呪われた血族の牙城:1話目~娘、初めての冒険へ~
- 管理人 天狗ろむ
- 2024年12月9日
- 読了時間: 14分
更新日:2月7日
前回の記事では、今回の旅の主人公となる、【血の呪い】持ちの吸血鬼殺し娘セレーナちゃんと、彼女に命を救われた暗殺者ミダスおじさんが誕生しました。どちらも天狗ろむの癖まみれです。折角作るキャラクターですから、癖は詰め込んでなんぼです(諸説あり)。
それでは早速、『呪われた血族の牙城』第1回目の冒険の始まり始まり。
描写は白い三角マークで挟み、できごと1つは黒い三角マークで挟む事にします。
あと明朝体が好きなので明朝体系で表示……出来てるといいな!
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▼プロローグ
――赤い、血のように赤い月に照らされ、その古城は佇んでいた。
「あそこに……囚われの人々が、吸血鬼ヴェルゴウルがいるのですね」
古城の妖しくもぼんやりとしたシルエットを見据えながら、灰色の髪の娘がゆっくりと噛み締めるように言う。彼女の瞳は、今宵の月のように赤く光っていた。
「……怖気づいたか、セレーナ」
娘の背後、夜陰に紛れて立つ壮年の男が低く静かに問うた。言葉を発さねば、そこにいるとは常人が気づけない程の静謐さをまとっている。セレーナと呼ばれた娘は、男を振り返ると、ゆっくりと、しかししっかりと首を横に振った。頭のてっぺん辺りでまとめられた灰色の髪が合わせてふわりと揺れる。
「いいえ。ミダスさんもいますから」
「ハ、俺頼みか」
「それは勿論。両親に吸血鬼退治の話は聞いていましたけれど、実際に連れて行って貰った事も、戦い方を教えて貰った事も無い、素人同然ですから」
「……よくそんな状況で吸血鬼に挑もうと思ったな」
「吸血鬼を倒さない事には私の呪いも解けないようですし。それだと顔色悪すぎて皆に怖がられてしまいますし」
「……そうか」
ミダスと呼ばれた男は揶揄を含ませていたが、前向きでやや能天気なセレーナの言葉に毒気を抜かれたのか、諦めて口を噤んだ。危険な依頼に挑もうとしているのに、セレーネはどうにも危機感が無いというか、世間離れしているというか……しっかり者そうに見えて、お人好しが過ぎる故に罠に引っかかったり、悪い人間あたりに騙されそうな雰囲気なのだ。恐らく冒険者には向いていない。暗殺者として、裏切りが当たり前であるような過酷な生活を送ってきているミダスはそう感じていた。とは言え、そんな彼女のお人好しのお陰で、一命を取り留めたミダスであるから、恩返しのつもりで同行している。今回だけだ、と自分に言い聞かせながら。
「では、参りましょう。道中宜しくお願いします、ミダスさん」
「……承知した」
律儀に頭を下げるセレーナ。他人にそれほど丁寧にお願いをされた事の無いミダスは内心戸惑いつつも、一つ頷いてみせた。
セレーナとミダスの二人が依頼を受けたのは、数時間前に遡る。
堕落都市ネルド。日が暮れてからでないと門が開かない、夜行性の種族たちの街。
〈ゴブリン〉や〈オーク〉、様々な闇の種族が闊歩する中、フードを目深にかぶった二人は、足早に〈蜘蛛の毒牙〉亭を目指していた。【血の呪い】を解く為に吸血鬼を7体倒さねばならないセレーナは、ネルドにいるというアンデッドの専門家を訪ねようとしていた。しかし、詳しい居場所までは分からなかったからだ。ネルドに『仕事』で何度か来ているミダスは、宿にはネルドの情報が集まると知っていた。〈善の種族〉の憩いの場、避難所である〈緑の野菜〉亭も候補だったが、吸血鬼の【血の呪い】でアンデッド化しているセレーナが歓迎されるとは考えにくい。その為、荒くれ者どもの巣窟を選んだのであった。
裏通りの狭い路地を抜けると、〈蜘蛛の毒牙〉亭の入り口が見えて来る。扉の上にアラネア人もかくやという大蜘蛛の彫刻が、扉から出入りする者を捕食せんと牙を剥いている。
