四猫亭の幽霊:12話目~魔猫、三度幽霊になる
- 管理人 天狗ろむ
- 6月4日
- 読了時間: 9分
更新日:6月13日
前回のあらすじ
最終前イベントで、没落貴族モンティさんを脅……ではなく、援助によって1票を獲得。
続いて、最終イベントで鋼のアイゼルさんと一騎打ちして、見事に勝利し更に1票を獲得しました。これで、ゴールドアクス卿、愛らしきメルルーサ、没落貴族モンティ、鋼のアイゼル、そして最重要なドーレン評議長の票をゲットし、今の所安泰です。
とは言え、3回目の冒険の評判次第で更に必要な票が増える可能性もありますから、油断はなりません。
と言う訳で、3回目の冒険の相棒はカゲガクレさん!踊り子兼用心棒、無口な彼女とフィーダさまは上手くやっていけるのか?
因みに、フィーダさまの経験点は器用点に振りました。
金貨はモンティさんに100枚を渡したので65枚、更に〈カゲガクレ〉さんにも魔法の片手武器をプレゼントしましたので40枚。これならフィーダさまも持てますね。
今回から1話の文量をやや多めにして、どんどんリプレイを書いて行こうの試みを始めたいと思います。書きたいリプレイ溜まってるので……!
中間前まで行ってみましょう!

◆◆◆◆+◆
時は流れて、評議会までの期日が迫ってきていた。〈ウッタ〉や〈ユッサ〉の傷も癒え、完全に揃った4人の〈猫〉と1匹の〈幽霊〉は、集まって作戦会議をしていた。
「これまで票の獲得が確実になったのは……まずは〈ゴールドアクス卿〉、〈愛らしきメルルーサ〉、〈ドーレン評議長〉の3票」
無事に怪我が癒えた〈ウッタ〉が、評議員の名を挙げて、ほっそりした指を一つずつ増やしていく。
これらは〈ウッタ〉とフィーダが得た3票だ。
そこに、〈ユッサ〉がズイっとピースサインを添えながら、にっこり笑った。
「それと~、お金を積んで手に入れた〈没落貴族モンティ〉の1票と、フィーダが拳で語って得た〈鋼のアイゼル〉からの1票な!」
『語ってなどおりませんわ~!!』
「……フィーダが語るなら、爪だろう」
『そういう事でもありませんわよ、〈カゲガクレ〉!?』
真面目な顔で訂正をする〈カゲガクレ〉に、否定したいのはそこじゃないのに、ともだもだするフィーダ。そのやり取りを見守りながら、〈メイシア〉がくすりと微笑む。
「ふふ、全部で5票か。見事な活躍ぶりだね、フィーダ」
『まぁ、わたくしにかかればこんなものですわ』
〈メイシア〉に褒められて、漸く調子を取り戻したフィーダはふふん、と胸を張る。〈四猫亭〉が生き残る為の票集めは順調と言えた。
「けれど、そろそろ〈黒犬亭〉が黙ってはいないでしょう。毒、火事……どちらも失敗したかくなる上は、と……より過激な強硬手段に出て来るかもしれないわ」
〈ウッタ〉が元々鋭く見える目つきを更に鋭くさせた。他のメンバーも、それについては容易に想像がついたので神妙に頷く。
「今度は荒事慣れしていそうな相棒が良さそうね。私はこの前冒険出来て楽しかったから、もう満足~」
「荒事……で、あれば私か」
「そうだな、〈カゲガクレ〉が適任だろう。私は少々目立つから」
前回の相棒の〈ユッサ〉が辞退すると、〈カゲガクレ〉がすっと音もなくフィーダの隣に立った。〈メイシア〉が微苦笑を零して同意を示す。
「では、決まりね。〈カゲガクレ〉、フィーダを宜しく」
「分かった」
『宜しくお願いしますわ、〈カゲガクレ〉。全票獲得を目指して励みますわよ!』
「心得た。……それを目指すなら、寄りたい店がある」
『あら、貴女も何か必要なんですの? 仕方ないですわね……』
言葉少なながら、相槌はしっかり打つ〈カゲガクレ〉と共に、フィーダは三度目の〈幽霊〉としての活動を開始したのだった。
◇できごと1 出目🎲64 からくり巨人
◆◆◆◆+◆
