四猫亭の幽霊:10話目~魔猫、寂しがる
- 管理人 天狗ろむ
- 5月28日
- 読了時間: 5分
更新日:6月13日
前回のあらすじ
放火犯に危うく〈四猫亭〉を燃やされそうになったり、〈黒犬亭〉の用心棒と一戦交えたり、ワイルドな用心棒に〈ユッサ〉さんがときめいたりしました。解せませんわ~!!
今回は最終前イベントまで進めちゃいましょう!
◇できごと6 🎲出目44 下水道の蓋
◆◆◆◆+◆
【器用ロール】 フィーダ 成功
敵に現を抜かす〈ユッサ〉を窘めていた所為で、フィーダは足元を疎かにしていた。先程、スキ何とかとか言う犬が振り下ろした戦槌の所為で(奴の方が大きな音を立てていた気がするのだが!)下水道の蓋が緩んでしまっていたのだ!
『踏んだり蹴ったりですわ!』
落ちるかと思われたが、そこは魔猫のしなやかな動きでジャンプして、軽やかに回避する。今だほややんとうっとりしている〈ユッサ〉だったら危なかったかもしれない。〈ユッサ〉に軽く頭突きをすると、漸く我に返ったようだった。
「ごめんごめんってば。最近出会いが少なかったからさ」
『〈四猫亭〉の危機ですのよ、それが落ち着いてからになさい』
全く、と鼻を鳴らして憤慨するフィーダに、〈ユッサ〉は意に介さずにまっと笑う。
「んふふ、フィーダって何だか世話焼きのお姉ちゃんみたい」
『かみさまですわよ! 全く、手のかかる従者を持つと大変ですわ』
そう小言を言いつつも、〈ユッサ〉を置いていくことはしない。可愛いわぁ、と〈ユッサ〉が反省していなさそうにニコニコしているので、フィーダは大きく溜息を吐いた。
◆◆◆◆+◆
何だかんだ面倒見の良いフィーダさま。従者あっての主、信者あってのかみさまですからね。〈ユッサ〉さんは小悪魔っぽいというか、甘え上手みたいな雰囲気も感じています。
◇できごと7 🎲出目61→62 辻斬り
不意打ち判定 【器用ロール】 フィーダ【柔らかい肉球】使用 器用点3⇒2 自動成功
そんな話をしながら〈四猫亭〉に入ろうとした時、物陰から何者かの影が突撃してきた。
『〈ユッサ〉! 口をお閉じなさい! 舌を噛みますわよ!』
「のわー!?」
咄嗟に〈ユッサ〉の首根っこを咥え、フィーダは屋根に飛び乗る。不意打ちに失敗した辻斬りは、チッと舌打ちをした。
『剣呑な夜になりましたわね。……あれは死をも恐れぬ目。さっきの犬よりよほど厄介ですわよ』
「人気者で〈ユッサ〉困っちゃう~♪」
『嬉しそうにしない!』
◆◆◆◆+◆
戦闘だーッ!
怒涛の出目60番台が畳みかけて来る後半戦! がんばれフィーダさま、〈ユッサ〉さん!
◆1ラウンド
フィーダ 攻撃 クリティカル!⇒ファンブル!
〈ユッサ〉攻撃 成功 辻斬り3⇒1
〈ユッサ〉防御 失敗 生命点8⇒7
◆2ラウンド
フィーダ 攻撃 ファンブル!
〈ユッサ〉攻撃 成功 辻斬りを倒す
☆宝物表 :🎲5
金貨20枚の価値の小さな宝石
◆◆◆◆+◆
フィーダは屋根から飛び降りる勢いそのままに、辻斬りへと爪を振り下ろした。
一撃。追加でもう一撃、と思ったが動きを読まれて躱された。そこに〈ユッサ〉も飛び降りがてらメイスを振るう。ゴッ、と鈍い音がしたが、ふらつきながらも男は倒れない。
「しぶとい!」
「〈四猫亭〉の女、死ねぇ!」
ぎらついた瞳で男は〈ユッサ〉に斬りかかる。フィーダは眼中にない。〈四猫亭〉の〈猫〉を暗殺に来ているのだ!
『〈ユッサ〉!』
「大丈夫、かすり傷よ。私、タフさが魅力の一つなの。……でも、最大の魅力の私の顔に、傷をつけたわね!」
仲間が傷つくとどうしても、フィーダは動揺してしまう。ドーレンの氷槍に貫かれた〈ウッタ〉の弱った姿がちらついて、爪が引っ込んでしまう。そんなフィーダの心配をよそに、〈ユッサ〉は不敵に笑ってすらみせて、力強くメイスを振るった。防御の構えすらしない辻斬りの腹にメイスの鈍い一撃が当たり、男は血を吐いて倒れると動かなくなった。〈ユッサ〉はそれを見下ろしながら、頬の傷をぐい、と拭う。
「……さよなら、今度は違う形で会えるといいわね」
『〈ユッサ〉! 怪我は!?』
「もう、これくらいどうって事ないわ。心配性ね、フィーダは」
当の本人はケロリとして男の懐をまさぐり、小さな宝石を見つけるとちゃっかりくすねている。心配して損したような気持ちになって、フィーダは唸る。
『……貴女が倒れたら、わたくしが四人目の〈猫〉にやってやるんだから』
「実際に猫だものねぇ。いっそ〈五猫亭〉にするのはどうかしら?」
『……いいえ、わたくしは〈幽霊〉。わたくしは〈冒険者〉。いずれは去る身、消える身ですわ』
「そう。名案だと思ったんだけどなぁ」
来るもの拒まず、去る者追わず。恋多き〈ユッサ〉はそうやって出会いと別れを繰り返してきたのだろう。あっさりとした返答を受けて、自分で拒んでおきながらもフィーダは少しばかり寂しくなる。……と、少し先行く〈ユッサ〉がくるりと振り向き、フィーダを上目遣いで見上げて、内緒話をするかのように囁く。
「じゃあ。……私がフィーダについていくのは、どう?」
『……もう。それじゃ〈三猫亭〉になってしまいますわ』
「あはは。名案その2だと思ったのに。……でもまだ、一緒にいられるよね、フィーダ」
『……えぇ。まだ敵は諦めていなさそうですもの』
寂しさに気づかれていたらしい。空気を読めないようでいて、しっかり読んでいる。流石は〈四猫亭〉の看板娘、老若男女に引く手数多の〈ユッサ〉というところだろう。世話をしているようで、実は世話されているのかもしれない、とフィーダは瞳を細めたのだった。
◆◆◆◆+◆
フィーダさま、どうしても仲間が傷つくとショックを受けてしまうらしく……そんなところも可愛らしいなと思いつつ、〈ユッサ〉さんが心身ともに頼もしいので安心です。
書いている内に、どの相棒にも愛着が湧いてしまいますね……ほんと、どの〈猫〉さんも魅力的なので、相棒として是非一緒に冒険して頂きたい気持ち。推しと3回一緒に冒険して仲を深めるもヨシですし。
なのですが……どうして4回冒険出来ないんですか??? 全員と冒険したいんですが??? となるのが唯一の悩みくらいです!(これはちょっととある方法で解決したいと思います、何故なら全員と冒険したいので……)
さてさて、お次は最終前イベント!
どの評議員の説得を進めるのか……次回に続く!
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