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呪われた血族の牙城:0.5話目~キャラクター作成~

更新日:3月14日

※このリプレイはハロウィンの時期に執筆を開始しました。ハロウィンに浮かれているのでテンション高めです。天狗ろむはハロウィンとおじさまが大好きです🎃🦇





†・†・†


 ハロウィンだ!

 ローグライクハーフだ!

 復刻配信された『呪われた血族の牙城』をやろう!

 でもって最近発表された職業『暗殺者』でおじキャラ作ろ!

 そして折角だし、もう一人は『吸血鬼殺し』かつ『血の呪い』つけちゃお!(強欲)


 という訳でまずはキャラ作成からです!



▶おじさまの名は。


 さて、一人目のおじさま。FT書房様より発売中のゲームブックのとあるキャラをモチーフにさせて頂いています。だって表紙の彼も挿絵の彼も、そして言動行動全てが激渋おじさまだったんだもの……。FT書房様の作品に出て来るキャラクター、魅力的な人々ばかりです。


 本来の彼ならば【怪物狩猟者】で作るべきなのでしょうが、今回はモチーフとしてなので【暗殺者】です。私は一旦、ピクルーの素敵絵師さんの作品にて激渋おじさま顔絵を作成し、イメージを固めます。その後、自分で立ち絵を描いております。自分で一からキャラデザするとなると時間がかかってしまい、本編になかなか行けない為です……。


 名前はそのまま……という訳にもいかないので、少し捻りましょう。

 今回は、彼の名の綴りを恐らく、多分、メイビー……とやや心配な雰囲気で仮定してアナグラムしてみました(そういう便利なサイトを利用しつつ)。

 そこから名前になりそうなものをピックアップ。

 

 MIDARS……ミダース、もといミダス。

 

 激渋おじさまのお名前はアナグラムしても渋いですね(?)。

 MIDARSで調べると、ギリシア神話のとある都市の王ミダース、もしくはミダス王の記事がヒットしました。触ったもの全てを黄金に変える能力であるとか、童話『王様の耳はロバの耳』で、耳がロバになってしまう王様としても有名だとか(ウィキペディア先生より)。


 ざっと流し読みして、ふーん、波乱万丈っぽくておじさまみあるじゃん(?) 

 という事で激渋おじさまの名前はミダスさんに決定です。



▶おじさまの装備は。


 職業『暗殺者』のキャラクターを作るのは、天狗ろむは初めてだったので、ローグライクハーフWikiのページとありがたくにらめっこしながら能力他を決めていきましょう。


 『暗殺者』の副能力点は【器用点】。『盗賊』から派生した雰囲気かな。暗殺者ですから、忍んでそうですもんね。ニンジャもここに含まれるのかも?


 初期装備は、弓矢、軽い武器、革鎧。

 『盗賊』だと弓矢かスリングを選べたけれども、弓矢一択なんですね。ふむふむ。モチーフのおじさまは名うての弓使いなので、解釈一致ですありがとうございます。

 軽い武器はナイフだろうから斬撃特性ですかね……と思ったけれど、よくよく原作読んだら棍棒持ってる! (殴りつけてた)なので、ミダスさんも小さめの警棒みたいな棍棒にしましょうね。これで打撃も斬撃も完璧。


 弓矢は遠距離の両手武器なので、基本的に遠距離攻撃のみ可能な0ラウンドでは活躍出来そうですが、太刀持ちがいないと武器交換で1ラウンド必要になるので、すぐ攻撃出来ないかも……と考えつつ、初期技能を眺めていきます。何と初期技能から4つも選べる! やったー!


▶おじさまの技能は。


 【全力射撃】は【器用点】を使って【攻撃ロール】を行う事が出来る。これは『盗賊』でも出来た筈……。名うての弓使いだからこれはマストかも。


 そして、名前からして格好いい【運命の切り札】は、各冒険につき1回のみ、ファンブルをクリティカルとして扱う事が出来るとな。これなら、ここで決めるぜ!! と格好良くロールした後で思いっきりファンブルしても、「失敗したと思った? 残念、クリティカルでした!」が可能って事か……。ファンブルに愛されがちな中の人としては欲しい所ですが、モチーフのおじさまらしいかと言うとちょっと違うかも……?