「……なるほど、だから〈蜘蛛の毒牙〉亭」
「呆けるな、ついてこい」
セレーナが感心したように呟くのを流しつつ、ミダスは中へと滑り込む。〈蜘蛛の毒牙〉亭の中ではそこかしこで喧嘩じみたやり取りが行われ、酒を持ってこい、料理が遅いと騒がしい。響く怒声にたじろぐセレーナの腕を掴み、酒場のカウンターへと足を運ぶ。セレーナにここでキョロキョロとさせたら、新参者だとすぐにバレる。無用なトラブルは避けたかった。
「エール酒2つ。あと、人を探している。アンデッド……吸血鬼に詳しい者を」
「はいよ。……嗚呼、吸血鬼、吸血鬼! 今はどこもその噂で持ち切りだ。詳しい話はその隅の男に聞きな」
手短に尋ねると、眼帯をした強面のマスターが溜息を吐きながら顎でくい、と示した。そちらを見ると、荒くれ者の宿には少し不似合いな、痩せぎすの男が座っている。目が合うと小さく会釈をするので、善の種族だと知れた。悪の種族は会釈などほぼしない。
「お前がアンデッドの専門家か?」
「いや、違うが。あんたら、冒険者か。吸血鬼退治の依頼を受けちゃくれないか」
求めていた人物では無かったようだが、男に歩み寄る。目は血走っていたが、正気は保っていた。片耳のみにつけた、三角の形をしたイヤリングをしきりに触っている。癖なのか、無意識のようだ。
「吸血鬼……ヴェルゴウルの事か?」
ネルドの街を通り抜ける間、漏れ聞こえてくる話に上っていた名前。それを持ち出すと、そうだ、と男は身を乗り出し、二人を手招きすると、辺りを窺いながら声を潜めて話し出す。
「ヴェルゴウルは大掛かりないけにえの儀式で死者の軍隊を作ろうとしているようだ」
罪なき人々が、アンデッドの手下によって古城へと連れ去られているらしい。還らずの森に籠もっている事が多い吸血鬼が森から出て来るとは珍しい、と思っていたがそんな思惑があったとは。
「だが、国はこの脅威を認めない。こうしている間にも、儀式は進んでいるに違いないのに……」
男は項垂れ、沈痛な面持ちで虚空を見つめる。男の妻も、連れ去られた犠牲者の一人なのだという。この依頼は彼にとって復讐でもある訳だ。背後のセレーナが息を呑む音が聞こえる。お人好しな彼女は痛ましいと言わんばかりの顔をしているのだろう。
「あの吸血鬼を討ちとってくれ。囚われた者も可能な限り助け出してほしい」
男はそう言って頭を下げる。ミダスはセレーナを振り返ると、どうする、と目で問いかけた。今は主導しているもののミダスの立場は同行者であり、依頼を受けるかどうかはセレーナ次第だ。……とは言え、ここまでのお人好し具合から見て、受けるだろうとは思っていたが。ミダスの予想通り、セレーナは強く頷いた。
「分かった。ただ、もう少し情報が欲しい。何か無いか」
吸血鬼の名前、根城。ここ最近のネルドの状況。情報は多いに越したことはない。男はとっておきの情報がある、と血走った眼で囁く。
「あの城の地下には、かつて王だった者の棺がある。そこに、銀の剣が副葬品として入れられている。知る者は少ないが、確かな情報だ」
「その根拠は?」
「……俺は元々盗賊だったのさ。あの城にも忍び込んだんだ。最後の仕事さ。剣は持ち出せなかったし、その後に妻と出会って足を洗った。……洗う足はそこで失くしたんだがな」
自嘲気味に嗤う男の足元を見ると、義足のようだ。これでは、自分で退治しに行きたくとも無理からぬ事だった。吸血鬼の根城である古城には罠やクリーチャー、いずれにせよ危険に満ちているのだろう。男はそれについて多くを語らなかったが、ミダスには充分な情報だった。
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……とまぁ、こんな雰囲気でしょうか。まだぎこちない感じの2人です。
では、1枚目のできごとを決めるd66ロールだー!
