四猫亭の幽霊:4話目~魔猫、接客に勤しむ
- 管理人 天狗ろむ
- 5月7日
- 読了時間: 10分
更新日:5月14日
前回のあらすじ
〈四猫亭〉で盛大なパーティ―を開き、そこに忍び込んだ敵の企みを看破したフィーダさま。評議員の一人、部下思いの〈ゴールドアクス卿〉から、まずは1票を獲得します。
幸先良しなフィーダさまと相棒〈ウッタ〉さんは、再びトーンの街へと繰り出します。
◇できごと5 出目🎲52 野良犬たち
出現数:5体
◆◆◆◆+◆
パーティーは盛況かつ無事に終わった。
〈ウッタ〉たち四人の「猫」の顔に疲労の色は見えるが、充足感には満ちている。宿の運営に関しては手伝う事が出来ないフィーダは、くぁ、と欠伸をかみ殺しながら、屋根の上で毛づくろいをしていた。フィーダはかみさまであるから、先に寝てしまっても良いかとも思ったのだが……夜が更けても尚、精力的に働いてパーティーの後片づけを続ける〈ウッタ〉たちを放っておくのは何だか憚られたのだ。
(従者が頑張っているのだから、終わった後に労うのも主の務めですわ)
……などと今は偉そうに考えているが。
実際のところは、手伝おうと試みたものの、掃除をする〈ユッサ〉に「フィーダでかすぎ! じゃま!」と箒で追い払われ、点検を行う〈カゲガクレ〉に「手伝い無用」と突っぱねられ、苦笑する〈ウッタ〉と〈メイシア〉には「休んでいていい」と異口同音に優しく拒否され、先程までは片身狭く屋根で途方に暮れていたのだった。
(わたくしへの尊敬度が足りない気もしてきましたわ……こんなに待たせるなんて!)
今日は既に充分働いたのだから、一刻も早く寝て、明日の朝早起きしてやればいいのだ。寝不足では明日の情報収集に支障が出るかもしれない。判断が鈍ったりすれば、重大なミスに繋がるかもしれないではないか。
『従者の心身の健康も思いやってこそ、正しい主というものですわ。どれ、一声かけて……』
丁度、宿の裏口から、〈ウッタ〉がゴミ出しに出てきた。フィーダが〈ウッタ〉の元へ行こうとした矢先、フィーダの耳が敏感に気配を捕らえた。
『〈ウッタ〉!』
屋根から音もなく飛び降りて、〈ウッタ〉の前に立つ。毛を逆立立てているフィーダを見て、〈ウッタ〉はすぐさま緊急事態を悟り、杖を取り出した。
残飯の匂いを嗅ぎつけたのか、飢えた野良犬が唸り声を上げながらやってきていたのだ。
『〈犬〉どもは、どうしてもわたくしたち〈猫〉の邪魔をしますのね』
「恵んでやりたい所ではあるけれど……あまりここを根城にされても困るわね」
『ここは今はわたくしの縄張り! 犬どもに好き勝手させませんわよ!』
◆◆◆◆+◆
天狗ろむは犬派でありますが猫も好きなので争わないでー!という感じなのですが、フィーダさまは犬嫌いのご様子。
◆1ラウンド
フィーダ 攻撃 クリティカル!⇒成功
〈ウッタ〉攻撃 成功
野良犬5⇒2体
半数を下回ったので戦闘終了
一瞬で片付いた……流石フィーダさま!!
◆◆◆◆+◆
先手必勝とばかりにフィーダは野良犬の群れの中に飛び掛かる。一撃、二撃と続けて爪を振るうと、犬どもはキャン! と甲高い声を上げて逃げていく。〈ウッタ〉に向かっていた一匹も、彼女の杖にピシャリと叩かれ、怯えながら立ち去った。
フシャアア! とフィーダが残りの犬たちに威嚇してみせると、自分より大きい猫には勝てないと悟ったのか、野良犬たちが尻尾を巻いて逃げていく。
『もう来るんじゃありませんわよ!』
「あの子たちは賢いわ。ここが危険だとしっかり学んだ筈」
〈ウッタ〉は襲われたにもかかわらず、慈愛の籠もった眼差しで犬たちの去った先を見つめていた。その優しさのお陰で、フィーダも命を拾われたのだから、そこに関しては文句は言えない。けれども、不満そうにフィーダはフン、と鼻を鳴らした。
『かみさまに勝とうだなんて、百年早いですわ。さて……今の戦闘で疲れたでしょう、〈ウッタ〉、寝ますわよ』
「え? 殆ど一瞬で終わったのだし、まだ片付けが……」
『明日の朝になさい! わたくしも眠いの! もう寝ますの! 何時だと思ってらっしゃるの!?』
「わ、分かった、分かったわ。皆にも休むよう言うから」
もう働くことなどさせないとばかりに、フィーダが〈ウッタ〉の周りをぐるぐる回る。
〈ウッタ〉は降参、と両手を挙げて苦笑した。
◆◆◆◆+◆
初稿だと犬も倒してしまっていたんですが、読んでいて辛くなったので逃げた事にしちゃいました!