 【奇襲】は敵グループに対して【器用ロール】を行い、成功した場合は1ラウンド目から戦闘が始まり、その際全ての味方キャラクターの【攻撃ロール】に+1の修正がつく。0ラウンドの戦闘はスキップされてしまうけれど、1ラウンド目を先攻で、しかも修正がつくならば、先手必勝で一網打尽に出来る……かも、な技能といったところでしょうか。従者や仲間が多い時は活躍してくれそうですが、一匹狼っぽいおじさまが使いそうかというと、これもちょっと違うやも?

 おっと、【速攻】は【奇襲】とセットで取得の上、コストなし……これは4種の内に含まれない感じでしたか。上記部分訂正!

 

 【奇襲】に成功した時、第0ラウンドで単独でグループに近づき、接近戦攻撃が出来るですって! やだー! 暗殺者っぽい!(※もとより暗殺者の技能です)

 飛び道具での攻撃を選ぶ事も出来るし、このキャラクター以外は敵味方どちらも動けない。その上、【判定ロール】には+1の修正がつく……おじさま使ってそうかも!? 

 というかシンプルに、器用点1点のコストで【奇襲】成功→【速攻】で有利に攻撃→【奇襲】効果で【攻撃ロール】+1修正……ってなかなかのコスパなのでは……?? 

 候補に入れておこう。


 お次は【肉の壁】……響きがもう、ね……よく肉盾とか言いますけれども……

 【防御ロール】に失敗した際に、1体の<捕虜>を犠牲にする事で、ダメージ無効化。【器用点】消費なし! 

 血も涙もない、使えるものは使う感じの暗殺者らしいけれどもおじさまっぽいかと言うとちょっと違うような気もしないでもないような。『自分にも誇りがある』と言って、捕虜とした主人公を一定の扱いはしてる感じだったので……ね?


 残るは二つ、【装備の補充】と【縄縛り】。後者はちょっと心擽られますね(?)。

【装備の補充】は、戦闘やトラップを除き、いつでも好きなタイミングで、<荷物持ち>と合流出来る。この<荷物持ち>は「片手武器」「スリング」「木盾」「ロープ」「ランタン」の内、2つの装備品を持っている。各冒険に1回だけ使える……と。


 たまーに武器を盗まれたり(黄昏の騎士の例のイベント)、武器が壊されたり(どこかにそういう敵が出てきたような?)するので、そういう時には便利かも? ただ、主人公2人旅の場合だと、従者点を増やさないと意味がなくなってしまいますね。おじさまっぽいかというと……うーん?


 最後の【縄縛り】はというと、〈弱いクリーチャー〉が【逃走】する際に、行動(攻撃など)を行っていない場合に使用でき、対象のレベルを目標値にして【器用ロール】を行う。成功で、【逃走】するクリーチャー1体を【捕虜】にする事ができる。ロープ必須。

 【器用点】を使った場合は、1点消費。【技量点】基準であれば消費なし。ふむふむ、捕虜ゲット技は原作み高めに感じます。昏倒させて縛り上げてますし。【縄縛り】で【捕虜】にする→【肉の盾】要員にする、が良さそうな運用(?)。



 さーてさて、一通り読んでみた所で、技能4つを決めましょう。


 まずは名うての弓使いらしさの【全力射撃】

 コスパ良さげな【奇襲】+【速攻】

 ハンターとしての捕縛術として【縄縛り】


 とスムーズに決まって最後の一つは悩みに悩んで……【運命の切り札】にしました!


 【装備の補充】や【肉の盾】とも迷ったのですが……、モチーフのおじさまは主人公捕縛に一度失敗している→ミダスさんも同様に暗殺に一度失敗して信用が落ちてしまった為に仲間の手助け=【装備の補充】は望めなくなった、と考えた故。【肉の盾】は従者点を上げないと使えない、というシステム面の理由から一旦除外。


 ミダスさんは暗殺に失敗した上、ターゲットから返り討ちを食らい、脚に怪我を負って行き倒れた所を、【運命の切り札】によってもう一人の主人公に助けられ、一命を取り留めた……みたいな流れにしようかなと。

 既に【運命の切り札】を使った事にして、今回の冒険では【器用点】を1点減らした状態で始めようと思います。そんな訳で、ミダスおじさんの見た目と技能や能力値はこんな感じになりました。



