既に何か食べているのか?」
「塩とタレの焼き鳥と、南方のフルーツジュース、あとはくまさんベーブル!」
「嗚呼、あの焼き鳥屋の焼き加減とタレ、そして塩の味加減は絶妙だったな、もう一本、と手が伸びてしまう。フルーツジュースも栄養満点、あのフレッシュさは搾りたてだからこその味わいだ。まだ暑さが残る夏の夜に飲むには最適、砂漠で放浪した後に見つけたオアシスの如く、喉を潤してくれる。そしておと……偉大なる魅力に溢れた店主直々に焼かれる素晴らしきくまさんベーブルの生地のふかふか具合といい蜂蜜の甘さといいこの祭りの屋台で一番最高なものを選んだようだな見る目は確かなようだ」
「凄い早口! お兄さん、そんなに喋れたのねぇ」
スノウスノウの食レポもさることながら、青年の食レポは情熱的な叙情詩のようでした。思わず目を丸くするディジベラに、話過ぎた、と咳払いした彼は、ディジベラたちを案内するように音も立てずに影から身を出しました。
「ゴホン。……で、あるならば。バランスを考えると今度は食事めいたものの方が良いだろう。こっちだ」
「お時間は大丈夫?」
「嗚呼、僕はあらかた食べたからな。……まぁ後は、少しばかり手伝ってもらえば問題ない」
「承知致しました。それではお言葉に甘えまして」
青年がスノウスノウに目配せしたので、警護の件だろうと当たりをつけます。それでも、彼が急に動かずとも良いと判断したなら、緊急性のあるものでは無いのでしょう。浴衣姿ながらスタスタと迷いなく先頭を行く青年の後を追いました。
青年に案内された屋台の幟には、クラーケン焼き、と書かれていました。
店主はナリクでは見る事の珍しい、末裔のようです。
「ルラッラー!(いらっしゃいませ)」
「槍イカ焼きみたいな感じ……と思ったら、何だか丸っこいわね!?」
「この真ん丸に焼かれた生地の中に、一口大に刻まれたクラーケンの足が入っている。キョウ秘伝の甘口のソースの海の上で、薄くスライスされたカツオ節が踊る様は一流ショーのようで見物だぞ」
「ルラ?(呼びましたか?)」
「くるくると、回しながら焼くのですね。あの針のようなもので……器用なものですね」
「中は熱々だが、冷めてしまっては、興も美味さも夢の如く醒めてしまう。店主、二人分を頼む」
お代を出そうとスノウスノウが金貨の入った袋を出そうとしますが、青年にぐっと抑えられてしまいます。
「これから頼む事への前払いのようなものだ。気にするな」
「ルラルララ!(へいお待ち!)」
「じゃあ、ご馳走になるわね。ほんと、カツオブシ? が踊ってるみたい!」
「ルラ?(呼びましたか?)」
一人前は八個のようだ。クラーケンの足数とかけているのだろうか。細く切りだされ、先を鋭くさせた木製の針に似たヨウジというものでぷすりと刺し、上手く持ち上げて口の中に運ぶらしい。
「そいつは【炎属性】の攻撃特性を持っているとも言える。口の中を火傷はしないよう、精々気を付けることだ。ドレイク共の吐く炎のような灼熱の先に、奥深い美味さの海が広がっている。そこを目指すんだ」
青年の詩的な表現を聞きつつ、クラーケン焼き、を頬張る二人。
「はふはふ! ほんとあっつい! けど美味し~!!」
「これは……はふ、……暫く、話せなくなりますね。焼き鳥のタレ味とはまた違う、甘辛いソースがよく合います。外側はカリッとした歯触りで、それでいて中はふわりととろけて……」
「クラーケンの身もプリプリしてて美味しいわ。噛めば噛む程、味が出てくるし……はふ! 熱いけど止まらなくなっちゃう!」
「ほう。お前たちもなかなか”理解”っているようだな……どれ、僕ももう一つ……」
「……あっ、いらっしゃった! 隊長、殿下がお呼びです!」
黒髪の、まだ幼さの残る少年が駆け寄ってくる。腰には小さな剣を提げていた。恐らくは『お兄さん』の侍従だろう。ディジベラとスノウスノウの姿を認めると、少し緊張した面持ちでぺこりと頭を下げた。
「ちっ……ここまでか」
「お兄さん、あーんして。そこの君も」
彼の少ない自由時間が終わってしまったらしい。名残惜し気にクラーケン焼きを見つめているので、ディジベラは自分のクラーケン焼きをヨウジで刺すと、青年と少年の口に一つずつ運んでやった。
「は? むぐ熱っ!」
「え? はふ熱ッ!」
「おすそ分け! あと『お父様』の真似! お仕事、頑張ってね」