〈カゲガクレ〉御用達らしい、東の島国由来のものを扱う店に寄り、彼女が気に入った魔力(東の島国風に言うなら妖力というらしい)の籠められた片刃の小剣……小刀を買った帰り。通りの先の広場がどうも騒がしい。耳も目も良い二人は異変にすぐに気づいた。
「……騒動でもあったか」
『そうですわね。あそこは……』
「確かからくり都市チャマイのゴーレム展示会をしていた筈。……もしや」
二人は頷きあって悲鳴の混じる騒ぎの方へと向かう。そこでは、展示されていたであろう、大きなからくりが動き出していた。
『あのまま暴れられては、被害が出ますわ!』
「……止めよう。やれるか、フィーダ」
『早速の荒事ですわね、全く。わたくしは穏便に参りたいところですのに!』
そう文句は言いつつも、臨戦態勢となるのだった。
◆◆◆◆+◆
このからくり巨人、レベルが最低3、最大5で変動するタイプ……かつ、生命点がレベル×2というまぁまぁやべーやつなんですが、今回のレベルは3、よって生命点も6だったので少し小ぶりなからくり巨人だったかもしれません。
何はともあれ戦闘だーッ!!
◆0ラウンド
〈カゲガクレ〉 弓矢で射撃 成功 からくり巨人6⇒5
◆1ラウンド
フィーダ 攻撃 成功 からくり巨人5⇒4
〈カゲガクレ〉 武器持ち替え
フィーダ 防御 2回成功
〈カゲガクレ〉防御 成功
◆2ラウンド
フィーダ 攻撃 ファンブル!
〈カゲガクレ〉 魔法の片手武器で攻撃 成功 からくり巨人4⇒3
フィーダ 防御 2回成功
〈カゲガクレ〉 防御 クリティカル!
◆3ラウンド
フィーダ 攻撃 成功
〈カゲガクレ〉 攻撃 成功 からくり巨人3⇒1
フィーダ 防御 2回成功
〈カゲガクレ〉 防御 成功
◆4ラウンド
フィーダ 攻撃 成功 からくり巨人討伐!
◆◆◆◆+◆
元々攻撃をする為に作られたからくりでは無かったのだろう。動きは大きくゆっくりと、のし……のし……と歩いていく。フィーダと〈カゲガクレ〉は少しずつダメージを与えながら、からくりの動きが止まる事を願って戦い続けた。あともう数メートルで展示品が沢山並べられたテントに激突する……という所で、エネルギーでも切れたのか、からくり巨人は動かなくなった。
『ふぅ。何とかなりましたわね』
「……フィーダ。先程、一度大きく空振りしていたな。それが無ければもう少し早くに……」
『そこ混ぜ返すんですの!? 少し飛び掛かるタイミングを違えましたのよ。かみさまであるわたくしにだってそういう時はありますわ……!』
「そうか。そういう時もあるか」
「わーっ! フィーダ、フィーダ! 凄かったわ!」
言い合う二人の元に、拍手をして頬を上気させながら、小柄な人物が駆け寄ってくる。この声は聞き覚えがある。フィーダが振り向くと、万人が愛らしいと評するであろう人物がそこにいた。
『あら、やっぱりメルルーサ。少しお久しぶりですわね。ご機嫌いかが?』
「最高よ! 貴女のお陰でね。自動演奏するからくりを見にきたんだけど、まさか貴女にまた会えるなんて。でも一体どうしたの?」
『わたくしが知りたいくらいですわ。トラブルなのではないかしら』
そうフィーダが言ったか言わないかの内に、男がさっと現れ、言葉を被せるように大仰にお辞儀をした。
「お二方! 素晴らしいパフォーマンスでした!」
「パフォーマンス? あら、そういう催しだったのね?」
『いえわたくしたちは知らなもごごごご』
「メルルーサさま、少しばかりご友人をお借りします!」
からくり展示会の主催者だという男が、フィーダの口に干し魚を叩きこんで口を封じると、メルルーサから距離を置くようにフィーダと〈カゲガクレ〉の背中を押した。トーンでからくりを主戦力にした商売を始めようとしている商人のようで、この騒ぎを何とか穏便に済ませたいらしい。今のもパフォーマンスという事にして、からくりが暴走するかもしれない、というような悪いイメージを払拭したいのだろう。商人は素早く〈カゲガクレ〉の手にまぁまぁ大きな宝石を握らせた。