▶おじさまの基本情報は。




冒険者名:ミダス

  職業:暗殺者

 技術点:2点 生命点:6/6点 器用点:3/4点 従者点:7/7点

 装備品:弓矢、軽い棍棒(軽い武器)、革鎧

  技能:全力射撃、運命の切り札、奇襲、速攻、縄縛り

  修正:【器用ロール】+1点

  金貨:10枚




▶もう一人の主人公は。


 こんなベテランな雰囲気のミダスおじさまの命の恩人は、そりゃもう女の子でしょう。

 おじさまと女の子の組み合わせは健康に良いと古事記にも書いてありますからね(諸説あり)。

 女の子で、『呪われた血族の牙城』の特殊ルールでなれる、吸血鬼狩りの宿命を負っている『吸血鬼殺し』であり、「過去の因縁によって半吸血鬼化している」事を表す【血の呪い】を受けている。既に属性山盛りです。大好物です、ありがとう。


 個人的に、主人公の一人が冒険者としては成熟している(技量点2点)タイプ、その相棒はまだ発展途上(技量点1点以下)な未熟タイプの組み合わせが好きなので……こうしましょう。


 この女の子の両親が吸血鬼狩りを生業としていて、憧れていたけれども両親からは危険な仕事だからと反対されていた。

 ある時、両親がとある強い力を持つ吸血鬼を退治しに出かけたきり帰ってこない。そういう時は他の吸血鬼狩人に連絡を取るよう言われていたが、心配のあまり両親を探しに吸血鬼の根城へ向かう。

 両親はほぼ相討ちで吸血鬼を討ち果たしていた。けれども僅かに吸血鬼の思念が残っていて、滅ぼされた怒りを、憎らしく忌々しい狩人夫婦の娘……女の子へと向ける。

 半吸血鬼化する呪いをかけた上、吸血鬼を7体滅ぼさない限り、その呪いは解けない。そうして、女の子は半ば強制的に【吸血鬼殺し】としての道を歩む事になったのだった……続く。



Q、何で呪いを解く為に倒す数が7体なの?

A、七つの大罪とかと掛けられそうだなと思って……あとドラゴンボールも7つだし……?(ふんわり)



※実はよくよく読んでいくと【血の呪い】は『呪われた血族の牙城』でのみの設定なので、このシナリオ上で呪いを解かないと一生解けないとなっています。……が、この段階の時の天狗ろむは全く知らなかったのでした。一旦このままの設定で進みます。



 くっそ重い過去が出来ました。そんな感じで、吸血鬼殺しになりたてのホヤホヤ、知識はあれども実践経験は皆無、といった雰囲気でキャラメイクしていきましょう。

 【血の呪い】の所為で顔は青白くなり、それを気にしているお年頃なのでメイクで誤魔化している感じで。髪も元々黒っぽかったけどやや脱色して灰色な感じ。

 目は赤に変わったでしょうね! 赤でしょうとも! 

 とノリノリで美少女を作りました。楽しー!


▶美少女の技能と装備は。


 外見はピクルーさんのこれまた素敵メーカーで一旦作らせて頂き、『吸血鬼殺し』も初めて作るので、技能を確認していきます。


『吸血鬼殺し』の副能力値は【幸運点】で、技能は本来【筋力点】の技能の一つ【かばう】と、【器用点】の技能の一つ【察知】を使用できる。これらを使う際は、【幸運点】を消費する感じですね。


 そして、特筆すべきは、1ラウンドを消費せずに、武器、盾、ランタンといった手に持つもの全てを取り換えられる事。「太刀持ち」泣かせのパッシブ技能ですわぁ!


 装備品は、銀の矢じりの弓矢(銀製の武器という事以外は弓矢と同様)、片手武器、布鎧とあります。

 吸血鬼は銀の武器に弱いと聞きますもんね。そりゃあ銀製の武器を持つでしょう。

 この女の子は弓使いだった父の弓と、レイピア使いだった母のレイピアを、形見として使う事にします。どっちも斬撃ですね。


 さて、【血の呪い】の方を見ていきますと……連れ歩ける従者が減るとあります。基本従者点は7点なので5点になるという感じでしょう。

 2人プレイの場合、基本ルールだと最大従者点を7点減らすとあります……ので? 

 作成時に従者点2点分を足しておかないといけない感じでしょうかね? 違うかな? 