「……感謝する。が、熱いものではやめてくれ」
「はふ、あ、ありがとうございます……!」
思わぬクラーケン焼きを無言でじっくり堪能した後、仕事用の顔つきに戻った青年は、奥で笑いを堪えていたスノウスノウに歩み寄りました。
「サー・スノウスノウ、笑うな。……少し頼めるか」
「サーのそんなお姿、大層珍しいもので、すみません。ご依頼については承りました」
少し居心地悪そうな顔でスノウスノウを軽く睨みつつ耳打ちした後、青年は二人に手を軽く挙げて、呼びに来た少年と共に去っていきました。
「ではな。……良い時間になる事を願っておく」
「お邪魔致しました……!」
エルフの女性と浴衣の美青年の二人組と別れて、王女殿下の下へ足早に戻る主人の後を追いながら、従騎士の少年は口の中に放り込まれたクラーケン焼きの味を改めて噛みしめていました。驚く余り、少し舌を火傷はしてしまったのですが、それ以上に美味だったのです。
「……はぁ、びっくりした。けど美味しかった……それにあのお姉さん……」
「クラーケン焼きか、オレの分も欲しかったな」
「クロは口無いじゃん」
「気持ちだよ、気持ち! 美人にあーんしてもらえるなんて、滅多に無い機会だろ」
彼の腰に提げられているのは、小ぶりな剣型のゴーレム『おどる剣』。少年の相棒です。普段は何言ってるんだか、と呆れるところですが、今回ばかりは同意して少年は黙り込みました。
ユカタ、と呼ばれるキョウの服を着こなしているエルフの女性は、とても美しい人だと思われました。明るく元気な様子だったので、年齢は分かりかねましたが、エルフであれば、少年より倍くらい年上でもあり得なくはないでしょう。
隣にいたのは、サー・スノウスノウ。少年の主人とは違って誰に対しても優しく、それでいてとてもお強い方だと聞いています。二人が並んでいると美男美女といった雰囲気で、そしてとてもお似合いだなと少年には思えました。仲も良さげだったし、もしかして婚約者同士、とかなんだろうか。
そんな事をつらつら考えていると、慣れないジンベイ(ユカタの仲間で、どちらかといえば男性用のもの、こちらは割と涼しくて、少年は気に入りました)とゾウリ(藁で編んだ靴の一種らしい。履き心地は悪くないのですが、長時間履いていると、少し足の親指と人差し指の間が痛むのが良くないなと彼は思いました)の所為で転びかけ、主人に支えられてしまいました。
「……シグナス、呆けるな。頬にソースもついているぞ」
「は! はい、すみません! ですが、あのう。サーの口元にもついてらっしゃいます」
「む」
少年の主人はペロリと口元のソースを舐めとると、一瞬だけ先程の二人を見返りました。
少年も、相棒に教えてもらって慌ててソースを指でふき取り、少し行儀が悪いかなと思いながらも、ペロリ。甘辛いソースの味はやはり、美味なのでした。
「(はは、あのエルフの娘っ子、聖騎士と見習い相手によくやるぜ。大物になりそうだ)」
少年の相棒は、面白いものを見れた、と密かに楽しんでいたのでした。
「あ~美味しかった! 8個もある……と思ってたけど、おすそ分けしたのもあって、あっという間だったわ」
「そうですね。良き物を教えて頂きました。私も見習わなくては」
◇◆◇◆◇
現在、FT新聞にて連載中の東洋夏さんの『写身の殺人者』リプレイより、ノックスお兄様の従騎士であるシグナスくんと相棒クロ先輩にも勝手にご出演頂いてしまいました!
12歳の少し気弱ながら優しい少年と、口も態度も少し悪めだけど頼りになる喋る剣。
ワクワク過ぎる組み合わせの彼らの冒険は、まだ始まったばかり!
是非応援してあげてください!
最近の記事はこちら!(配信から2週間までは無料で読めます。もし可能ならメルマガ登録もぜひぜひ~!)
という訳でスノウスノウさんの生命点も回復です!
スノウスノウ 生命点6→7
さて、楽しいお祭りも、終わりが近づいてまいりました。
ノックスお兄様に頼まれた『依頼』をさくっと終えて、最後に参りましょう!
◇◆◇◆◇
◆お祭り巡り8 お祭りハプニング🎲4 〈怪しげな薬売り〉
明らかに違法な薬売りがいるとの通報でした。
ノック……じゃなかった、『お兄さん』に頼まれた形で、向かった事にしています。
探し出せるかは【判定ロール】。ここは『依頼』を任されたスノウスノウにお願いしましょう!