戦闘のあるできごとながら、サックリ終わってしまったので、今回は次のできごとにも進みます。
◇できごと6 出目🎲14 中央広場
トーン住民の憩いの場。噂話を集めるにはもってこいの場所です。
【魔術ロール】か【幸運ロール】で情報収集できるのですが、目標値は何と6!
フィーダさまは耳がいいですから、きっと聞き分けられるでしょう!
フィーダ 幸運R 成功
〈ウッタ〉 技量点で魔術R 成功
⇒手がかり1個入手
二人ともバッチリでした! えらい!!
◆◆◆◆+◆
翌日。
早起きした〈ウッタ〉がパーティーの片付けの残りを済ませたあと、フィーダたちはガヤガヤと人通りの多いトーンの中央広場へとやってきた。耳を澄ませば、雑多かつ色んな話が飛び込んでくる。
「昨日の海賊を倒したのって、でっかい猫だったらしいよ」
「うっそだ~! 飛翔騎士の皆様に決まってるでしょ! 飛んでくお姿も見たし、羽根だって拾ったわよ!」
「また下水道、詰まったのかしら。匂いがついてないと良いんだけど」
「大丈夫よ、アンタの旦那、〈黒犬亭〉で働いてる割に鼻が利かないじゃない」
「昨夜の〈四猫亭〉のパーティー、とても楽しかったな。毎晩やってはくれないかな~」
「そしたらそれこそ〈四猫亭〉万歳! だなぁ」
「〈没落貴族〉様、また借金増えちゃったらしいよ」
「見る影なくなってしまったのう……昔は威厳もあったもんじゃが」
「もうすぐチャマイのからくり展示会があるんだって! ママ、ゴーレム見たい!」
「あら、楽しそうね。行ってみましょうか」
「〈鋼のアイゼル〉の試合、また見れないもんかね~」
「彼を越えそうなチャンピオンはまだ現れてないからな。彼の試合は血沸き肉躍るというか……」
「まーた負けちまったよ! 一回大儲けと思ったのにさぁ~イカサマしてんじゃねぇのあの店」
「自分の不運を棚に上げるとは、賭博師の風上にも置けんな」
「いや賭博師じゃねぇんだが……でもってお前も負けてたじゃん」
「〈愛らしきメルルーサ〉の演奏会のチケット、譲ってもらったんだ。いやぁ今夜が楽しみだ」
「いいなあああ~。でも俺には〈愛らしきメルルーサ〉が大好きな『ふかふか! さうろぷしーだちゃん』の限定版、買えたもんね!」
「いいなあああ~」
フィーダの耳がぴくん、と動く。同時に、〈ウッタ〉も顔を上げた。
『今の、聞こえたかしら?』
「えぇ。『いいなあああ~』な情報ね」
『いいえ、「いいなぁああぁ~」ではなくて?」』
「そこなの?」
二匹の〈猫〉は冗談交じりに話をしつつ目を細めあい、広場に行き交う人々を眺めた。
◆◆◆◆+◆
あれこれ噂を詰め込んでみたら楽しくなってました。
今回フィーダさまにはご縁があったりなかったりするできごとからそれっぽく。
どれがどう出て来るかはお楽しみに。
あと一つで最終前イベントなので、ここでまとめて進めちゃいます!
◇できごと7 出目🎲56 観光客
最初は「出目23、キューブ」でした。
丁度、中央広場で起きたできごとだったのですが、ところが「キューブ」は【炎】か【酸】属性の攻撃以外はダメージを与えられないのです。
流石のフィーダさまも歯が立ちません。それに長いこと戦うと【悪臭】も染みついてしまいます。攻撃数0なので、ノーダメージで【逃走】しちゃいました。
その後d66を振り直した結果、出目は56になったので、〈四猫亭〉に帰る形になりました。
【逃走】⇒振り直し 出目🎲56 観光客
出現数:15体
◆◆◆◆+◆
中央広場の一角に、人だかりが出来ている。
人々が口にする言葉を聞き分けると、どうやら地下水道を、『キューブ』と呼ばれる生き物が塞いでしまったらしい。
「炎や酸での攻撃ならば効くのだけど……」
〈ウッタ〉が少しだけ眉間に皺を寄せる。彼女が使える魔術は【炎球】ではなく【氷槍】だ。トーンの人々が困っているなら手を貸してやりたいところだが、対抗手段がない。
『わたくしたちには手に負えそうにありませんわね。他の方がどうにかして下さるでしょう』
触らぬキューブに祟りなし。
フィーダと〈ウッタ〉はその道を避け、違う道を通って一旦〈四猫亭〉に帰る事にした。
◆◆◆◆+◆
帰ってみると、今度は〈四猫亭〉に人だかり……いや、列が出来ている。〈黒犬亭〉の手先かと身構えたが、昨夜のパーティの評判を聞きつけたのか、〈四猫亭〉に観光客が押し寄せてきていたらしい。主に対応している〈ユッサ〉が、悲喜こもごもの悲鳴をあげている。
「応援してあげた方が良さそうね」
『わたくしはお客の機嫌を取っておきますわ。待ち時間にわたくしと触れあえるのであれば光栄な事でしょう』
「ふふ、そうね。宜しく頼んだわ」
〈ウッタ〉は支配人の顔で、長らく並び続けて文句を上げそうな観光客に丁寧に声を掛けていく。フィーダは瞳をきゅるん、と輝かせた。可愛い顔をしておけば、人間は皆フィーダを自然と崇拝していくのだ。
◆◆◆◆+◆
ここは戦闘ではない、のですが、戦闘の手順で処理していくそうです。なるほどそんな手が!