 でも、本来1点あげる為に経験点を4点必要とする【技量点】が1点上昇するので、それくらいのコストは必要そうだと判断し、それを踏まえた上で女の子の技能を決めていきましょう。


 あとは、戦わない従者を1人死亡させる事で、生命点回復……お命頂戴しちゃう感じですか。戦闘中でも使えるし、1ラウンド消費しないのはピンチの時に良いかも……ただ、従者に愛を注ぎがちな天狗ろむ的には最終手段としたい所です。



▶美少女の名は。


 そろそろ、この主人公ちゃんを女の子と他人行儀に呼ぶのも可哀想なので、名前を考えますか。

 ミダスおじさんのモチーフ作品の主人公の名前でアナグラム……とも思ったのですが、少々短すぎるのでもう少し捻りましょう。

 その主人公は「夜の妖精」と呼ばれている盗賊剣士なのだとか。夜、月……月の女神、ルナ? 主人公の名前とも似ていていい感じですが、もう一捻り……ミダスおじさんがギリシャ神話の王の名だったので、こちらもギリシャ神話にすると……セレーネ、もしくはセレネ。主人公から一字貰って、こちらは伸ばしてセレーナちゃんに決定


 性格としては、吸血鬼殺しにしてはお人好しで優しく、困っている人を放っておけない感じ。吸血鬼ヴェルゴウルの噂を聞きつけて、堕落都市ネルドに向かう途中、任務に失敗して瀕死のミダスおじさんを拾って介抱します。自分の事より他人を優先するセレーナちゃんを理解出来ないと思いながらも、命の恩人であるので吸血鬼ヴェルゴウル退治に同行する事を決めました。何だかどうにも放っておけない雰囲気だったのでしょう。気難しい堅物系おじさまが優しい女の子に絆されていく様、いとをかし。

 それはさておき、見た目と技能やらはこんな感じになりました。



▶美少女の基本情報は。




冒険者名:セレーナ

  職業:吸血鬼殺し

 技術点:1点 生命点:7/7点 幸運点:6点 従者点:7/9点

 装備品:銀の矢じりの弓矢、レイピア(片手武器・斬撃)、布鎧

  技能:かばう、察知、武器取り換え、【アンデッド】属性、吸血

 修正:【器用ロール】+1点

 金貨:10枚

 

 技量点1点は、【血の呪い】によるもの。

 従者点は経験点4点を振り分けて最大値を9点にし、そこから2点引いた7点を持っている→主人公二人プレイ可能、としました。

 技量点は1点にしたかったので、残りの経験点は幸運点と生命点に振り分け。

 生命点を多めにして、半アンデッドなのを活かして庇いまくる(他人優先の性格による)感じにしようかなと。ミダスおじさんがその内に怒りそう。年頃の娘なんだから自分を大事にしろ、みたいな感じでな!?



▶主人公たちのできあがり。


 そんなこんなでキャラクターが出来上がりました。漸く遊べるぞー! わーい!

 今回は初めての職業+設定をしっかり練りたかったのでやや時間がかかりましたが、慣れるとさくさくっと出来ます。設定はプレイしている内に生えたりもしますので、技能と見た目とかだけ決めて気軽に始めるのもアリアリのアリだと思っています。


 皆様も気軽にローグライクハーフを始めよう!!!!!



