top of page

呪われた血族の牙城:11話目~娘、獣と相対す~


▶前回のあらすじ

 中庭の東屋の隠し階段から、地下に進むセレーナちゃんとミダスさん一行。

 トラップを避けたい時に限ってしっかりトラップを引いてしまうのが中の人、天狗ろむ。

 なのですが、セレーナちゃんの【察知】で事なきを得ました。

 

 さて、鬼火さんに頂いた「手がかり」を使って、6枚目にしてボス戦です!



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼



「手がかり」1個使用


 できごと 6枚目 最終イベント:〈飢えた吸血獣グルゲ〉


〈飢えた吸血獣グルゲ〉

レベル:5  生命点:6  攻撃回数:2  宝物:修正+2

≪反応表≫ 1~6【死ぬまで戦う】


 狼ベースで、口が大きく裂けている黒い影のようなイメージ。フレーバーテキストに姿形が詳しく書かれてない場合は、想像し甲斐がありますね。

 今回はここまで戦闘が無かったので、腕が鈍ってないと良いのですが……攻撃食らうと2点削られるのが怖すぎる! 頑張れ二人とも!




▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽



 扉を開けると通路が続き、その両脇には鉄格子の部屋がいくつもある。地下牢として使われていた場所なのだろう。空っぽの牢もあれば、鎖で繋がれたまま息絶えてしまったらしき死体や骨がそのままになっている牢もある。
「あれは……!」
 他の牢よりも頑丈そうな造りの牢の中で、老人が壁に背を預けて蹲っている。セレーナは格子に駆け寄った。
「カットナーさんですか? 助けにきました!」
「何じゃ……儂は夢でも見ておるのか?」
「夢じゃないですよ、しっかりして下さいな」
 老人は目をこすり、突然現れたセレーナの顔を見つめて瞬きをする。頬はこけてやつれてはいるが、怪我や病気などで弱っている様子は無かった。拷問はされずに済んでいたのだろう。
「この鍵、普通のものじゃないようですね。……何か、見覚えがあるような」
「……いかん、儂の事は良い、放ってさっさと逃げろ!」
「ここまで来たのです、もう少し辛抱なさって」
「……セレーナ! 上だ!」
 セレーナが老人と話している間に、怪物が何処に潜んでいるのかと辺りに気を配っていたミダスが叫ぶ。上を見上げようとしたセレーナの頬に何かがぼたり、と垂れてきた。先程壁から染み出していた水……にしては暖かくて生臭い。顔を引きつらせながら視線を徐々に上げていくと、逆さづりの巨獣の、ランランと輝く瞳と目が合った。
 瞳が4つ! 顔が2つあるではないか!
 鋭い牙の並ぶ二つの口から、だらだらと涎が垂れてきている。
「こ、こんばんは」
 セレーナは垂れてきた涎をそっと拭いつつ挨拶してみるのだが、巨獣はニチャリと大きく裂けた口を歪ませただけだった。血塗れの爪が石の天井をかきむしり、パラパラと石の欠片も落ちて来る。どう見ても友好的ではないし、この怪物に食われたのであれば、あの鬼火の体の持ち主の状態も頷ける。よく見ると、片方の首には、首輪がしてあり、そこに付けられた何か小さいものがブラブラと揺れていた。鬼火に導かれた先で拾った、ペンダントに似ている気もする。
「馬鹿者、早く逃げろ! こんな老いぼれの為に命を粗末にしてくれるな! もう沢山だ!」
 カットナー老人が悲鳴にも似た声で叫ぶ。セレーナは弓を取りながら、赤い瞳を獣に向けた。
「ここが、私の命の使い所なのです。貴方を助けて欲しいと、願う方がいる。貴方を助けますと、約束を交わした方もいる。私はそれを反故にするつもりはありません」
 セレーナは立ち上がりながら、ちらりとミダスに目を向けた。今度ばかりは逸らさずに頷く。
「……獣如きに負けるつもりはありません。ね、ミダスさん」
「俺は人専門なんだがな」
「ふふ、それでも頼りにしています。……生きて帰りましょう、皆で。その為に、あなたを討つ!」

 セレーナの気迫に、獣も大音声で吠える。
 勝つのは獣か、それとも人か。
 ミダスは静かに、剣を構えた。

△△△△△△△△△△



 ボス戦じゃーい!! 

 攻撃回数が2回だし、拾ったアレコレをいい感じにすべく双頭の獣にしちゃったぜ。

 いいよね、双頭(もしくは三つの頭)の獣。

 ケモナーの心は奥にしまって、いざ尋常に勝負!



