ドラゴンレディハーフ/若マスター武者修行編①:終
- 管理人 天狗ろむ

- 8 時間前
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~終曲(フィナーレ)~
「……という訳で、ブラークも私も、龍を倒したんだ。私の方には犠牲は出てしまったがね」
マスターは語り終えました。ディジベラとメロウも、しんみりした顔でマスターを見つめます。マスターは苦笑を零して肩を竦めました。
「言っただろう。あまり良い冒険では無かったと」
「ううん。凄い冒険だったからびっくりしただけよ。パパも辛かったでしょう」
ディジベラが気づかわしげに言うと、ダヴァランは目を細めて遠くを見ました。
「……うん、そうだね。この龍退治の冒険だけでなく、身勝手な私についてきてくれた従者たちの多くを、亡くしてしまったから。償えるのであれば、償いたいとは思っているよ」
「嗚呼、だから毎年ひと月宿を休みにして、お墓参りに行ってるのね?」
「そんな事してたんだ」
メロウが目を丸くします。確かに〈天駆ける狗〉亭が長めの休みを取る時があったのです。ダヴァランがその間は旅に出ているらしいと聞いてはおりましたが、そんな目的だとは知りませんでした。
「まぁ、殆ど自分の為でもあるし、生き延びた者たちへ会いに行ったりもしているよ。遺族には門前払いされる事も多かったが……無理もない。ただ、親戚の子供たちなどには、従者だった者がどんな活躍をしていたか、話をせがまれる事もある」
「そっか」
ツンツン尖っていて決闘ばかり、ブラークの興味を引いてしまう嫌な奴、くらいの第一印象でしたが、元よりダヴァランが、懐の深さと愛情深さを持ち合わせていたのだと、今のメロウは知る所ではあるので納得したのでした。
「それにしても……パパが強いとは思ってたけど、ほんとに龍を退治してたなんて」
「従者たちの支えのお陰でもある。それに思い返してみれば、メロウも凄かったな。あの滑らかなピッケルさばきは玄人のそれだったぞ」
「ねぇメロウさん、龍のはらわたをどうする予定だったの!?」
「えーっと、それには触れて欲しくなかったかなというか、アリクララ湖よりも深い訳があるというか、ぜーんぶブラークの騎士っぷりの所為というか、少なくとも私がやりたくてやった訳じゃなくてね!? 他に言う事無かったのマスター!」
「ははは」
「冒険の後、私闘が禁止されてるのにブラークと勝手に決闘してローレンシアの王子様に怒られそうになった話してあげましょうか!?」
「えっ、パパ……?」
「嗚呼いやあのだね、それこそ、本当に若気の至りで……」
〈天駆ける狗〉亭に漂っていた少し物悲しい雰囲気は、すぐに明るいものに変わっていきました。番犬シュテルンが欠伸をします。いつもより少し長く、話の絶えない夜は続くのでした。
~ ドラゴンレディハーフ 若マスター修行編① 完 ~
▽
と、いう訳で!
ディジベラちゃんが、冒険者時代のマスターの書いた「追憶の日記帳」を見つけた事から始まった、マスターの回想冒険譚ドラゴンレディハーフ編は今度こそ終了です!
マスターのレベルは30以上にしたい! ちゃんとシナリオ通過による経験点で!
という試みをすべく、若マスターで既にいくつかのシナリオを通過している訳ですが、儚い従者たちを連れてくプレイなのでお別れが待ち受けるなどしんどい場面も多く、リプレイとして書くのはもう少し先になりそうかな~と思ってた矢先に、東洋さんからリプレイコラボの打診を頂きました。お陰様で、若マスターのリプレイの発端として書き上げる機会を頂けたので大変助かりました&激アツな決闘まで! 本当にありがとうございます!
ドライで強者と戦いたがり、戦いに慣れていない者を冒険に連れていくなんてどうかしてる、と思ってさえいる若マスターなのに本人は従者を連れてるのは、従者が勝手についてきたパターンだったり、案内役として雇用したり(そしてローグライクハーフのシステム上、主人公1人だけだとほぼ死ぬ為、ついてきてもらわない事には冒険クリアできないなどのメタな理由もあり)なんですが、今思うと彼ら従者がいてくれたお陰で、若マスターは人の道を踏み外さずに、彼の中の『渇き』という狂気に取り込まれずにいられたのかなと思います。ありがとう、従者たち……。
3回目の冒険の終わりに、イアン王子が言う【罪】を、若マスターは既に認識していたのだろうなと。3回目の冒険のリプレイはコラボしたので書かないのですが、剣士ザヒドさんとの掛け合いの部分が、若マスターの答えになるかな、と思います。
ちなみ、3回目の冒険の際にアックス・ドラゴンさんに出会ったので、生き延びられたのだと思います。それまで「食えればいい、火が通ってれば何とかなる」くらい食に関心無さそうだった若マスターなんですが、彼の料理に対する熱意によって、ちょこっと料理に興味が出る⇒ちょっとこだわるようにしてみたら案外楽しい&向いてる⇒今の【調理上手】なマスターになる、みたいな裏話もあったりなかったりします(どっち)。
小説描写部分は、何というか指が勝手に書いている感じで(伝わる?)、自分でも若マスターはこう考えてたのか~と感心したりしてました。
選ばれるか、選ばれないか、の違い。
ちょっとメタ要素があるというか、何となく神(GMやダイス)の思し召しを感じているのかもしれません。何かそういう直感めいたものが強そうなイメージです。
まぁそんな、いつ死んでも悔いはないぜ、みたいな若マスターが、奥様と出会って劇的に変わった結果、絶対に死なないぜという強い意志を持ちつつ今のやわらかマスターが出来た……みたいな化学変化すぎる部分も、いずれリプレイか小説で描いてあげたいところです。マジでどうしてそうなったのか私も気になります(※作者)
そういえばずっとリプレイ本でちゃんと書くから! って言ってたんですが、作るんですか???(※多分)(若マスターの回想冒険譚集としていずれまとめたいなとは思います。まずはリプレイを書きまくれ!!!!!!)
とは言え、次のリプレイはちょっと変則的な、今まで書いた主人公たちの幕間系のものにしようかなとは思っています。
・セレーナちゃんとミダスおじが〈天駆ける狗〉亭に来るまでの話
・フィーダ様と最後の〈相棒〉による後日談
セレーナちゃん一行の方はリプレイ本に収録予定なので大体出来てるんですが、フィーダ様の方は一切手をつけてないのでちょっと怪しいです。ダイス振りながら、書き進めながら出来るかなどうかな。
今年の冒険の幕間は今年の内に。そして新年迎えたら、完全に新コンビのリプレイも書いていきたいですね。やっぱりリプレイ書くのも楽しいです。
最後に一言。
ローグライクハーフはいいぞ!!!!!!!!!!
ドラゴンレディハーフはいいぞ!!!!!!
ブラメロ(ブラーク様とメロウちゃんさん)はいいぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!(クソデカボイス)
相変わらず一言じゃないしうるさいオタクですみません。
それでは、良き冒険のあらんことを~!



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