 それでは、次話よりリプレイ小説本編『呪われた血族の牙城』第1回目の冒険の始まりです。


 キャラクター詳細について知りたい方は関連記事へ。

 クリア後の情報になっておりますので、多少のネタバレがございますのでご注意ください。


 以下、二人の設定を絡めた、『呪われた血族の牙城』の依頼を受けるまでの前日譚。読むと二人のこれまでの経緯が多少分かりやすい、かも。




†・†・†・†・†

――死ぬのか、俺は。
 とうとう順番が来たのかと、自らの腕から流れ続ける血を見ながら、どこか他人事のように思った。
 依頼に失敗したのは初めてだった。暗殺者の失敗は死と同義であるから、ここまで生き延びたミダスに今まで失敗は無かったのであるが。
 ターゲットの男を追い詰め、手を下すだけの簡単な依頼の筈だった。
 男に協力者はおらず、仲間に見捨てられ孤立しているとの情報を鵜呑みにしていた。それが男の流した誤情報だと見抜けなかった。人気の無い山奥まで追い詰めたつもりが実は誘い込まれており、男と協力者によって返り討ちに遭い、何とか逃げ出したものの体中ボロボロで、特に腕の傷が深い。万が一命が助かっても、果たして以前のように腕が振るえるかどうか。
(潮時、なのかもしれん)
 何が何でも生き延びて、やりたいという事も無い。かと言って死に急ぐ事もしなかった。孤児であったミダスは奴隷商人によって後ろ暗い組織に売られ、暗殺者として育てられた。ただ命じられるままに仕事をし、日々流されるままに生きていた。依頼主は使える駒が減ったと多少残念がるかもしれないが、自分を案じる者など、この世界には……。
「貴方! 大丈夫ですか、しっかりして!」
 突然声を掛けられて、ミダスははっと顔を上げた。目の前に灰色の髪に白い肌、赤い瞳の娘がいる。死に際に迎えが来るなどと聞いた事もあるが、これが天の使いとやらだろうか。何の神も信仰していないミダスにも、美しく若い娘の迎えが来るとは、神というものは余程慈悲深いらしい。
「……連れていけ、地獄とやらに」
「そこへの行き方は知らないので連れていけません。貴方が行くべきはまずベッドです」
 きっぱり言い切った娘は思いのほか力強くミダスを支えると(もしかするとミダスがだいぶ弱っていた所為もあるかもしれないが)、近くに小屋があるから、と歩き始めた。彼女の手は、死にかけのミダスよりも冷たかったが、不思議と嫌な感じはしなかったのを、妙に鮮明に覚えている。

 これが、暗殺者ミダスと、【血の呪い】を持つ吸血鬼殺しである娘、セレーナとの出会いだった。

†・†・†・†・†

 小屋に向かう道中でセレーナと名乗った娘は、甲斐甲斐しく身元も知れぬミダスの世話を焼いた。傷が治るのを待つ間、セレーナはミダスが不快に思わぬ頻度で、自分の身の上話をしていく。ミダスの詮索はせずに。その気遣いは話しづらい事この上ないミダスには有難かった。年若い娘が何故このような山奥にいたのかと問えば、この小屋は『吸血鬼殺し』を生業とする者が使っていたのだという。暗殺者であるミダスも人の事は言えないが、なかなか剣呑な職だ。
「私の両親も、『吸血鬼殺し』だったのです。腕の良い二人でしたが、強い吸血鬼と戦って相討ちに」
「……そうか」
「いつもより帰りの遅い両親が心配になって、そこに行ってしまいまして。そこで【呪い】を受けてしまったんですよね」
「それで、その瞳か」
「はい。髪は父譲りの茶色でしたし、目は母譲りの緑色だったんですが。で、この【血の呪い】を解く為に、吸血鬼を7体倒さないといけなくて」
 いわく、セレーナは両親と同じ『吸血鬼殺し』に憧れていたが、両親は反対していた。なのでこっそり特訓したり、知識だけは身に着けていたのだが、実戦はした事がない。自分たちに何かあった際は、他の『吸血鬼殺し』の仲間を頼るように、といつも言い含められていたので、この小屋を訪れたが留守だったのだという。
「書置きを見るに、堕落都市ネルドの近くに吸血鬼が現れたそうで。丁度ネルドにも訪ねるべき方がいらっしゃるし、手始めにネルドに向かおうかと思っていたところ、ミダスさんを発見した次第ですね」
「……傷も塞がった。もう俺の事はいい。自分の用事を優先したらどうだ」
「私の優先すべき用事は今はこれですので。……それに」
「……っ。おい、つつくな」
「ほら、まだ痛むのでしょう? 強がりはいけません」
 お人好しな娘だ。ミダスから見たセレーナの印象はそれに尽きる。素性の知れない男を拾い、あまつさえ世話をするなど、危機感も足りない。命の恩人相手であるから、無体を働くつもりなど毛頭ないが。セレーナは山や森での生活に慣れているからか、近場で木の実を取って来たり野兎を仕留めてきたりして、ミダスに手料理を振る舞った。……誰かに、自分の為だけに、料理を作ってもらうなど、ミダスには初めての事だった。
 劣悪な環境で過ごしてきたミダスの人生で、一番穏やかな半月であった。