「今回の件の迷惑料と、『依頼料』だと思って受け取って頂けますか。売れば金貨40枚は手堅いでしょう。ちなみにさっきの干し魚は、物干しゴーレムを使って作った逸品です」
「……どうする、フィーダ」
『まぁ、此方も無傷で済みましたし、干し魚はなかなかの味わいでしたし……無礼も免じますわ。わたくしは宜しいですわよ』
「私も、新たな刀の試し斬りの相手には丁度良かった。礼を言う」
「えぇえぇ、ではそういう事で……どうぞ、うちのからくりもご贔屓に!」
商魂強かな商人は、先程のフィーダと〈カゲガクレ〉の戦いを見世物だと触れまわった。<愛らしきメルルーサ>の絶賛も勝ち取ったお陰で、見事に評価を挽回してみせたのだった。
◆◆◆◆+◆
既にメルルーサさん票は得ているので、割愛しても良かったんですが、折角なので再会させてみました!
モテモテなフィーダさま(無自覚)。
◇できごと2 出目🎲33 酒場
幸運ロール フィーダ 🎲3 失敗
〈カゲガクレ〉 🎲4 失敗
◆◆◆◆+◆
少し『パフォーマンス』をしたことで、多少の喉を渇きを覚えた二人は酒場に寄る事にする。そこには影にも似た外見の人影が、何人か席についていた。フィーダは満月のような瞳を瞬かせる。
『わたくし、目は良いつもりなのですけれど』
「〈シャドウ〉だ。〈ホーデル子爵〉の雇われだろう」
『シャドウ……見た目通りに影、という訳ね。貴女、名も似ているのだし、仲良くなれませんの?』
「……倒し方なら分かるが……」
荒事向きな訳だわ、とフィーダは小さく溜息を吐いた。どうにか部下に気に入られれば、少し有利になるかと思ったのだが。酒場の店主に水を貰いがてら、少し情報交換をしてからさっさと去る事にしたのだった。
◆◆◆◆+◆
シャドウの方々、哀愁漂うフレーバーテキストだったので個人的にはめちゃお近づきになりたかったんですが、見事に失敗でした。無念なり!
◇できごと3 出目🎲11 情報屋の宿
幸運ロール フィーダ 🎲2 失敗
〈カゲガクレ〉 🎲1 ファンブル!
◆◆◆◆+◆
先程の酒場の店主に、情報屋が何かしら掴んでいると聞いた二人は、早速とばかりに情報屋の仕事を請け負っている宿に足を運んだ。明るい内はあまり人の気配がないが、気怠い雰囲気がそこかしこに漂っている。
『わたくし、〈四猫亭〉の方がずうっと好きですわ』
「同感だ」
「聞こえてるぜ、お嬢さんがた。……気に入らねぇならさっさと出ていきな」
のそりとカウンターの奥から現れたのは、小柄な男だ。不機嫌さを隠さず、眉間に皺を寄せている。
『まぁ! お客に向かって何て口の利き方かしら。ここの店主は一体どんな教育をなさっているの?』
「……俺が店主だが」
「すまない、あまりに威厳が無いので、下働きの者かと」
「……出ていけ!!」
男は怒鳴ると、二人を閉め出した。二人は顔を見合わせ、途方に暮れた。荒事の方は比較的上手くいったが、情報収集があまりにも上手く行かない。
「……威厳がない分、親しみやすくて良いのでは、と思ったのだが」
『言い方、伝え方って大事ですわよね……』
言い合いのトラブル、荒事に発展せずに済んで良かったのかもしれない。彼が〈四猫亭〉の悪評を流さない事を祈るばかりであった。
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コミュニケーションにやや難ありのコンビで笑ってました。私の所為でややポンコツそうになってしまって大変すみません!!
次回の中間イベントは、予感通りに荒事の気配!
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