※念の為の補足
d66とは、6面ダイスを2回振り、1つ目を十の位、2つ目を一の位として数値を出すものです。d66シナリオは11~66までの数値に、それぞれできごとが決められています。
これから起こる冒険はランダムに決まるのです。ここがローグライクハーフの楽しみ所の一つかなと感じています。同じシナリオを(色んなキャラクターで)何度遊んでも、同じ冒険の流れにはならない……ダイスを振るまではどんな冒険になるか分からない。これにワクワクする方は、ローグライクハーフにとても適しているので遊んでみようね!!!!
今回は、実際にダイスを振った所は🎲マークで表示しています。
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1枚目 🎲51:〈血の奴隷〉
出現数:🎲4+4=8体 レベル:3 宝物:修正+1
≪反応表≫ 1から6【死ぬまで戦う】
弱いクリーチャーではありますが、まぁまぁ数が多いですね。でも宝物の修正+1は欲しい所です(強欲)。そんなプレイヤーの欲望に沿わせるのか、キャラクターらしさを追求するのか、良い感じに妥協点を見出すか……ここはプレイヤーの遊び方や考え方が特に現れそうですね。ローグライクハーフのリプレイ増えろ……増えろ……(念)
今回の2人はというと……。
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古城の門は、二人を待っていたかのように、軋んだ音を響かせながら開いた。まるで、獲物を前にした怪物の口のようだ、と思いながら、ミダスは周囲に目線を配りつつ、慎重に中へと進む。闇の中に複数の人間の気配を感じて、セレーナの持っていたランタンに布を被せるように指示した。柱の陰から様子を窺うと、虚ろな目をした人間たちが彷徨っている。格好も性別も年齢もバラバラな彼らの共通点と言えば、顔に血の気は無い事、恐らく正気ではない事だろう。
「あの方たちが連れ去られた人々でしょうか……」
「嗚呼。……恐らく『血の奴隷』になっている。可能な限り助けだして欲しいとは言われているが、『血の奴隷』を救うには諸悪の根源を絶たねばならんという話だ」
「まだ不死なる存在には至っていない、という事ですよね。それであれば、避けていきましょう。吸血鬼を倒せば、正気に戻るかもしれませんし」
(……果たして、そう上手くいくだろうかな)
ミダスは内心そう訝しむが、顔には出さない。流石に敵の数が多いので戦闘を避けるに越した事はないだろう。理由は異なるが、賛成の意を示す為に一つ頷く。
「ただ、ここは玄関ホールだ。他の場所に行くにしても、あいつらの目を避けていかねば、攻撃を食らう事になる。ランタンを使えば格好の餌食だ」
「私は夜目が効きますから、彼らの視線が逸れた時を見計らって動きましょう。……信じてくれますか?」
セレーナの赤い瞳が、ミダスを見上げる。ミダスも暗殺者として夜闇に慣れた身ではあるが、半分夜の住人と化しているセレーナの方がより正確だろう。その何もかもを見透かしていそうな眼差しからふい、と目を反らし、ミダスは小さく溜息を吐いた。
「……見誤るなよ」
「はい。応援していて下さい」
そう言って微笑むと、セレーナは呼吸を整え、集中し始めた。
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はい。という訳で、【逃走】だとダメージを受ける可能性があるので、セレーナちゃんの【察知】で切り抜けようという試みです。伝わるかな? 難しいな?
