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四猫亭の幽霊:5話目~魔猫、演奏に聴き入る

更新日:5月13日

 

 前回のあらすじ

 

 VS野良犬で見事に大勝利したり、広場に行ってバッチリ情報収集したり、観光客をメロメロにしたりしました。流石フィーダさま!


 これで「最終前イベント」となります。評議員4人の内からまだ1票を獲得していない1人を選び、〈四猫亭〉に票を入れてもらうよう要請が出来るのです。勿論、一筋縄ではいかないメンバーばかりですが、最終前イベントは情報収集次第で難易度変わるかもしれませんね。

 この最終前イベントには参加しなくてもいいそうですが、〈四猫亭〉の存続がかかってますので勿論参加しますとも!

 最終前イベントで選べるメンバーの一人、「ゴールドアクス卿」からの1票は既にゲットしてますので、それ以外の方……フィーダさまと〈ウッタ〉さんはどなたを選んだのか、というと。

 



◇できごと8 最終前イベント 「愛らしきメルルーサ」  



 手がかり1個消費 会う為の判定は自動成功

◆◆◆◆+◆



 〈ゴールドアクス卿〉からの1票は獲得している。次なるは、エルフとコビットのハーフ、トーンで一番人気の奏楽家、〈愛らしきメルルーサ〉が良いだろう、と〈ウッタ〉が言うので、フィーダはそれに従った。否、その提案を受け入れた。
 中央広場で集めた噂話で、メルルーサが今夜、どこの演劇場で奏楽を披露するかの情報を得ていた二人は、そこに足を運ぶ。演劇が終わり、〈愛らしきメルルーサ〉が笑顔を振りまきながら舞台袖に戻っていったのを見計らい、楽屋へと訪れた。タイミングが良かったのか、関係者に止められることもなかった。
「あら、ファンの方? いらっしゃい、今夜は楽しんでくれた? 私、とっても可愛かったでしょ?」
「えぇ、〈愛らしきメルルーサ〉。貴女の演奏は本当に素晴らしく、耳も目を離せません。どうか、我が〈四猫亭〉にて、演奏会を開いては下さいませんか?」
 〈ウッタ〉が堂々と、そして恭しくメルルーサに一礼をする。メルルーサは大きな丸い瞳を更に丸くさせた後、朗らかに笑った。
「最近話題の宿屋ね! 知ってるわ、行ってみたいと思っていたの。そこで演奏会だなんて、素敵だわ!」
 メルルーサは随分と乗り気だが、彼女の補佐を務める従者の女性が少し苦い顔だ。スケジュールの問題等があるのだろう。
「ダメかしら。何とかなると思うのだけど……今日の入りが甘かった部分を満点にして、今度こそ最高の演奏と最高に可愛い私を皆に見せてあげるのよ」
「その演奏会についての礼金はたっぷりと。いつ開くかについてはそちらの都合に合わせますし、照明や舞台装置などもご相談いたしまして……」
 〈ウッタ〉と〈メルルーサ〉の従者が、聞いているだけで瞼が閉じてきそうな小難しい話を始めた。〈メルルーサ〉は分かっているのか分かっていないのか、小首を傾げて微笑んでいる。それすらも絵になる可愛らしさだ。フィーダは交渉ごとには向かないだろう、と外で待って耳をそばだてていたのだが、話が長引きそうになったので、扉から顔を出す。
『ねぇ〈ウッタ〉、わたくし、眠くなってきましたわ。先程の演奏が心地好かったから、このまま余韻に任せて眠りたいのだけれど』
 突然の声に、楽屋の中の3人がバッとフィーダの方を見る。従者の方はヒッと小さく声を上げた。魔猫を初めて見る人間はそういう反応をすることもあるので、一度くらいの不敬な態度は許してやるフィーダなのであるが、より小柄なメルルーサにはとても大きく見えるかもしれない。すぐさま顔を引っ込めようと思ったのだが。

「わぁーー! 大きい猫さん! え! 喋ってるわ! いえ、声が聞こえるわ! 私くらい可愛い!」
 メルルーサは驚くどころか、興奮してフィーダの元に駆け寄る。フィーダは目を瞬かせながらも、小柄な彼女に合わせて伏せの姿勢を取ってやった。
『わたくしの方が可愛いわ。でも、貴女もなかなか整っていますわね。演奏の腕も大変良かったし』
「えっ、聴いていてくれたの? 嬉しいわ! ねぇ、貴女のお名前は? 〈四猫亭〉にいるの?」
『わたくしはフィーダ。今はそうですわね、〈四猫亭〉に身を寄せていますわ。演奏会、やってくれるならわたくしも嬉しいのだけれど、いかが?』
「やるやるやる! やるわ絶対に! こんな可愛い猫さんと、可愛い私の素敵な演奏会!」
 メルルーサが言い切ってしまったので、従者は仕方ない、と肩を竦めた。恐らくいつもこの調子なのだろう。メルルーサが上機嫌に演奏してもらうことこそ、重要であるのだ。
「……ありがとうございます、メルルーサ。それで、此度の評議会の件なのですが」
「嗚呼あれね、私は〈四猫亭〉がいいなぁって最初から思っていたのよ。ドーレンが凄むからこわくって。でも、私負けないわ。〈四猫亭〉に1票入れるわね。だから、貴女たちも負けないで?」
「えぇ、必ず。演奏会、楽しみにしていますわ」
『ではごきげんよう、〈愛らしきメルルーサ〉』
 満面の笑みのメルルーサに手を振られ、〈ウッタ〉とフィーダは楽屋を後にする。これで、2票。必要数のようやく半分だ。
「確かに大きい生き物が好きだと聞いていたけれど……猫も好きな方で良かったわ」
『わたくしもあそこまで好意を見せてくるのは気に入りましたわ。可愛らしくて、美しい旋律を奏でるし。〈メイシア〉の情熱的な美しさとはまた違った良さがあるわね』
「えぇ、そうね。二人で演奏してもらうのも楽しいかもしれないわ」
『あら、名案ですわね。……激励も受けた事ですし、次はどうするの、〈ウッタ〉?』
 フィーダが問いかけるも、答えは何となく分かっていた。〈ウッタ〉は微笑みながら人差し指を立てる。
「最重要な1票を、取りに行きましょう」


◆◆◆◆+◆



 まぁでっかわいい猫チャン前にしたら人類皆こうなりますよね???


 前回も見たぞって? それな~。

 いやでもでっかくて知性もあって意思疎通できる(ことにしちゃった)魔猫、いたら絶対仲良くなりたいですやん……。一回で良いからもふもふに包まれたい。フィーダさまに不躾にやると不敬! って引っかかれそうですが。


 四猫亭の幽霊は交渉ごとも多いので、知的キャラの弁論の出番がありそうな気がしてます。


 キリが良いので短めですがこの辺りで。

 次回は最重要な最終イベント! フィーダさまが何と……!?

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