スノウスノウ 【判定ロール】 🎲6 クリティカル!
ナイス! 何より教えて頂いてましたからね。ありがとう、お兄さん!
◇◆◇◆◇
「見つけました。……立ち入りが禁止されている場所での採取の時点で、捕縛対象にはなりますが」
路地の闇に紛れて、如何にも怪しげな色合いの薬を売っている者を見つけ出しました。罪状を告げても、薬売りは悪びれる様子なく、両手を上げます。
「知らなかったんですよぉ。領地だって色付けされたりして分かりやすい訳じゃないんですから。まぁお一つ如何ですか。戦いに有利になれますよ。まぁ使った後は少々疲れてしまうんですが、増強剤とは生命を燃やすものですので」
ディジベラが恐れ知らずに薬の瓶を持ち上げました。とぷん、と揺れるそれを物珍し気に眺めます。
「これ、ドミニアさんが喜びそう……買ったらまずい、かしら?」
「これを喜ぶお友達がいらっしゃるんですか?」
流石のスノウスノウも、少しばかり驚きながら聞きます。どんなお友達なんだ。お友達と呼んで大丈夫なのか、と。
「薬なり毒なり、新たなものを熱心に探してるオークの薬師さんなのよね。流石に立ち入り禁止の場所では、多分、恐らく、採取していないと思うんだけど……サンプルにどうかなって」
「ディジベラ嬢は交友が広いのですね……。……これ以上は増やさない、売らない、という事であれば」
ディジベラが余りに穏やかに言うので、『お友達』なのは確かなようでした。それにあの過保護なマスターが、ディジベラに悪事を働くような相手を『お友達』とするのを許しはしないでしょう。スノウスノウは聖騎士で貴族の家系なので、あまり【悪の種族】とは交友がありません。ディジベラの凄さに驚きつつ、彼女が使用する訳ではないなら、と許す事にしました。
金貨を渡し、ディジベラが受け取ったのを見た一瞬の隙をついて、薬売りは煙のように消えてしまいました。
「逃したか……!」
「大丈夫よ。キノコがベースみたいだし、ちょっと副作用がきつそうだけど、依存性はないと思うわ」
「何故分かるんです?」
「匂いだけ嗅いでみたの。後は、色とか、質感とか? 多分、ドミニアさんか、森の魔女さんなら全部分かると思うんだけど。これでも錬金術師ですから!」
「……良かった。疑ってしまって失礼しました。味見をしてしまったのかと」
(ちょっと気になったけど、やらなくて良かったわ……)
◇◆◇◆◇
という訳で、怪しい薬をドミニアちゃんのお土産に買いました! まさか薬を土産にするとはドミニアちゃんも思うまい。でもご飯ものだと、ドミニアちゃんの胃袋を満たす為に破産しそうなので……。
ディジベラ 金貨26枚→11枚
◇◆◇◆◇
◆夏祭り、終わる。
花火を打ち上げる時間になって、ブラークから教えられていた穴場スポットへと向かいました。小高い丘になっているそこにはまばらに人がいるくらいで、視界も広く開けて、きっと昼間であれば、眼下にはリエンス領の全貌が広がる事でしょう。
今は二人とも、空を見上げます。
「わぁ……!」
「見事なものですね……」
ドォン、と腹に響くような重低音の後、すぐにパッと夜空に大輪の火花が開きました。その度に周囲が、太陽に照らされたかのように明るくなります。
「何かの形を模してる……?」
「正解。今のは『剣の雪山』ね」
少し離れた場所に立つ、銀髪のエルフが手に持った楽器をポロン、と奏でました。
「あっ、メロウさ……」
「しっ。私はただの放浪の吟遊詩人。ほら、今は花火の方が大事でしょ。見逃すと勿体ないよ?」
ただの吟遊詩人を名乗るエルフの女性は、茶目っ気たっぷりにウインクを一つディジベラに贈ると、白い指先で空を指し示しました。彼女が指揮者のように振った手の先でドォン、ドォンと今度は幾つもの花火が時間差で上がります。青白いものが波の如く、あちらで咲いたと思えば引き、今度はこちらで開き、と目まぐるしいものでした。最後に大きな、まるで触腕を広げたクラーケンのような花火が打ちあがり、周りから歓声と拍手が巻き起こります。
「きっと、クラーケン退治の時のものね。コレ、作るの楽しかっただろうなぁ」
「ふふ、そうね。『詩養い』の次は『花火職人養い』にもなるのかしら」
「これだけの大規模な祭りを成せるリエンス家のお力、改めて感服致しました。我がヴァイスエーバー家も負けてはいられませんね」
「ふふん、そうでしょう。何てったって私の『師匠』の家だからね」
