呪われた血族の牙城:4話目~娘、王に謁見す~
- 管理人 天狗ろむ
- 2024年12月11日
- 読了時間: 7分
更新日:2月7日
▶前回のあらすじ
二人に立ちはだかるは、王の眠る墓を守るが如く現れたゾンビヒドラ。本来は再生能力を持つボス級に強大な敵ですが、アンデッドと化し再生能力は失われた模様。とはいえ、首が9つもあり、攻撃回数も生命点も頭数分! 流石に無傷では通れず、セレーナちゃんはダメージを負いますが、襲い来る蛇頭の数々を躱し、倒し、とうとう退けました。
第一目的の王の墓を目指し、地下に潜ります。
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4枚目 中間イベント〈古の城主の死霊〉
出ました王が! 死霊になって!
生命点は1点ですが、銀製の武器しか攻撃が通らないと。
こちらには既にあるじゃないですか、銀製の武器。
ワンチャン、銀の矢じりの弓矢を借りたミダスさんの一撃で決まっちゃうかも? そんなにうまくはいかないって?
格好良く決めて頂きたい所ではありますが、ダイスのみぞ知る!
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ひんやりと湿った地下を進む。負傷したヒドラはその内に道を逸れて、奥の巣穴に逃げ帰ったようだ。荘厳な装飾の施された扉を見つけて、二人は顔を見合わせる。ここだ、という確信があった。扉に鍵はかかっていない……錆びついて壊れてしまったのかもしれないが。
罠が無いかを確認してから、ミダスがそっと扉を開ける。ランタンで照らすと、祭壇のような場所に棺が安置されている。部屋の中は静謐な空気で満ちており、荒らされた形跡や死骸などはなかった。
(……静かすぎるな)
部屋の中へと進みながら、ミダスは罠の見当たらなさを訝しむ。番人が出て来るような気配も場所もない。ただ、棺を開ける瞬間は気を付けた方が良いだろう。宝を前にした人間ほど、無防備なものは無いからだ。
「私が開けます。王様に怒られて呪われるような事があっても、既に呪われた身ですから、呪いの一つや二つ、気になりません」
「……もっと顔色が悪くなるかもしれんぞ」
「それ以外の呪いでご勘弁下さい……」
細かな装飾の施された棺は、それですら価値がありそうだ。顔色だけは……、と真摯に念じながら、セレーナが棺の蓋をそうっと開ける。王の体は静かに横たわり、手には銀の剣が握られていた。情報は真実だったのだ。
「おはようございます……どうか、お力をお貸しください」
小声で囁きつつ、セレーナが剣に手を伸ばした時だった。銀の剣が勝手に浮いたのだ!
踊る剣のような、武器系のゴーレムかと思ったが、『それ』は徐々に姿を現した。
「我が眠りを妨げたのは、主らか……」
「お声掛けしたじゃないですかー!」
セレーナがまたもや変な言い訳じみた悲鳴を上げながら、棺から離れる。
眠っていた王と同じ姿。しかしうっすら透けている。罠や番人を置かない訳だ。死霊となった本人が剣の守護者なのだから。
(最後まで信じられるのは自分だけ、か。……理解は出来るがな)
用心深く、誰も信用しなかった王だったのだろう、とミダスは思案する。それ故に滅んだのかもしれない。無論、詳細は知れないが。いずれにせよ、剣を手にする様は堂々としており、王が自ら剣を振るって戦える者である事が窺えた。
「我は銀の王。銀は悪を絶ち、毒を避ける。即ち正義の剣なり」
王が銀の剣を掲げる。あれだけ奪って逃げ去れないだろうか。とは言え、妙に銀の剣に固執しているような様子を見ると、流石に追いかけて来るかもしれない。
「寝起きの王はご立腹のようだ。……目覚めの一撃をくれてやるとしよう」
「私は優しく声掛けしましたからね!」
未だに言い張るセレーナにも慣れてきたミダスは彼女をさらりと無視して、そちらが銀ならば此方も、と銀の矢じりの矢をつがえて引き絞った。
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それでは戦闘開始です。銀の矢が当たれば即終了ですが、決めてくれるかミダスさん!
▽0ラウンド目
ミダスの銀の矢じりの弓矢攻撃 技量点2点+🎲6=クリティカル!
即終了助かるー!
ややあっけなくもありますが、ここまで来るのに連戦だったからトントン(?)でしょう!