†・†・†・†・†

 セレーナがこまめに取り換えてくれていた、包帯を自分で取る。
 手を握る、開く。……握力は多少衰えたかもしれないが、違和感は無い。
 腕を曲げる、伸ばす。……少し傷痕が引き攣る感覚はあるが、痛みは無い。
 武器の一つである小ぶりな棍棒を握る。軽く振るう。元々両利きであるし、今の所は問題は無い。
 もう一つの武器である弓矢を構える。……これには流石に、ピリ、と痛みが走った。長く構えていられない、腕もぶれる。これは暫く鍛錬せねばならないようだ。いつも通りに考えかけて、ふと疑問がよぎる。
(……いや、そもそも俺に戻る場所などあるのだろうか)
 依頼を失敗した。本来ならば死を意味している。ミダスは何故か生き延びてしまった訳だが、もう依頼主はミダスを見捨てて、次の駒を使っているだろう。汚名を返上すべく戻るのか、戻るのは許されるのか? そもそも、暗殺者になりたくてなっている訳ではなかった。とは言え、今更たとえばパン屋のような平和な職に就ける筈もなく。弓矢を握りしめたまま、ミダスは初めて一瞬だけ途方に暮れた。誰かに命じられなければ、自分は何をすべきか、何も思いつかない。
「あっ、こんな所に。まだ安静にしてなきゃダメですよ」
 ベッドにいないミダスを心配して、探し回っていたセレーナが歩み寄ってきた。
「もうほぼ完治した。動かねば鈍る」
「まぁ、それも一理ありますね。でもご無理はなさらないで。傷が開いてしまいます」
「嗚呼」
 納得したセレーナは去るかと思ったが、その場に留まりミダスをじっと見ている。無理をしないよう監督でもするつもりだろうか。セレーナの真っすぐした眼差しが、ミダスは少し苦手だった。穢れを知らぬ、澄んだ赤い瞳に射抜かれるようで。
「……ミダスさんって、狩人ですか?」
「まぁ、似たようなものだ。俺の狩りの相手は人間。……いわゆる暗殺者、だった」
 聡い娘だという事は、半月も共に過ごせばすぐ知れた。恐らく気を使ってぼやかして尋ねてくれたのだと思うが、ミダスは正直に答えた。セレーナも驚く気配はない。薄々そうではないかと思っていたのだろう。
「だった……ですか?」
「お前に拾われた時、依頼に失敗した直後だった。暗殺の出来ない暗殺者など必要とされない。今や俺は人殺しをして生きてきただけの男だ」
 怖いだろう、とセレーナを睨むが、彼女は静かにミダスを見つめ続ける。その瞳に恐怖も憐憫も見当たらないのが不思議だった。
「なら、吸血鬼を退治した事は?」
 不意にそんな事を尋ねてくるので、一瞬言葉が出なかった。今までの依頼にそんなものはあっただろうか、と逡巡する。
「いや、無いな。今のところは」
「では、宜しければ、なのですけれど。……私の吸血鬼退治をお手伝い頂けないかと、思ったりしまして」
「……拾った恩を返せという事か」
「えー!? 違います、そういう打算的なものではなく!?」
 何故か身振り手振りを交えて、セレーナは説明を始める。表情がコロコロとよく変わる娘だ。普段は落ち着いた物腰だが、慌て癖もある。妙に必死な彼女の弁をまとめると、自分には吸血鬼殺しの知識はあるが、実戦経験が無く、吸血鬼退治に不安がある。そこで、素人目に見ても腕が立つであろうミダスに手伝ってもらえないか、危険を伴うのは明らかであるから嫌なら断ってくれて構わない。拾った事に関しては自分が勝手にやった事だから気にしなくていい、というものだった。
「……ふむ。吸血鬼退治か」
 ミダスが暗殺者だと知って尚、頼んでくるのであるから肝の据わった娘である。内容が不穏であるから、むしろ好都合だったのかもしれないが。
「ミダスさんに断られても、元々ネルドで同行者を探そうとは思っていたのです」
「ネルドで優しい言葉を掛けてくる奴は絶対に信用するな。言動が怪しい奴も、目つきが怪しい奴も。出会う者皆全てを敵と思え」
「それじゃあ同行者を探せないじゃないですか……」
「お前のようなお人好しは、ネルドでは身ぐるみ剝がされて終わりだ。探すだけ無駄だぞ」
「一人で行けと……!?」
「違う。俺が同行するから探す手間は省ける」
「えっ、宜しいのですか……!」
「借りたものは返す主義だ」
 恩であれ、仇であれ。借りたままの身では身動きがしづらいし、今後の予定は無く、寄る辺もない。正直な所ミダスにとっては渡りに船のような申し出だったが、顔にも言葉にも出さなかった。けれど、セレーナはありがとうございます! と満面の笑みを浮かべた。

 こうして、怪我の癒えたミダスはセレーナに同行してネルドへと向かったのであった。

†・†・†・†・†

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