『吸血鬼殺し』の【察知】は【幸運点】ロールで判定します。セレーナちゃんの現在幸運点は6で、目標値は4。ファンブルさえ出さなければほぼ成功確定です。
🎲は……2! 無事に成功! 技能使用後、セレーナちゃんの幸運点を6点から5点に減らします。
上手く切り抜けたという事で、もう一度d66を振り直します。今回のシナリオでは、出目51は既出として扱います(本来の基本ルールだと登場していない扱い=また遭遇する可能性があるのですが、シナリオルールを優先します)。これで【血の奴隷】を倒さずに済みました。プレイヤー的には宝物が惜しいんですが、ね!(まだ言ってる)
振り直しの1枚目 🎲55:〈伸縮する吸血者〉
出現数:🎲6=3+4=7体 レベル:2 宝物:なし
≪反応表≫ 1~3【逃走】 4~6【敵対的】
でっかいヒルですって! ひゃー! 小さくても怖いのに!
出現数で最大値を出してしまったので、またまた大群です。
でも人間じゃないクリーチャー度高めな姿の敵なので、何となく攻撃しやすさはあります。打撃特性だと【攻撃ロール】-1修正なので、近接武器が軽い武器で棍棒なミダスさんはだいぶ不利ですが、レベルが2だからいけるかな……?
従者が倒されるとレベルが最大6まで上がってしまうという特性を持っていますが、今回従者はゼロなので、そこは心配いらないでしょう。
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二人は広いホールを抜けて、一番近くの部屋に身を滑り込ませた。人の気配は無さそうだったが、視界の端に何かがぬらりと輝いた気がして、ミダスは目を凝らす。
「……吸血仲間という事か」
「わ……!」
ランタンをそおっと掲げたセレーナが、小さく悲鳴を上げる。ぬめぬめとした身をくねらせながら、小型の犬程の大きさのヒルが此方に近づいてくるのだから、無理もなかった。ミダスはさっと視線を走らせ、敵の数を確認する。床を這って近づいてきているのが3体、奥で様子を窺っているのが3……いや、天井にも1体はりついている。全部で7体。さっきの『血の奴隷』よりは、1体減った訳だ。
「所詮は虫の類だが。……どうする」
「この群れを放っておいては、被害が広がってしまうかも。これも吸血をしてくる敵には違いありません。……倒しましょう」
「分かった。……こいつらの肌は弾性で打撃は効きにくい。お前の腕の見せ所だぞ」
「母さんの形見を初めて使うのがヒル退治なのは、ちょっと嫌がられそうです」
少し苦笑しながらも、セレーナはレイピアを構えた。ミダスも弓を引き絞り、まずは天井から落ちてきそうな厄介なヒルに狙いを定める。……戦闘開始だ。
△△△△△△△△△△
という訳で、ヒル退治開始!
何か出来れば遠距離攻撃だけで済ませたい敵です…攻撃したらぶちゅってなりそうだし……。カタツムリとかは可愛く見えるのに、殻が無い(+吸血してくる)だけでかなり印象が変わる虫……いや虫なのかこれ?(※恐る恐る調べたらミミズの仲間だそう。詳しく言えば虫ではないけれども、古来の考え方や、一般的な感覚としては虫の雰囲気で良いとも言えそうでした)
※念の為の補足 戦闘について
基本は、ダイスの出目と技量点を足した数値が、敵のレベル以上なら判定成功です。
【攻撃ロール】が成功であれば敵の数を1体減らし(強いクリーチャーの場合は生命点を1点減らし)、失敗なら相手に回避されたとみなします。
【防御ロール】が成功であればノーダメージ、失敗であればそのキャラクターの生命点を1点減らします。
上記の攻防を繰り返し、敵が【死ぬまで戦う】以外であれば、出現数の半数以下(強いクリーチャーなら生命点の半分以下)になったら敵は逃げ出し、戦闘終了(勝利)です。
割と戦闘ルールが簡単でサクっと終わるのも、ローグライクハーフの良さかなとも思います。(ファンブル続きで長引く時も無きにしも非ずですが、ね……!)
今回はまずはダイスの出目がどうなったか、その後に戦闘描写をまとめる形で進みます。
▽0ラウンド目
セレーナちゃんも弓矢を持っていますが、今は片手武器レイピアとランタン担当なので、ミダスさんが弓矢で攻撃。
ミダスの弓矢→技量点2点+🎲6=クリティカル!