今回は『吸血鬼殺し』の所持武器のお陰で助かりましたが、銀の剣を奪うパターンだとなかなかしんどい戦いになりそうです。
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勝負は一瞬で決着がついた。
ミダスの放った銀色の放物線は、王の眉間を射抜いた。王が苦悶の声を上げ、銀の剣を落とす。
「嗚呼、ああ……どうして我に、銀が効くのだ、嗚呼……!」
「銀は悪を絶つんだろう? つまりは、お前が悪側に回ったという事だ」
「そんな、筈は……ぐあああああああ!」
自分を正義側と信じてやまなかったのだろう、度し難いと困惑しながら、王は霧のように消えていった。
セレーナはレイピアを構えたまま、ぽかんとそれを見つめて、それからミダスの方を振り返った。大きな瞳を瞬かせ、彼女も困惑を浮かべている。
「……終わった、んですよね?」
「そうだな」
驕れるもの久しからず、とは確か遥か東方の島国の言葉であったか。呆気ないものなのだ、人も、国も、終わるのは。
ミダスは銀の剣を拾い上げ、握り心地を確かめる。剣の使い手のものらしく、装飾的なものよりも実践的な形だった。これなら戦闘にも申し分なく使えるだろう。
「借りた物は返す主義だ。この弓は返す。ここからは俺がランタンとこの銀の剣を持って、弓担当はお前だ」
「でも、弓の精度はミダスさんの方が絶対に上ですよ」
「意地があるなら当てるんだな。それに、お前はすぐに武器を持ち替えられるのだろう? 俺はどうしても手間取るからな」
「そこは訓練しましたからね。……じゃあ、頑張ってみます」
セレーナの形見の銀の矢の矢筒を返し、代わりにランタンを受け取る。銀の剣を手に入れるという、第一目標は達成した。後は当初の目的である、吸血鬼を倒すだけである。
「囚われの人々が何処にいるかも心配ですが、吸血鬼も何処にいるのでしょう?」
「城主や王というのは高い場所を好むからな……いるとしたら上だろう、恐らく」
アンデッドに人間の常識が通じるかは不明だが。うんうんと頷いたセレーナはレイピアを仕舞うと、改まった様子でミダスに声を掛ける。
「……ミダスさん。私の勝手で巻き込んでしまって、それでもついてきて下さって、感謝しています」
「何だ。ついていくと決めたのは俺自身だ。……言っただろう、借りたものは返す主義だと」
恩には恩で、仇には仇で。暗殺者という汚れた裏稼業ではあるが、その義理だけはきっちり果たしてきた。それがミダスの矜持なのだ。……そう誇りに思う事で、自分を正当化しているのかもしれないが。孤児で人身売買された後に、暗殺者に育てられたミダスは戦う事しか知らない。荒事で恩を返せるならば、易いものだったのだ。
「それでも、です。私はとても助かっていて、心強いと思っています。一人では無理でした。……貴方がいてくれたから、私は生きている。まぁ、アンデッドなので死んでもいるのですけど」
最後に笑って良いのか分からない冗談を添えつつも、セレーナは真摯に言葉を告げた。その真っすぐさはやはり、ミダスが触れた事のないもので。今まで使い捨ての道具のように命令されるがまま、仕事をこなしてきただけ。成功は当然のもので最低ライン、褒められる事など、初めてに近い。心臓の辺りがむず痒くなって、王の呪いでも現れたかと内心焦る。
「……ふん。気を付けろ、戦場で改まった話や故郷の話をする奴は、死ぬぞ」
「ふふ、素直に受け取ってくれるまでは伝えますからね。でも、照れ隠しな事は分かってますから」
照れる。とは。自分が? このむず痒さがそうなのだろうか。分からないが、居心地の悪さを感じて、さっさと先を急ぐぞ、を踵を返す。待って下さいよ、と追いかけて来るセレーナの声が、少し嬉し気なのが気にくわない。ミダスはやや速足で部屋を出たのだった。
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この辺りでミダスさんにもセレーナちゃんに劣らずの激重設定が生えました。
こんな仕事人間おじさまが、娘っ子に人間扱いされて絆されて行く様、いとをかし。
ちょっとずつ仲も深まってきましたね、しめしめ。
無事に中間イベントをクリアして銀の剣を手に入れたところで、武器編成を調整。これで、セレーナちゃんの『吸血鬼殺し』のパッシブ特技の武器高速持ち替えも活かせそうです。
あとここで、そういえば弓矢の攻撃に器用点の修正つけられたんじゃなかったっけ? というのを思い出しました。ここからは修正もつけていきたいと思います。とは言えミダスさんは全部命中させていた(※クリティカル2回後にファンブルはしたけど)ので特に問題はなかったのですがね! 流石おじさま!
これで後半の部に移ります。5枚目までは普通にできごとを決めて、6枚目からは出目によっては最終イベントを迎えます。
ボスの吸血鬼に遭遇するまでに、囚われの人々を探したい所ではありますが、そうなるとチャンスが1回しか無いんだよな……(6枚目で10の出目の位だと最終イベントになってしまうため)。兎にも角にも先へ進みましょう!
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