▽0ラウンド目

 セレーナ、銀の矢じりの弓矢で攻撃 技量点1点+修正1点+🎲3=成功

 グルゲの生命点を1点減らしました! いいぞ!



▼1ラウンド目

 セレーナ、レイピアに即持ち替えて攻撃 技量点1点+🎲4=成功

 ミダス 銀の剣で斬りかかる 技量点2点+🎲1=ファンブル!


 ううん…! 運命の切り札は一旦保留にします。攻撃よりも防御の方で使いたい気持ち。

 グルゲの生命点を1点削り、あと4点! 防御は1回ずつ受けましょう。


 セレーナ 防御 技量点1点+🎲2=失敗

 ミダス 防御 技量点2点+🎲4=成功

 セレーナちゃんの生命点が7点から5点に! 痛ーい!!



▼2ラウンド目

 セレーナ、痛みに負けずにレイピアを突き出す 技量点1点+🎲2=失敗

 ミダス、銀の剣で斬り払う 技量点2点+🎲2=失敗


 ぐぬぬぬ! なかなかすばしこくて当たりませんね! 防御は半分ずつ!


 セレーナ、レイピアで防御 技量点1点+🎲5=成功

 ミダス、銀の剣でそらす 技量点2点+🎲5=成功


 描写想定してダイス振った方が、成功しやすい気がします……とりあえず一安心。

 次は攻撃に転じるぞ!!



▼3ラウンド目

 セレーナ、脇腹を狙う 技量点1点+🎲6=クリティカル! ⇒+🎲3=失敗

 ミダス、後ろ足を切り裂く 技量点2点+🎲3=成功


 ナイスクリティカル! 生命点を2点削り、残すは2点! ハァハァ!


 セレーナ、レイピアで弾く 技量点1点+🎲4=成功

 ミダス、銀の剣でいなす 技量点2点+🎲5=成功



 描写教に入ろうと思いました(作文)。うおおおお次のラウンドで決めてくれえええ!!




▼4ラウンド目

 セレーナ、首元を狙う 技量点1点+🎲6=クリティカル! ⇒+🎲3=失敗

 ミダス、セレーナが傷をつけた首元を一刀両断 技量点2点+🎲4=成功




 倒せたーーーー!!!!!!! 

 連続クリティカルナイス! セレーナちゃんの強い意思を感じる。



☆ 宝物

 今回初めてで最後のお宝タイム! 修正2点なので魔法の宝物チャンスです。


 セレーナちゃんで……🎲5+2=7! 魔法の宝物表⇒🎲4〈ひび割れた仮面〉


 従者一人のトラップ無視効果すごーい!! まぁ二人プレイだと従者いないんですけどね!

 こりゃあいいもの手に入れちゃったぞ。仮面っていいよね。


 トラップの対象とならない、というのはシステム上のものですが、描写に落とし込むとなるとどんな感じなんだろう。仮面をつけた従者の防御性が上がる? とは違う感じがしそう。魔法によるバリアかな。仮面というと「うたわれるもの」を思い出す中の人なので、身体能力向上かな……あとはジョジョの石仮面?

 ひび割れているというのも何か引っかかりますね。ひび割れてなかったらもっとすごい効果なのやも。

 何を模した仮面なのかも気になるところ。吸血鬼を模したもので、霧化出来るようになる→トラップ完全回避、とか?


 実は吸血鬼そのものの顔で作られたいわくつきの仮面で……とかだったらホラーみ高くて良いですね。ひび割れているのは、血を吸えていないからとか……!?(かぶったらダメそうな仮面)



▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


 セレーナの放った銀矢は、天井に張り付く獣を穿った。与えられた痛みに呻きながら、黒い獣がドォン、と地に降り立つ。矢は刺さったままだが、まだまだ元気なようだ。肩を怒らせて突撃してくる。巨体ではあるが動きは早い!
「えい!」
「く……ッ!」
 すぐにレイピアへと持ち替えたセレーナが、更に一撃を加える。ミダスは剣で防御するのが精いっぱいだった。爪での斬撃が速く、重い。少し痺れさえ覚える腕に力を籠め、銀の剣をしっかりと握り直す。
「ギャオオオオオア!」
「あう……!」
「セレーナ!」
 二撃も攻撃を受けて許しがたかったのだろう、怒りに燃えた瞳の獣が、セレーナに襲い掛かる。爪と双頭の牙の波状攻撃によって、捌ききれずに片腕を大きく切り裂かれた。セレーナの冷たくも赤い血が流れだす。
「大丈夫、まだ、戦えます」
 セレーナの瞳には闘志がまだ宿っている。で、あれば戦うのみだ。ミダスは再び剣を振るうが、獣の動きがまだ読めずに空振りに終わる。牙の攻撃を剣でいなしつつ、もう少しで見極められそうなのだが……動きが読みやすい分、やはり人相手の方が楽だな、などと思う。強がっていたもののセレーナは腕の痛みがきついのか、攻撃の鋭さに欠けていた。ただ、もう相手の攻撃は受けたくないとばかりに、必死に爪をレイピアで弾く。
「……まずは腹を狙え! 俺は足を狙う!」
「はい!」
 獣の攻撃を避けて、斜め前に体を滑り込ませたセレーナが、渾身の力でレイピアを突き入れる。手負いの相手にそこまでの動きが出来ると思っていなかったのか、獣は避けられずに雄叫びを上げた。その隙を逃さず、後ろ側に回り込みながら足目掛けてミダスは剣を振るう。パッと血と毛が弾け飛び、更に獣が唸る。後ろ足を負傷させたお陰で、獣の動きがやや鈍くなった。目を血走らせながら二人に攻撃を仕掛けて来るが、勢い任せで単調なものになっている。上手くいなしたり弾いて難なく防ぐ事が出来た。
「あと一息だ。……決めるぞ、セレーナ」
「はい!」
 牙を弾かれ、一瞬だけ無防備にさらされた首元を見逃さず、セレーナがレイピアを鋭く突く。急所に攻撃を受け、双頭の片割れが舌を出し息を荒げて瀕死の様相になった。もう片方の頭は狼狽え、よろよろと足元が覚束なくなり始めた獣に向けて、ミダスは容赦なく剣を振り下ろした。もう片方の首が飛ぶ。その勢いで、その首にかかっていたペンダントも引きちぎれて床に落ちる。その後、ドォ、と獣が倒れ、そして動かなくなった。
 セレーナの少し乱れた呼吸だけが、地下に響く。
「……ハァ……勝ちました、かね」
「嗚呼、もう大丈夫だろう。手当を」
「いえ、カットナーさんを出してからに」
「儂は……後でいい。血をダラダラと流されながら話されても気になって敵わん」
「言われてみれば確かに。……では、お言葉に甘えて。もう暫し辛抱なさってくださいね」
 今、この場の誰よりも一番辛抱しているであろうセレーナがそう言うものだから、偏屈そうな老人も呆れたように溜息を吐いた。同じ気持ちだろうなと思いながら、ミダスは包帯を取り出してセレーナの腕を素早く止血する。獣にやられた怪我であるから出来れば消毒などもしたい所であるが、アンデッドであるからそこは心配いらないでしょう、と何故か朗らかにセレーナは笑う。
「ミダスさん、ありがとうございます。……さて、カットナーさんを出したい所ですが……鍵穴が面白い形をしてますね」
「普通の鍵では無さそうだが……」
「そこの獣の首にかかっている、ペンダントが二つ必要なんじゃ。一つは……命を粗末にした馬鹿者が、引きちぎってどこぞに持っていきおったわい」
「あ、じゃあこれですね」
 東屋で拾ったペンダントを取り出す。先程、獣の首から落ちたもう一つのペンダントを拾い、くっつけるとコウモリが羽を広げているような形になった。それを鍵穴に差し込めば、かちりと音がして牢の扉が開く。
「やれやれ、やっと外に出れるか……まぁ、礼は言わねばなるまいな。今はこれをくれてやろう」
 老人が懐から出したのは、ひび割れた仮面だ。牙が鋭く、怖い顔つきのモチーフ……吸血鬼の仮面なのだろうか。
「これを……気配の弱い、従者の一人にでも被せておけば、吸血鬼と同じように霧化状態になれる。トラップなんぞで死ぬ事はまずなくなるじゃろう。ただしもうひび割れておるから、本来の力は発揮できない。だからあんたらのような強い冒険者が被っても効果が感じられないじゃろうな」
「曰くつきそうな見た目だな……」
「とある吸血鬼のデスマスクとも言われておったでな。魔法の品じゃ、曰くなぞいくらでもある。要らんなら構わんが」
「……俺が一旦預かる。従者は今の所連れ歩けないからな」
 もし使うのに危ない品であるなら、鑑定してもらって売り払えばいい。セレーナに持たせるのは気が引けて、ミダスが受け取る。セレーナは興味津々な様子でそれを眺めていたが、ミダスが仕舞いこんだのを見て、改めて老人に向き直る。