追撃🎲6=またまたクリティカル!
更に追撃🎲1=ファンブル!
※出目6はクリティカル。もう一度【攻撃ロール】が出来ます。お得!
※出目1はファンブル。たとえ技量点を足した数値が敵レベル以上でも、失敗です。無念!
何だか凄い事になっちゃったぞ……(天狗ろむには稀によくある出目乱降下)。
遠距離攻撃で済ませたいというプレイヤーの気持ちを汲んでくれたのでしょうか。
やだもうミダスさんったらイケおじなんだから~!
初撃で2体を華麗に仕留めて下さったので、残るは5体。
出現数7体の半分以下……あと2体倒せば戦闘終了ですね。
▼1ラウンド目
セレーナちゃんがレイピアでつっつきます。技量点1点+🎲5=6で成功!
ミダスさんは武器持ち替えに1ラウンドを消費します。
残るは4体なので、2回ずつ【防御ロール】をしてもらいましょう。
セレーナ 防御1回目:技量点1点+🎲5=成功!
2回目:🎲5=成功!
ミダス 防御1回目:技量点2点+🎲6=クリティカル!?
2回目:🎲6=クリティカル!?!?
いやあの……実際にダイスを振ってるんですが、何だか凄い事になってるぞ……?
手のひらの上でちゃんとコロコロさせてからやってるんだけどな……。
ダイスの女神もヒル苦手だったんでしょう。もしくはミダスおじさんを気に入って下さったのかも。同志よ!!
という訳で(?)ノーダメージで一安心です。
▼2ラウンド目
セレーナちゃんがもう一度えいやっと。 技量点1点+🎲3=成功!
残り3体になり、半数以下になったので戦闘終了です。クリティカルに生かされている。
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「ふっ……!」
ミダスが矢を放つ。まずは1体、天井のヒルを射落とす。そのヒルの真下にいた別のヒルが、落ちてきた仲間に圧し潰されてどちらも動かなくなった。
(……いける)
セレーナに拾われる要因となった腕の怪我が治ってから、鍛錬は欠かさず行っていたが、どうやら鈍らせずに済んだようだ。弓を背負い、棍棒を構え直しながら、ミダスはヒルどもを見据える。
ミダスが武器を持ち替える間に、セレーナが一歩踏み出し、一番近くで蠢いていたヒルに思いのほか鋭い突きを繰り出す。ぐじゅ、と湿った嫌な音をさせつつも、ヒルは動かなくなった。これで3体仕留めたが……残り4体が襲い掛かってくる。
「動きは愚鈍だ、よく見ろ。お前ならば見えるだろう」
「はい!」
ヒルたちに連携攻撃という知恵はない。ひらり、ひらりとしっかり躱す度に、セレーナのポニーテールが踊るように揺れる。ミダスも無駄の無い動きでさらりと躱し、棍棒を改めて握り直す。
「えいっ!」
ミダスが棍棒を振るう前に、再びセレーナがヒルを突き刺す。ぐしゅり。半分以上が動かなくなった状況になって、漸く敵わない相手と感じたのか、残りのヒルはうねうねと暗闇の中へ逃げ去っていった。戦意を失った虫を見やりながら、ミダスは体の力を少しだけ抜いた。まだレイピアを構えて臨戦態勢のセレーナに、もう大丈夫だ、と声を掛ける。
「……よくやった」
「はい。……ふう、何とかなりました。……嗚呼~、手入れはしっかりしなくちゃですね」
「そうだな」
(母さんごめんなさい……!)
嫌そうな顔をしながら、ヒルの体液塗れになってしまったレイピアをぶんぶん振って、セレーナは心の中で母に謝るのだった。
△△△△△△△△△△
ヒルにちゅっとされる事なく、無事に切り抜けました。
案外戦えそうなセレーナちゃんです。
初めてのできごと1枚目は終了!
描写が長めなので、一旦ここで区切る事に致しましょう。
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