自分が褒められた以上に、我が事のように嬉しそうに胸を張る銀髪のエルフに、ディジベラとスノウスノウは一緒に笑いました。
「これからリエンス屋敷に帰るのだけど、メロ……吟遊詩人さんは?」
「私は顔を見に来ただけだから。何で直々にベーブル屋やってんだか。まぁ美味しかったけどね。行ってもいいけど、多分喧嘩になるから、今回はやめとくよ」
じゃあ、またね。マスターによろしく~、と手を振り、銀髪のエルフは去っていきました。
「今日は色んな『お忍び』の人に出会えたわね。どの人も優しくて温かったし、美味しいものも沢山食べられたし、楽しかったわ!」
「それなら良かった。私もディジベラ嬢とお祭りを楽しむ事が出来て光栄でした」
「私もスノウさんが護衛で良かった! あの……もし、また何かあったら、一緒に『冒険』もして下さる?」
元冒険者であった父であるマスターの顔が広いだけで、ディジベラは至って普通の宿屋の娘です。スノウスノウは貴族であるのだし、今回は任務であったから一緒に過ごせましたが、庶民とは相いれないかもしれません。恐る恐る口に出してみると、スノウスノウはディジベラの手を取りました。
「えぇ、私で宜しければ、いつでもディジベラ嬢の下へ駆けつけましょう」
「ありがとう! 嬉しいわ。でもね、騎士様としてでも良いんだけど、今度は女性版のスノウさんとご一緒してみたいわ。……お友達になれたら、って思ってるの」
少し照れくさそうにしながら、ディジベラが笑うので、スノウスノウも目を細めて微笑みました。ディジベラの手を緩く、しかし、しっかりと握りしめます。
「もう『お友達』から始めているではありませんか」
スノウスノウの言葉は、丁度大空に咲いた花火の音によって、かき消されてしまいました。
「え?」
「ふふ。……そうですね、『お友達』になりましょう。ディジベラ、とお呼びしても?」
「えぇ、なりましょう! ディジーでも良いし、ベラって呼んでくれる子もいるわね」
「ならば、ディジーと。宜しく、ディジー」
「宜しく、スノウさん!」
花火は未だ、咲いては消え、を繰り返しながら、二人と照らします。
ディジベラが今回の『冒険』で作った魔力石は、そんな花火がパチパチと瞬いているような、綺麗なものになったのでした。
◇◆◇◆◇
という訳で、『納涼! ナリク夏祭り』はおしまいです!
何かスノウスノウさんに最後スイッチ入りかけたな???
まだ出番のない幼馴染リュコくんに、最大のライバルが現れた予感かもしれません。
同性だけど王子様力はうちのこの男性ならびに、誰よりも高いので、勝てるのか!?
最後の花火の演目(?)を諳んじているのは「エルフ」というだけだったんですが、ブラーク様の弟子であるメロウちゃんさんという解釈にしちゃいました。多分、ブラーク様が行う祭りと聞けば、ラドリド大陸のどこにいようとも「私を置いて、楽しそうな事してるじゃん!」って飛んできそうな気がしまして……全然違うモブエルフだったらすみません!
『リエンス家と大晦日の厄』に続いて、リエンス家に縁のあるNPCの皆様と交流出来て大変楽しかったです。もし違ってたら恥ずかしいぜ……!
実は最初に出してる絵がめちゃくちゃネタバレという仕様でした。
多分、トブケール使いの方は五男坊さんかなとも思ったりして、そうすると微妙にリエンス家コンプリートならず、だったんですが……カメル教授(に限りなく近そうな方)と交流出来たのは、ディジベラちゃんにとってはヨシという事にしましょう。私もカメル教授のファンなので嬉しかったですし!
終始平和で穏やかながら、ところどころにスパイスも散りばめられていて、それでいてしっかり夏祭りの雰囲気を楽しめる上、素敵NPCとの交流も図れる、素晴らしいシナリオをありがとうございました!!
もしかすると(作者様を急かすのは忍びないのでこっそりの期待にしておきますが)、2025年版のナリク夏祭りシナリオもある、かも……!? との事なので、そちらも楽しみにしつつ。他キャラでも夏祭りしたくなっちゃいましたよね……本来の警護の目的で誰かと行っても良さそうです。
皆に浴衣着せたい(癖)。
浴衣はいいぞ。
という訳でそろそろお開きに致しましょう。
ほんと楽しかった~!!!!
最後にひとこと。
リエンス家はいいぞ!!!!!!
(よそのこオタクのクソデカボイス)
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