1ラウンドから開始して、【器用ロール】判定。
達成値が〈観光客〉のレベルを2点上回るごとに、更に一人の観光客を倒した=満足させたことになります。【炎球】とか【気絶】に似てる感じですね。
〈観光客〉は攻撃してこないので、ダメージも受けない……のですが、ファンブルすると「クレーム」を受けてしまいます。これで精神的にやられて副能力値が減ってしまうのです…こわい…クレーマーこわい……。
第3ラウンド目までに全ての〈観光客〉を満足させられたら、特別給与が!
これは頑張るっきゃありません!
フィーダさまは配膳は出来ないので、〈観光客〉に愛嬌振りまいて待ってる時間を良いものにしていることにします。でっかい猫触れたりするならそりゃあね!!
と、言う訳で、現在並んでる観光客数は……15人!
1ラウンド、5人満足させられれば……いけるか!?
◆1ラウンド
フィーダ 甘い鳴き声を上げる 🎲4+2=6 3人の猫好きを篭絡! 残り12人
〈ウッタ〉華麗なる対応 🎲4+1=5 2人に素早く配膳 残り10体
◆2ラウンド
フィーダ 喉をゴロゴロ 🎲4+2=6 3人の猫好きをメロメロに! 残り7体
〈ウッタ〉的確に対応 🎲5+1=6 3人に軽やかに配膳 残り4体
◆3ラウンド
フィーダ 体をすり寄せる 🎲3+2=5 2人の猫好きをもふまみれに 残り2体 〈ウッタ〉落ち着いて対応 🎲5+1=6 最後の2人を丁寧に見送る
全員ご満足させた~!
☆宝物表
・🎲6 🎲2+2=4×5=20⇒下限の金貨30枚の宝石大
・〈ウッタ〉から特別給与 金貨10枚
やりました! 流石フィーダさま!
観光客が少な目だったのも幸いしましたね……最大24人ほどなので……!
◆◆◆◆+◆
「……お疲れ様、皆。よく頑張ったわ」
怒涛だった客の波が引き、漸く一息をついたフィーダたち。〈ユッサ〉は目を回してすらいたので、先に休憩をさせている。
『ふぅ……人間相手も大変ですわね……』
普段は気安く人間に触らせたりなどしないのだが、今回ばかりは仕方ない。わしゃわしゃと色んな人間に撫でられて、乱れてしまった毛並みをぺろぺろと整える。
「フィーダもありがとう。貴女がお客様に愛嬌を振りまいてくれたお陰で、喜んでいる方が多くて助かったわ」
『わたくしを崇めるのが人間というものですわ。全員虜にしてあげても良かったのだけれど』
フィーダを前にして「嗚呼アアアアア~! ネコチャン! おっきい! なんておなまえなのぉ~??」と奇声を上げたり満面の笑みを浮かべたりそれこそ猫なで声を出す人間の多いこと。フィーダは可愛いし美しいので仕方ないことなのだ。人間如きが抗える筈もない。
「ふふ。〈四猫亭〉の手伝いまでしてくれたのだし、特別給与をどうぞ」
観光客の一人がお代の代わりにと置いていった大きめの宝石……猫の瞳孔のような縦線が入った宝石「キャットアイ」と、〈ウッタ〉から追加報酬を貰い、フィーダも満足そうに鳴いた。
◆◆◆◆+◆
まぁでっかわいい猫チャン前にしたら人類皆こうなりますよね???
私だけ? そんな~。
プレイ中、特に楽しかったできごとの一つでした!
さて、お次は最終イベント……の前の「最終前イベント」。
評議員のどなたかを選んで、直接アプローチに向かうのです。
連れている「相棒」によっても、有利になる相手が違ったりしますし、今まで手に入れている情報や手がかりが重要になってきます。
ここも人によって色んなパターンがありそうで、他の方のリプレイが気になりますね!
さて、フィーダさまが、第1回目の冒険に選んだ相手は……!?
次回につづく!!
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