「お孫さんがお待ちです。帰りましょうか」
「アンジーか。……全く、儂には構うなと言ったのに」
「とても大事で、愉快な祖父だと仰っていましたよ。心配して眠れずにいたくらいのようでした。……カットナーさんも、お孫さんを案じてそのように仰っているとは思いますが、今回ばかりは素直に感謝をお伝え下さいね?」
「皆まで言うな、分かっとるわい。……その言いぐさ、誰かに似ておるのう」
「積もる話もあるだろうが、それは帰ってからにしてくれ。ここを出るぞ。主に見つかったら元も子もない」
 カットナー老人がぶつぶつと、あいつじゃったか、いやあの時の奴か……と呟きながら思いだそうとしているのを後目に、ミダスはこの場を離れるよう指示を出す。重要人物を捕らえていた門番の獣がやられたのは恐らく敵に知れている。新手が現れる可能性があるのだ。
「そうですね。早く街に戻りましょう。シエラさんも無事に旦那さんの元に届けなくてはなりませんし」
「最後までお世話になります……」
 自分で歩ける! と年寄り扱いを嫌ったカットナー老人は、監禁されていた割にしゃきしゃきと動き、地上への階段を登っていく。外に出て東屋まで戻ると、その床に横たえられていた遺体の顔を見て、眉を顰めぽつりと吐き捨てる。
「……本当に馬鹿者だ、親より先に逝くとは」
「息子さん、でしたか」
「ディーランと言う。儂の子どもや孫の中で、唯一冒険者になった。儂を救うつもりで一人で乗り込んできて、獣の首の鍵を一つ取ったはいいが、もう一つは取れずにボロボロになって。助けを呼びに行こうと逃げた先で、ぱっくり喰われていれば世話はない……」
 言葉は嫌味に溢れていたが、皺を重ねた目元に滲む涙は隠しきれていない。片手で目を覆うと、馬鹿者が、と悔しそうに呟き、肩を震わせていた。
「……ミダスさん」
「まぁ、半身だ。背負っていけなくもない」
 この中庭に埋めるのも考えたが、穴を掘っている間に敵が来るとも分からない。自分たちの墓穴になってしまう可能性がある。背負って街まで戻り、きちんと埋葬した方が、あの鬼火も報われるだろう。
「ここに連れてきてくれたのは、ディーランさんの魂だったんですね」
「……何?」
「鬼火になっていましたから、直接お話が出来た訳ではないのですけれど。でも、魂になっても貴方を助ける為に、私たちをここに導いてくれたのです。鍵の一つも、教えてくれて。何となく、気さくで良い方だったのではないかと。そして優しい方のように思えました」
 約束を果たせそうで良かった、と小指を見つめながらセレーナは呟く。カットナー老人はしわくちゃの顔を更にしわくちゃにさせて、嗚咽を漏らした。
「……全く……っ、気の良い奴から、儂を置いて、死んでいく。妻も、息子も。そうして、アンデッドにすら、なってくれない……」
 セレーナはそっと老人の背を撫でた。老人がアンデッドの専門家になったのは、もしかしたら妻子を失くした経緯があっての事だったのかもしれない。泣いている所など見せるつもりはなかったのだろう、袖でごしごしと顔を擦ると老人は立ち上がる。少し赤くなった目で、気まずそうに先を促す。
「……すまん、まだ敵地じゃったな。行こう」
「お使い下さいな。……誰かを失う悲しみは、いつでも大きいものですから。誰だって泣いても良いと思うのです」
「……、そうだな。ありがとう」
 セレーナからハンカチを受け取ると、老人はしおらしく頷いた。彼女の赤い瞳に、恐らく同じ哀しみを見たのだろう。
 ミダスはディーランの遺体をマントでくるみ、一旦ロープで縛って運びやすくする。なるべくそっと背負って、安全を確認しながら進み始める。そうして、セレーナとミダス、シエラとカットナー、ディーランの『5人』はネルドへと帰還したのだった。


△△△△△△△△△△



 自由に味付けしたNPCが大所帯の冒険でした!2回目の冒険も達成です!

 戦闘がボス戦だけだったので、前回の戦闘まみれ回とは雰囲気が全然異なりましたね。


 これだからローグライクハーフは楽しいんですよ!


 ただ……戦闘が無いという事は……宝物チャンスも低くて……(遠い目)。


 

☆ 今回の戦果 

 前依頼人の妻シエラ……夫の元へ無事に帰る


 魔法の宝物

 ・ひび割れた仮面……ミダスが一旦所持


 ま、まぁ? 前依頼人の奥様も無事に連れ戻せましたし? 

 人助けも出来たし、当初の目的であるカットナー老人も救えましたし?

 ヨシとしましょう! 二人ともお疲れ様でした! 


 第3回目で強大な吸血鬼と対決です。呪いを解く為、あと6体倒さねばならないセレーナちゃんはこんなところで立ち止まってはいられません。

 カットナー老人から魔法の道具を借り受け、最終局面へ!



Comments


bottom of page